第232話 ゴーレムの性能の違いが戦力の決定的差であることをわからされた!
格納庫に戻って来た恭介は、マーヴェリックのコックピットから出てすぐに2機目のベースゴーレムの調整に入る。
リベリオンの設計図を挿入することで、ベースゴーレムはリベリオンに変化した。
その見た目は十字架によく似た兵器を背負った剣士であり、この十字架はビットになっている。
ビットがエネルギーバリアを形成し、そこに命中した攻撃のエネルギーを任意のタイミングでリベリオンの攻撃に上乗せして火力を上げられる。
デフォルトの装備ではなく、ウェイルスカイを使えるという点で通常のリベリオンよりも火力が高いという点は補足しておこう。
リベリオンのコックピットから恭介が出て来ると、微笑んでいる麗華が待っていた。
「お疲れ様。良いゴーレムの設計図が手に入ったみたいだね」
「まあな。リベリオンだってさ。マーヴェリックと同じでGBOじゃ見たことのないゴーレムだな」
「ドラシリーズが使えなくなっちゃったけど、リベリオンなら普段使いとしては合格なの?」
「スペックを見る限りでは及第点だ。それよりも、麗華は今日レースに挑むんだろ?」
コロシアムのソロプレイでモンスター30体を倒したため、ゴーレムと戦うのも悪くないが、麗華はレースに挑むべく調整していたので挑むコンテンツを変更しない。
「うん。ハザードコロニーに挑むよ」
「気をつけてくれ。あそこのコースもなかなか殺意が高い」
「わかる。シミュレーションで思い知らされたよ。でも、対策はばっちりだから」
「そうか。じゃあ、こっちで見守ってる」
恭介に見送られ、麗華はハーロットに乗り込んでレース会場に向かった。
『ハザードコロニーの入場門を開いたよ』
「ありがとう。いつもこんな感じで無駄口を叩かずサポートしてくれれば良いのに」
『それが理想かもね。だが断』
「ハウス」
ルーナに最後まで言わせないように麗華が遮り、それから入場門を通ってハザードコロニーに移動した。
ハザードコロニーは事故が発生して地球に向かって進んでいる小惑星がモチーフのコースであり、無重力の中をゴーレムがレースする。
既に7機のゴーレムが位置に着いており、麗華が位置に着くのを待っている。
1位の位置には、七つの大罪において傲慢を司る風属性のルシファー。
セラフにそっくりな見た目のゴーレムだが、セラフと違って機体を衛星のように守る4枚の盾がルシファーの場合は4つのビットに変わっており、防御ができない代わりにビームが放てる。
その点で考えてみると、ルシファーはセラフよりも攻撃に重きを置いていると言える。
2位の位置には、七つの大罪において憤怒を司る火属性のサタン。
サタンの見た目は正統派の悪魔であり、それに加えてリュージュが機械竜形態に変形した時のように口からビームが放てるだけでなく、翼から飛ばした火薬に着火して爆破することも可能だ。
手数よりも一撃当たりによるダメージを重視した機体と考えて良い。
3位の位置には、七つの大罪において嫉妬を司る水属性のレヴィアタン。
レヴィアタンは悪魔竜人と呼ぶべき外見がデフォルトだが、水龍形態にも変形可能である。
どちらの形態でも口からビームを放てるだけでなく、翼から展開したエネルギーフィールドで一定以上吸収した属性攻撃を任意のタイミングでビームに収束して放つことができる。
4位の位置には、七つの大罪において傲慢を司る土属性のベルフェゴール。
ベルフェゴールは防御特化のゴーレムで、攻撃を反射できる4枚の盾を衛星のように展開しており、攻めあぐねて隙ができたところを狙う戦い方をしやすい。
5位の位置には、七つの大罪において強欲を司る火属性のマモン。
マモンはアシュラと同じく6つの腕にそれぞれ剣を握っており、背中の一対の翼に仕込まれた銃で遠い敵も攻撃できるから、遠近どちらの距離でも戦えるバランス型だ。
6位の位置には、七つの大罪において暴食を司る風属性のベルゼブブ。
ベルゼブブは持久力に長けたゴーレムであり、攻撃を吸収できる盾を4枚ずつ衛星のように展開している。
吸収したエネルギーはベルゼブブの攻撃に転用できるから、ベルゼブブが防げる攻撃はすればするだけこちらが不利になる。
7位の位置には水属性のアスタロト。
本来であれば、残る七つの大罪である色欲を司るアスモデウスだけれど、GBO制作陣がゴーレムと色欲を結び付けられずに八つの枢要罪に含まれていた憂鬱が選ばれた。
ハーロットは色欲寄りのはずなのに、どうしてアスモデウスを使わなかったのかは謎である。
それはそれとして、憂鬱と言えばアスタロトだからアスモデウスの代わりにGBOで登場している。
アスタロトは自身に何かが近づけば近づく程そのスピードの落ちるフィールドを展開しており、装備されている銃で発射する時は逆に発射後のタイミングで銃弾が加速する。
