第235話 見せてもらったよ。恭介君印のゴーレムの性能とやらを
第六ウェーブで登場した敵は、モンスターではなくゴーレムだった。
今までは同一種が複数現れるパターンだったが、今回はエイブラムスとシューゾフィドラーのペアであり、どちらの機体も水属性だ。
「晶さん、私がシューゾフィドラーと戦いますので、エイブラムスは任せて構いませんね?」
『OK』
シューゾフィドラーは近接戦が得意だから、沙耶は自分が引き受蹴るべきと判断して割り振りを決めた。
晶も沙耶が自分のことを考えて行ってくれたとわかったため、異議を唱えずに与えられた役割分担に賛成した。
蟹のような見た目のシューゾフィドラーは、右手の鋏が左よりも大きくてそれが放つ熱で赤く光っている。
高熱を保った鋏で掴まれれば熔かされてしまうので、絶対に掴まる訳にはいかない。
したがって、沙耶は鋏を突き出して突撃するシューゾフィドラーの頭上を抑え、至近距離から
コックピットを切断すれば爆発するとわかっていたから、レイダードレイクはシューゾフィドラーの頭を足場にして跳躍し、生じた爆発から逃れた。
晶の方はエイブラムスと銃撃戦を繰り広げていたが、エイブラムスの銃撃はアスタロトに届かず、逆にアスタロトの銃撃だけがエイブラムスに届くから晶があっさりと勝っていた。
エイブラムスとシューゾフィドラーの両方が撃破されたことにより、第六ウェーブが終わって第七ウェーブが始まる。
次に現れたのは風属性のルシファーと火属性のサタンであり、どちらも七つの大罪をモチーフにしたゴーレムである。
「属性的に私がルシファー、晶さんがサタンで良いですよね?」
『異議な~し』
ゴーレムチェンジャーを使わずに役割分担ができることに感謝し、沙耶と晶は第七ウェーブで戦うべき相手を速やかに決めた。
敵も属性の相性を理解しているため、ルシファーがアスタロトを狙って攻撃を始め、それに介入しそうなレイダードレイクをサタンが足止めする。
サタンは翼から火薬の粉を飛ばして爆発させ、レイダードレイクがルシファーの攻撃をする邪魔をした。
しかし、沙耶は二対の翼から射出したビットでエネルギーバリアを展開し、爆炎を強引に突破してルシファーに接近する。
これはルシファーとサタンにとって予想外であり、ルシファーの迎撃が遅れてしまう。
晶はサタンが沙耶のエネルギーバリアの解除されるタイミングを狙っていると察し、その邪魔をするべく射撃で牽制した。
爆炎で視界が不明瞭だったこともあり、牽制のつもりで撃った内のいくつかがサタンに命中した。
サタンは自分の起こした爆発を逆手に取られてしまったのだ。
ルシファーも既にビットを2つ壊されており、まだ壊されていない2つを自分の側に戻す。
そのおかげで迎撃が収まり、沙耶はエネルギーバリアを解除してレイダードレイクの尻尾の蛇腹剣でルシファーを攻撃し始める。
蛇腹剣でルシファーの位置を誘導し、沙耶が
ルシファーがやられたことに気を取られた時、サタンも晶にコックピットを狙撃されて倒された。
第七ウェーブも無事に終わったが、第八ウェーブになって雲行きが怪しくなる。
何故なら、このウェーブで現れたのがセンジュとエクリプスだったからである。
(第八ウェーブでこの組み合わせは嫌ですね)
沙耶がそのように思うのも無理もない。
センジュは燃料切れにさえならなければ、いくらでも再生させられる光の腕を使って敵を追い詰められる。
エクリプスはアヴェンジャーに防がれないように攻撃しなければ、攻撃した分だけ強力な反撃が待ち受けている。
共に持久戦が得意な機体だから、できればこの組み合わせでは登場してほしくなかったというのが正直なところである。
不幸中の幸いなのが、センジュが水属性でエクリプスが火属性だったことだ。
少なくとも沙耶と晶が弱点とする属性のゴーレムはおらず、むしろ属性的に相性が良い。
「センジュは私がやります」
『エクリプスは任せといて』
沙耶達が役割分担を決めている間に、センジュの光の腕が護衛対象のキュクロを襲う。
「やらせませんよ」
ユーザーパーが土属性だから、それが水属性のセンジュの光の腕を容易く切断する。
斬られたばかりで一向にキュクロを傷つけられないとわかると、センジュの攻撃対象がキュクロからレイダードレイクに変わった。
センジュがレイダードレイクに狙いを絞って攻撃したとしても、尻尾の蛇腹剣と蛇腹剣形態のユーザーパーでまとめて切断すれば効率良く光の腕の数を減らせる。
