第277話 強靱にして無敵! 最強の伝説が敵を粉砕する! これぞ瑞穂の黒い凶星!

 恭介達が瑞穂に来て62日目にして第3回新人戦前日、4期パイロットの模擬戦は3期パイロットがメンターとして付き合うことが決まった。


 理由はやはり、4期パイロットの実力が1期と2期パイロットの時間を使うに値しない上、1~3期パイロットの8人で4期パイロットの面倒を見るのは非効率だと考えたからである。


 ルーナがそう言って相手も納得している以上、恭介がそれに異議を申し立てるつもりはない。


 それゆえ、恭介はバトルメモリーでソロの新しいコンテンツが追加されたと聞き、それに挑みにコロシアムへ移動した。


『やあ、待ってたよ。バトルメモリーだよね』


「そうだ。コンテンツは来てからのお楽しみって言ってたが、一体どんなコンテンツなんだ?」


『コピープログラム反乱だね』


「不吉なコンテンツ名が聞こえたぞ」


 コピープログラムとは、パイロットコピープログラムのことであり複数のゴーレムを保有しているパイロットにとっては保険と言える。


 その保険が反乱を起こしたとなれば、面倒なことになるのは間違いない。


『すっかり最近のお約束になって来たけど、恭介君の縛りプレイはギフト使用禁止ね』


「それは別に構わんけどさ、今回のコピープログラム反乱は実際に起きることじゃなくて、あくまでバトルメモリーのコンテンツってことで良いんだよな?」


『そうだよ。ついでに言えば、敵対するコピープログラムが使ってるゴーレムは使えなくなるから、それも気を付けてね』


 (しれっと縛りが2つになってるんだよなぁ)


 恭介はルーナの定めたルールが自分に更なる足枷を付けたため、コピープログラム反乱を厄介なコンテンツだと判断した。


 それでも、厄介だからこそちゃっちゃと終わらせたいと思うのも正直なところなので、恭介は後回しにせず今すぐ挑戦する。


 ルーナに入場門を開いてもらい、その中に入ってみると瑞穂の格納庫にそっくりな格納庫がフィールドだとわかった。


 (コピープログラムが制御権を奪ったのはアンチノミーか)


 自分がいつの間にか、アンチノミーからソリチュードのコックピットに強制転送されていたことから察していたが、目の前にアンチノミーが立ちはだかると恭介は面倒だと考えずにはいられない。


 準備が整ったところで、コピープログラム反乱のルールがコックピットのモニターに表示される。



 ・参加者は制御権を奪われた自身のゴーレムを取り戻すべく戦わなくてはならない

 ・奪われたゴーレムと同じゴーレムに乗ることはできない

 ・制限時間は最大1時間で、1時間過ぎるまでに敵を倒せないと失格

 ・報酬は奪われたゴーレムの撃破や鎮圧等によっては加点要素があるが、失格なら何もない

 ・参加可能なパイロットはゴーレムを2機以上有している者のみ

 ・今回のコンテンツと現実は全く関係ないから好きに暴れて良い

 ・ゴーレムのサイズはレースの時と同じ



 (一部最初に聞いた内容と被ってるところもあるが、ルールはちゃんと読んでおこう)


 ルールの見落としで取り返しのつかないミスをしたくないから、恭介は斜め読みではなくしっかりとチェックした。


『コピープログラム反乱、開始!』


 アナウンスと同時にアンチノミーの二対の翼が動き出し、天使の一対の翼はビームブーメランとして、悪魔の一対の翼は蛇腹剣として恭介の乗るソリチュードに攻撃を仕掛ける。


 4ヶ所同時攻撃だったものの結局はソリチュードを狙った攻撃だったため、恭介は永続輪舞エンドレスロンドを分離してソリチュードの正面に移動させる。


 それだけでアンチノミーの4つの攻撃からソリチュードは守られた。


「今度は俺の番だ」


 両翼のサブビームマシンガンを連射して反撃すれば、アンチノミーはビヨンドロマンをビームソードに変形させて可能な限り恭介の攻撃を捌いた。


 そこにドリル形態にしたウェイルスカイを持ってソリチュードが距離を詰めれば、アンチノミーは多少のダメージを覚悟でウェイルスカイを壊すべく距離を詰めて来た。


 しかし、ソリチュードには別動隊として永続輪舞エンドレスロンドがいるのを忘れてはいけない。


 永続輪舞エンドレスロンドが迂回してアンチノミーの背後から急接近することで、アンチノミーは慌ててそれを回避した。


 ところが、気づくのが遅かったせいでアンチノミーのX字型の翼がアンチノミーから切断されてしまった。


 一気に4つの攻撃手段を失ったアンチノミーは、悔し紛れに存在理砲アンチノミーを放ったけれど、恭介は回転することでそれを避けてみせた。


 (またか。また周りの時間だけ遅くなった)