いずれも特徴的なゴーレムの準備が整ったため、レース開始のカウントダウンが始まる。
『3,2,1,GO!』
スタートダッシュと同時に、麗華は予定通りにハーロットの信号をオンにする。
それが原因でハーロット以外のゴーレムがまともに操縦できず、ハーロットが一気に1位に躍り出た。
今回もハーロットよりスペックの高いゴーレムはいなかったから、麗華は2位以下を突き放すレベルで独走できたのだ。
信号の効果範囲外に出てもなお、麗華はゴーレムチェンジャーを使わずにハーロットのまま進む。
ハザードコロニーは武装した小惑星であり、今は緊急事態ということでアラームが鳴り続けている。
コースを破壊しようとする白の勢力とコースの破壊を防ごうとする黒の勢力が戦い、両勢力からレース参加者が狙われる。
麗華が最初に遭遇したのは白いドミニオン部隊で、ハーロットを捕捉して問答無用で攻撃し始める。
(ドミニオン程度じゃ私は止められないわ)
ハーロットの信号の範囲内に入れば、ドミニオンはまともに動けなくなって麗華を素通りさせてしまう。
レースを妨害するのがモンスターではなく、ゴーレムならばブリュンヒルデよりスピードは出なくてもハーロットのままレースに挑んだ方が被弾するリスクを減らせる。
ハザードコロニーに出て来るゴーレム達は、自分達に反撃しない者はしばらく追って成果を挙げられないと追いかけなくなるから、1周目はそのおかげで大した苦労もなく終わり、麗華は2周目に突入した。
2周目に入った途端、白と黒の勢力の戦いが激しくなり、コースのあちこちで爆発音が鳴り響き始める。
今度は黒い勢力のジャンクパラディン部隊がハーロットを捕捉し、一斉に接近して来る。
背負っているミサイルランチャーを発射しようとしたが、ハーロットの信号のせいで発射できずにハーロットを素通りさせてしまう。
何もできることがないとわかれば、黒い勢力のジャンクパラディン部隊も麗華と戦うのは時間の無駄と判断して寄り付かなくなった。
2周目の後半になると、マモンとルシファーがレース続行不可能な状態で撃墜されており、その先には中破したレヴィアタンとそれを執拗に攻撃するベルゼブブがいた。
ベルゼブブはハーロットが接近して来たことに気づき、スタート地点での出来事を思い出して攻撃対象をレヴィアタンからハーロットに変更する。
(私に構ってる暇はないんじゃないの?)
麗華がそう思いながらベルゼブブの攻撃を避けていると、白の勢力がベルゼブブとレヴィアタンをまとめて襲撃して撃破してしまった。
ハーロットが3周目に入ったことにより、ハザードコロニーに白と黒の勢力の艦体が接近して砲撃を開始した。
ベルフェゴールの防御性能やアスタロトのスピードダウンの性能をもってしても、数の暴力と高火力の組み合わせの前には敵わず、残骸になっているのを麗華は確認した。
麗華は
前方ではコースを挟んで白と黒の艦隊が主砲と副砲を順番に放ち、勢力争いの火力が一気に上がる。
それに運悪く挟まれてしまったサタンが撃破され、麗華はそれも
ハーロットの性能によってタイムアタックのようになってしまったこのレースも、麗華がゴールして終わった。
『ゴォォォル! 優勝は傭兵アイドル、福神漬け&ハーロットだぁぁぁぁぁ!』
麗華はハザードコロニーから脱出してすぐに、モニターに映し出されたレーススコアを確認する。
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レーススコア(ソロプレイ・ブリザードルインズ)
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走行タイム:45分27秒
障害物接触数:0回
モンスター接触数:0回
攻撃回数:0回
他パイロット周回遅れ人数:7人
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総合評価:S
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報酬:資源カード(食料)100×5枚
資源カード(素材)100×5枚
50万ゴールド
非殺生ボーナス:魔石4種セット×50
ぶっちぎりボーナス:リミットブレイクキット
ギフト:
コメント:ゴーレムの性能の違いが戦力の決定的差であることをわからされた!
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(ルーナがなんか言ってるけど、リミットブレイクキットの方が大事だから無視しましょう)
反応してもらえずしょんぼりするルーナがモニターに映っているけれど、麗奈はそれをスルーしてさっさと瑞穂の格納庫に帰還した。
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