段々と光の腕の数が足りなくなってしまい、レイダードレイクとセンジュの攻守が後退した。
光の腕を防御に使い始めたセンジュに対し、レイダードレイクは容赦なく光の腕を切断してセンジュ本体に攻撃が届いた。
両腕を削ぎ落されたセンジュは逃げるけれど、それを逃がす沙耶ではない。
時間はかかったがセンジュを削り切って倒すことができた。
一方その頃、晶はエクリプスの防御を突破してエクリプスに向かってペリュトン爆弾を連発していた。
アヴェンジャーでも防ぎ切れないように火力を調整していたおかげで、エクリプスのアヴェンジャーをまともに機能させることなく倒していた。
第九ウェーブでは第八ウェーブよりも難易度が下がっており、風属性のゲヘナキーパーが2機だった。
沙耶がゴーレムチェンジャーを使い、オファニエルに乗れば属性的に有利だから、特筆すべきこともなくあっさりと倒してしまった。
晶はゴーレムチェンジャーを使わず、アスタロトのままゲヘナキーパーを倒した。
ケルブでも倒せなくはないが、アスタロトの方がハイスペックなので舐めプをせずに戦った訳だ。
続く第十ウェーブだが、現れたのは水属性のブラウアリトンと土属性のゲルプアマイモンだった。
(ハーロットが出なかったのは良い引きですね)
ハーロットが出て来てしまった場合、ゴーレムが機能しなくなってしまう可能性があったため、そうならなくて沙耶はホッとした。
再びゴーレムチェンジャーを使い、沙耶は土属性のレイダードレイクに乗り換えた。
『これは乗り換えた方が良いね』
今度は晶もゴーレムチェンジャーを使い、風属性のケルブに乗り換えた。
属性的にレイダードレイクと戦うと不利だと察し、ブラウアリトンがケルブを狙ってビームウィップで攻撃する。
「やらせません」
沙耶が翼のビットを射出してエネルギーバリアを展開し、ブラウアリトンの攻撃から晶を守った。
『ありがとう。折角だから壁として使わせてもらうね』
ゲルプアマイモンと戦うにあたり、壁があるのとないのではサブのゴーレムで戦う晶にとって安心感が違う。
チクチクと攻撃する晶は最初だけ沙耶のエネルギーバリアを使い、それからは移動砲台としてゲルプアマイモンを追い込んでいく。
沙耶はキュクロを狙って移動するブラウアリトンの正面に割り込み、機械竜形態に変形してビームを放った。
今まで防戦一方だったレイダードレイクにこんな攻撃手段があると思っていなかったのか、ブラウアリトンはまともにビームを喰らって爆散してしまった。
ゲルプアマイモンも近接攻撃がメインだったから、晶の近づけさせない戦闘スタイルで自分の戦いができないまま撃破された。
これによって沙耶達が全てのウェーブからキュクロを守り抜いたことになり、キュクロは無事に宇宙に向かって射出され、それと同時にハネムーンガーディアンがクリア認定された。
『しゅぅぅぅりょぉぉぉ!』
ルーナのアナウンスが聞こえると同時に、沙耶達の乗るゴーレムのモニターにバトルスコアが表示される。
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バトルスコア(バトルメモリー・ハネムーンガーディアン)
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所要タイム:57分11秒
護衛対象被弾率:0%
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総合評価:S
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報酬:資源カード(食料)100×10枚
資源カード(素材)100×10枚
100万ゴールド
ノーダメージボーナス:魔石4種セット×100
デイリークエストボーナス:50万ゴールド
ギフト:
コメント:見せてもらったよ。恭介君印のゴーレムの性能とやらを
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(兄さんはゴーレムを製造してないのですが…)
ルーナも自分達にアドバイスをしたかったとは知らなかったため、沙耶はルーナのコメントを見て首を傾げた。
それはそれとして、新しいゴーレムの試運転も無事に終わったから沙耶達はご機嫌な様子で瑞穂に帰った。
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