 その感覚はルーナ曰く、時空の力を自分の物にしており恭介が時空神に近づいていることの証である。


 恭介から感じる時空の力が強まり、モニター上に現れたルーナはハラハラした表情になっていた。


 存在理砲レゾンテートルを回転して避けた恭介は、まだドリルで攻撃できるとわかっていたから遠心力も上乗せしてウェイルスカイを前に突き出す。


 アンチノミーは腰の両側にある4つのビットを使い、辛うじて恭介の攻撃を防ぐことができた。


 この4つのビットがある限り、不意打ち以外でアンチノミーに攻撃するのは難しい。


「まったく、アンチノミーは敵にすると厄介なゴーレムだな」


『信じられるかい? この上もっと厄介なドライザーに恭介君は乗ってるんだよ? 私がコンテンツ作成で悩む気持ちを理解できたでしょ?』


「それはそれ。これはこれだ」


 ルーナが同情を誘うように言うけれど、恭介はそれに乗らずに戦いに集中している。


 雑談しながら倒せる程、アンチノミーは難易度の低い敵ではないのである。


 今度はアンチノミーがホーミングランチャーにビヨンドロマンを変形させ、ソリチュード目掛けて連射し始める。


 恭介は永続輪舞エンドレスロンドでそのビームを弾きつつ、ウェイルスカイを十字大剣形態に変えてその先端からビームを放った。


 その攻撃はアンチノミーの手元を狙った攻撃であり、それに合わせて両翼のサブビームマシンガンも乱射したことからアンチノミーは4つのビット三角錐に展開して機体を守る。


 (この時を待ってたんだ)


 ビットによるエネルギーバリアは厄介だが、エネルギーバリアを展開するビットを壊してしまえば問題ない。


 したがって、永続輪舞エンドレスロンドとサブビームマシンガンの狙いを4つのビットにすれば、ビットが壊れてアンチノミーの守りは破られた。


 守りを敗れたのなら、後はどちらが先に自分の攻撃を敵に届かせるかという勝負だ。


 再び周囲の時間が自分よりも遅く流れている間隔に突入し、恭介はウェイルスカイの剣先からビームを放ってアンチノミーのコックピットを貫いた。


『しゅぅぅぅりょぉぉぉ!』


 ルーナのアナウンスが聞こえると同時に、ソリチュードのモニターにバトルスコアが表示される。



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バトルスコア(バトルメモリー・コピープログラム反乱)

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所要タイム:21分51秒

撃墜機体:アンチノミー

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総合評価:S

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報酬:資源カード(食料)100×15枚

   資源カード(素材)100×15枚

   150万ゴールド

ノーダメージボーナス:武器合成キット

ギフト無使用ボーナス:バーストダガー

最短記録ボーナス:ペイルクレセント

デイリークエストボーナス:魔石4種セット×100

ギフト:黒竜人機ドライザーLv50(stay)

コメント:強靱にして無敵! 最強の伝説が敵を粉砕する! これぞ瑞穂の黒い凶星!

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「コメントで精神攻撃して来るの止めてくれる?」


『精神攻撃だなんて酷いなぁ。わたしはただ、恭介君を褒め称えてるだけなのに』


「本気で褒め称えるつもりがあるならそのニヤケ面をどうにかしろ」


 恭介はそれだけ言ってコロシアムから瑞穂の格納庫に戻り、手に入れたバーストダガーとペイルクレセントをヤルダバオトが装備するカラミティと合成した。


 その結果、プロヴィデンスというビームライフルとビームキャノン、ビームソード、ビームウィップ、ビームブーメラン、スペツナズビームナイフに変形する武器が完成した。


 プロヴィデンスを完成させてヤルダバオトから出て来た恭介は、先程ルーナに精神攻撃されたとは思えない程ご機嫌になっていた。

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