第249話 随分と遠いところまで来たものね
恭介達が瑞穂の格納庫に戻ったところで、各自のゴーレムのコックピットにバトルスコアが表示される。
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バトルスコア(VSクトゥルフ神話)
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出動時間:23分52秒
撃破数:クトゥグア1体
ヤマンソ88体
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総合評価:S
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報酬:資源カード(食料)100×15枚
資源カード(素材)100×15枚
150万ゴールド
ファーストキルボーナス:ソリチュード専用兵装ユニット
ノーダメージボーナス:魔石4種セット×150
ギフト:
コメント:ドライザーの新しい力がさっきの戦闘での課題を解決するよ!
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「ドライザーの課題ってのは、どの属性スイッチを入れても
『その通りだよ。あれは課題だと認識したから、ギフトレベルが上限に到達したお祝いも兼ねて派生能力を奮発したよ。
ルーナの説明を受け、恭介は新たに解放された力を確認する。
その結果、それぞれの属性で使える力について理解できた。
火属性の時は
水属性の時は
土属性の時は今まで通りに
風属性の時は
4つの力はトータルで1時間に1回しか使えないから、
それでも、敵の苦手とする属性で大技を放てるのは戦況を大きく変えると言えよう。
「良いね。すごく良い。ルーナもやればできるじゃないか」
『フフン。私は褒められて伸びるタイプだから、もっと褒めても良いんだよ?』
「考えとく」
『そんなぁ』
今がチャンスだと思って更に褒めてもらおうと思ったルーナだったが、そう簡単に事は運ばない。
やはり日頃の言動と言うものは大事なのだ。
ギフトを解除してから、恭介はソリチュードに追加された
これはソリチュードの背面に追加された円盤型兵器であり、ソリチュードが起動している間はずっと回転している。
それにより、
更に言えば、
したがって、
全ての確認が終わったところで、恭介はソリチュードのコックピットから出た。
「麗華、お疲れ様。待っててくれたのか。悪いな」
「そんなに待ってないよ。私も報酬を見てたからついさっき降りて来たところ」
「そっか。さっきの戦いで何をゲットした?」
「カタストロフィって武器だね。武器合成キットを使ってヴォイドが装備してるアポカリプスと合成したら、インジャスティスができたよ」
麗華はそのままインジャスティスの説明を続けた。
アポカリプスが斬馬刀とビームウィップ、ビームキャノン、
いずれも小回りが利くとは言い難い武器だが、当たれば大ダメージあるいは敵全体に大きな被害を与えられる武器だから、思わず不公平だと敵が言いたくなることだろう。
そこに2期と3期パイロットも合流し、それから
恭介達が
それからはクトゥルフ神話の侵略者達の襲撃もなく、瑞穂は高天原に到着した。
今日はこのまま解散したため、瑞穂クルーは各々好きな時間を過ごすことになり、恭介と麗華はそれぞれの親を自分達の屋敷に招待した。
恭介と麗華が帰って来たことで、メイド型アンドロイドのアルファとベータが出迎える。
『『お帰りなさいませ、恭介様、麗華様』』
「恭介、メイドなんていたの?」
「メイド型アンドロイドな。これだけ広い屋敷を俺と麗華だけで切り盛りするのは大変だから購入した」
アルファとベータを見て、恭子は息子が予想していたよりもすごい所で生活しているのだと悟った。
「
「はっ、すまん。驚きの連続でぼーっとしてしまった」
「まったくもう、その調子だったら麗華に子供ができた時にどうするのよ」
「そ、そうだな。麗美の言う通りだ」
和紀とは麗華の父親の名前だ。
麗美は特に驚いた様子はなく、麗華の両親はどちらの肝が据わっているのか一目瞭然である。
ひとまず、彼等は使用者のいない客室に住んでもらうことにして、恭介と麗華はそれぞれの親をこれから住んでもらう部屋に案内した。
2人きりになったところで恭子は口を開く。
「随分と遠いところまで来たものね」
「そりゃただの引っ越しじゃなくて移住だからな。ちょっとやそっとの移動じゃないさ」
「物理的な距離もそうだけど、私が言ってるのはそういう意味じゃないわ。恭介がクトゥルフ神話の侵略者達と戦ってる今が、世話をしてた昔とかけ離れてるって思ったのよ」
「俺は巻き込まれただけだ。望んで今みたいに戦ってる訳じゃないさ」
自分が戦闘狂だとは思っていないから、恭介はただこんな状況になる間で流された結果がこれだと言った。
その時、恭介と恭子の前にルーナが現れる。
「私、参上」
「ハウス」
「今は恭介君のお母さんに挨拶するために来たんだから、そんな雑に扱わないでよ」
「…フォルフォルって実在するのね」
突然現れたルーナだが、恭子には真の姿を見る権限もなければ実力もないから、今はフォルフォルの姿で見えている。
恭介の母親なだけあって、ルーナがいきなり登場してもテンション高く驚くことはなかった。
「ふむふむ。そのリアクションは恭介君と通じるものがあるね。流石は親子だ。そうとも、私は誰かが作り上げた二次元キャラじゃなくて実在するんだよ」
「私の息子を問答無用でデスゲームに拉致しといてその態度はいかがなものかしら?」
「あっ、はい。この度は無断で恭介君を戦争の渦中に巻き込んでしまい、すみませんでした」
恭子から吹雪が背景に見えそうな程冷え切った眼差しを向けられ、ルーナは思わず背筋を正して謝った。
(母さん>ルーナの力関係ってどゆこと?)
曲がりなりにも神であるルーナに対し、どう見ても恭子の方が上の立場に立っている状況から恭介は首を傾げた。
「ごめんで済んだら警察はいらないし、戦争も起きないんじゃない?」
「恭介君、君のお母さん怖いよ」
「そのままこってり絞られれば良い。そうすれば人の感情を取り戻せる」
「恭介君の薄情者ぉぉぉ!」
「煩い」
「すみません」
ぴしゃりと恭子に注意され、ルーナは再び背筋を正した。
これでも世界で唯一の神なのだが、子供を想う母親の静かな怒りを向けられてルーナは借りて来た猫の子のようにおとなしくなった。
「まあ、貴女が恭介に力を与えてサポートしてるのはわかってるから、とりあえずこの辺で文句を言うのは終わりにするわ。でも、覚えておきなさい。貴女は自分の目的のために決して少なくない命を奪い、多くの人間の時を止めたのだと」
「…わかったよ。後戻りはできないから、せめて自分の立てた計画を遂行して犠牲になった人々の命や時間を無駄にしないようにする」
(今の母さんならルーナよりも上級の神だったって言われても信じられる気がする)
素直に言うことを聞くルーナを見て、恭介はそんな風に思った。
ルーナが恭子に説教されたことを後で麗華に伝えたところ、麗華が恭子に対して弟子にしてくれと言い出したのはまた別の話である。
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