第27章 暗黒惑星ゾス侵攻作戦
第261話 贅沢な名前だな。キュクロⅡで十分だろ
恭介達が瑞穂に来て59日目、瑞穂はハイパードライブで暗黒惑星ゾスに向かっていた。
恭介と麗華が結婚式を挙げた翌日ではあったものの、ルーナが調べた情報によれば今の暗黒惑星ゾスは絶対的な支配者がいないため、侵攻しやすい状況にあるからだ。
暗黒惑星ゾスといえば、クトゥルフやその子供達の出身惑星と言われているが、それらを恭介達が倒したことで星の中はすっかり戦国時代に突入している。
それを知ることができたのは、ルーナが地道に倒したクトゥルフ神話の侵略者達の死体から情報を引き出してきた結果である。
内輪揉めして力が削がれていれば、比較的楽に暗黒惑星ゾスを攻め落とせるから、恭介達もルーナが提示した暗黒惑星ゾス侵攻作戦に賛成した。
それはそれとして、移動中はまだ時間があるので恭介と麗華はアンチノミーとシグルドリーヴァに乗ってコロシアムにやって来た。
「フォルフォル、コロシアムの残り5連戦に前回と同じ縛りプレイで挑む。入場門を開いてくれ」
『はいはーい』
ルーナはふざけずに恭介の望む入場門を開いた。
フォルフォルにだってふざけない時はあるようだ。
アンチノミーとシグルドリーヴァが入場門をくぐった先には、歯車を背負った青い巨人ゴーレムだった。
両手が大砲で両肩にはマシンガンが装備されており、背中の歯車の歯は全てビットになっているらしい。
恭介達に攻め込ませたら不味いと思っているのか、現れてすぐにその青い巨人ゴーレムが全武装で攻撃し始めた。
その時には2人共ゴーレムチェンジャーを使っており、恭介がネメシスで麗華がヴォイドに乗り換えていた。
ネメシスがエネルギーシールドを使ってヴォイドの盾になっている間に、ヴォイドが信号を入れて青い巨人ゴーレムの動きを止められないか試してみた。
『ビンゴ!』
麗華が嬉しそうに言ったように、青い巨人ゴーレムは糸の切れた操り人形のようにだらんとしたまま動かなくなった。
『あぁ、ブラウギガントがぁぁぁ』
「やられたら利子も付けてやり返す」
恭介はネメシスをブラウギガントと呼ばれた青い巨人ゴーレムに接近し、カウンターシステムを利用したパイルバンカーを放った。
容赦ない一撃がブラウギガントのコックピットだけを貫けば、それによってブラウギガントが動かなくなった。
「麗華、加工OKだぞ」
『ありがとう』
それゆえ、恭介はブラウギガントを爆散させるような倒し方を選ばなかった訳だ。
麗華は
「立派だな。デザインが良い」
『エヘヘ。ちょっと拘ってみたよ。換金した時にその方が高く買ってもらえるかもしれないからね』
「なるほどな。加工の手間が反映されるか試すのは大事なことだ」
前回の5連戦の時もゴーレムの残骸を大太刀に作り替えたけれど、その見た目は無骨なものだった。
それが拘った意匠になった時にどれだけ値段が変わるか確かめれば、もしかしたら買取価格が上がって麗華の懐にかかるダメージをさらに軽減できるかもしれない。
やって損のない実験と言えよう。
そうしている内に2戦目のゴーレムとして、緑色のペガサスが現れた。
ただし、そのペガサスは通常のペガサスよりもデザインが豪華であり、恭介達に接近する速度もペガサスよりずっと上がっていた。
『行け、グリューンペガサス! 突進だ!』
「ポ○モンみたいに言うんじゃない!」
恭介はルーナにツッコミを入れつつ、4つのビットを腰の両サイドから射出し、グリューンペガサスの動きを誘導する。
グリューンペガサスはそれらを躱しながらビームで迎撃するけれど、4つのビットは元の場所に戻ってそれを避けており、代わりに麗華がシグルドリーヴァの全武装で一斉掃射を行う。
上手くスイッチしたこともあり、グリューンペガサスの機体のあちこちに穴が空いてそのまま爆散した。
『しまった、やり過ぎちゃった』
『残虐残虐ゥ!』
『ハウス』
『クゥーン…』
これでは意味がないから麗華もやり過ぎたと口にした訳だが、そのタイミングを逃さずルーナが煽った。
そんなルーナを麗華は冷たくあしらい、ルーナが哀愁を漂わせた犬の泣き真似をしよと黙殺した。
「どんまい。次があるからルーナの煽りなんて気にするな」
『うん。切り替えるね』
恭介に声をかけられ、麗華は気持ちを切り替えて3戦目に臨む。
次に現れたのは土属性のキュクロだが、歩く武器庫と呼べるぐらいには武装が充実しており、通常のキュクロよりもがっしりとした機体になっていた。
『さて、3戦目はゲルプキュクロイグナイテッドだよ』
「贅沢な名前だな。キュクロⅡで十分だろ」
そのようにツッコミを入れつつ、恭介はゴーレムチェンジャーでネメシスに乗り換えて両肩のガトリングガンで牽制する。
ゲルプキュクロイグナイテッドという名前は確かに長いから、恭介がそのようにツッコむのも仕方のないことだ。
ネメシスのガトリングガンがビームだったから、ゲルプキュクロイグナイテッドは誘導されているとわかりつつもその方向に避けざるを得なかった。
今度は爆散しないように攻撃する武装の数を限定し、麗華が攻撃したことでゲルプキュクロイグナイテッドの武装が次々に破壊され、アルテマバヨネットを大剣にした麗華が四肢を切断してコックピットをその後に貫いた。
こうすれば
ブラウギガントを作り替えた大太刀と共に換金したところ、前回のコロシアムでの売り上げよりも買取価格は高かったらしく、麗華は嬉しそうに報告する。
『恭介さん、買取価格が20%上がったよ! やっぱり一手間加えた方が良いみたい!』
「おめでとう!」
『ありがとう!』
麗華がご機嫌になったところで、4戦目の赤いドラゴン型ゴーレムがコロシアム上空に現れた。
火属性の敵とわかれば、恭介も麗華もゴーレムをそれぞれソリチュードとヴォイドに乗り換える。
ヴォイドの信号をオンにした瞬間、赤いドラゴン型ゴーレムが地面に墜落した。
そこを恭介が狙い撃てば、あっさり4戦目は終わってしまった。
『ロッソドレイクゥゥゥ! どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!』
「敵だからさ」
恭介の言い分はもっともである。
これにはルーナも言い返せなくて静かになった。
5戦目のゴーレムは各部位に見覚えのある機体だった。
頭と胴体はゲルプキュクロイグナイテッドであり、両腕はロッソドレイク、翼はグリューンペガサス、両脚はブラウギガントのものだ。
ただし、全身の色は真っ白であり、寄せ集めと呼ぶには統一感があった。
『5連戦最後の敵はブランカイザーだよ。楽しんでね』
ルーナがとても良い笑みを浮かべた直後、ブランカイザーの色が黄色く染まった。
「ドライザーと一緒か。麗華、ヴォイドの信号はどうだ?」
『やってるけど通用しない。スペックが調整されたみたい』
「40戦目だから対策されたか。よし、挟み撃ちするぞ」
『わかった』
恭介がアンチノミーに乗り換え、麗華がシグルドリーヴァに乗り換えてから土属性になったブランカイザーの挟撃が始まった。
ドライザーに乗っている時なら、そのスペックの高さで弱い方からさっさと倒すこともできるだろうが、ブランカイザーは精々ヴォイドと同じスペックだ。
それならアンチノミーとシグルドリーヴァで挟み撃ちすることで、余裕を持って対処できる。
実際にこの2機が全武装を使って攻撃した結果、ブランカイザーはその攻撃を捌き切れずにあっけなく倒されてしまった。
それと同時に恭介達が乗るゴーレムのモニターには、コロシアムバトルスコアが表示されたから2人はそれをチェックする。
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コロシアムバトルスコア(マルチプレイ)
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討伐対象:①ブラウギガント②グリューンペガサス
③ゲルプキュクロイグナイテッド④ロッソドレイク
⑤ブランカイザー
部位破壊:①全て②全て③全て④全て⑤全て
討伐タイム:20分7秒
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総合評価:S
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報酬:100万ゴールド
資源カード(食料)100×10
資源カード(素材)100×10
ファーストキルボーナス:コールオブウォー
ノーダメージボーナス:魔石4種セット×100
ギフト無使用ボーナス:武器合成キット
ギフト:
コメント:ブランカイザーは結構頑張って用意したんだけどなぁ
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「ブランカイザーはまあまあ強かったと思うぞ。相手が悪かっただけだ」
『ブランカイザーはまあまあ強かったと思うぞ。相手が悪かっただけだ。いただきました!』
ルーナはトゥモロー語録にメモした後、恭介に抗議されても聞こえないと言わんばかりにモニターに姿を見せなかった。
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