第22章 パンゲア合流

第211話 もう全部恭介君とドラキオンで良いんじゃないかな

 恭介達が瑞穂に来て48日目、朝食を取って身支度を整えた恭介と麗華は屋敷から瑞穂に移動した。


「それじゃ、行って来る」


「うん。気を付けてね」


 格納庫で麗華に送り出された恭介は、ドラグレンに乗ってコロシアムに移動した。


『昨晩もお楽しみだったね』


「煩い。バトルメモリーのターミナル攻略戦に挑む。さっさと入場門を開け」


『はーい。デュエルトーナメントと同じく難易度が上がるからね』


「問題ない」


 新人戦のレベルでは物足りないと思っていたから、恭介は自信に満ちた声で応じてからドラグレンを操縦して入場門をくぐった。


 ソロで挑むことも考慮して制限時間は1時間に短縮しているため、30分経過した時点で破壊率50%未満だったらその時点で失格になる。


 移動した先は宇宙空間であり、離れた所にはターミナルと思しき惑星基地があった。


『ターミナル攻略戦、開始!』


「ギフト発動」


 恭介がギフトの発動を宣言し、彼はドラグレンのコックピットからドラキオンのコックピットの中に移った。


 誰よりも早くターミナルに到着したら、恭介は土精霊槌ノームハンマーを発動する。


 ヨグ=ソトースと戦っていた時、二度目に放った核ミサイルをイメージした一撃によってターミナルが半分だけ粉砕する。


『もう全部恭介君とドラキオンで良いんじゃないかな』


 ドラキオンのモニターには破壊率が50%とカウントされ、モニターに姿を現したルーナはジト目だった。


 実際のところ、一撃でターミナル攻略戦が終わらないようにどんな攻撃でも50%以上の破壊率を出せないようにルーナが調整している。


 もしもこの調整がなかったなら、最初の一撃でターミナル攻略戦は終わっていただろう。


 恭介が意外にターミナルは硬いと思っていると、攻められているターミナル側もこんな早くやられてなるものかと発進可能なエイブラムス部隊とシューゾフィドラー部隊が一斉にドラキオンを倒しにやって来る。


 しかし、恭介に先を越されたことで慌ててやって来たゴーレムも捕捉できたことから、途中で討伐対象を変更する敵も少なくなかった。


 第2回新人戦の際は開始早々にターミナルをトラペゾヘドロン型の結界が覆ったけれど、恭介の一撃によって結界を展開できないせいでターミナルは外敵の接近を防げない。


 エイブラムスとシューゾフィドラーの数が多いため、恭介はラストリゾートを蛇腹剣に変えて使ってどんどん数を削っていく。


 この2種の機体ではドラキオンを止められず、恭介は自分を襲って来る機体全てを撃破してしまった。


 ドラキオン以外の出場者が乗るゴーレムはまだまだ戦闘中だったから、ターミナルの破壊を進めるべく接近する。


 そして、ビームランチャー形態に変えたラストリゾートでターミナルを攻撃した直後にターミナルから中型戦艦が2隻現れる。


 2隻は姿を見せると同時に主砲をドラキオンに向かって放つ。


 (ここが使い時か)


 避けようと思えばあっさり避けられるのだが、恭介は敢えて避けずにギフトレベルが40に到達したことで得た力を使う。


 その力の名前は攻撃吸収アタックドレイン


 発動してから5秒間はドラキオンがエネルギーの球体に覆われて、自身に対するあらゆる攻撃をエネルギーに変換し、溜め込んだエネルギーは自由なタイミングでドラキオンの攻撃に上乗せあるいは加速できる効果がある。


 中型戦艦2隻分の主砲を吸収すれば、それはかなりのエネルギー量になる。


 (預かったエネルギーは利子付きで返してやるよ)


 恭介はドラキオンを中型戦艦2隻とターミナルが同一直線上に並ぶよう移動させ、竜鎮魂砲ドラゴンレクイエムを発射した。


 元々の威力に中型戦艦2隻分の主砲の威力を上乗せしたことで、当然のことながら中型戦艦2隻を撃墜してターミナルにも風穴が開いた。


 運が良いことに、恭介が撃ち抜いた区画には爆発するような物が多く安置されていたらしく、ターミナルは全壊した。


『恭介君ってば酷いや! 10分かからずに全壊させるなんて!』


「それを言うならルーナもあれはないだろ。最初の一撃で壊せたはずなのに不自然に半分だけ粉砕されたじゃん。あれってダメージ量を調整しただろ」


『ぐぬぬ…。こうなったら、恭介君にはエクストラマッチに挑んでもらいたい』


「エクストラマッチ?」


 ルーナから第2回新人戦にはなかったエクストラマッチに挑んでくれと言われ、恭介はその説明を言外に促す。


『そう、エクストラマッチ。ターミナル最強戦力のゴーレムと1対1で戦ってよ。それ以外は味方も敵も消すし、報酬は上乗せするからさ』


「別にやる必要なくない? どうせ10分で全壊させたから報酬は期待できるし」


『そんなこと言わないでよ。本当はターミナル攻略戦の後半で現れるはずだったのに、偶然だろうけど恭介君が出撃する前に撃ち抜いちゃったんだ。折角用意したんだから、出番を与えてほしいな』


 (ぶっちゃけめんどいけど、戦わないとルーナが帰してくれなさそうだな)


 さっさと帰りたかったが、ルーナにごねられると面倒だから戦って倒してしまった方が良いと判断して恭介は頷いた。


「わかった。ただし、ちゃんと報酬は俺を満足させられるものを用意してくれよな」


『勿論! じゃあ、エクストラマッチに移行するよ!』


 その瞬間、遠くの方から1機のゴーレムがドラキオンに接近して正面で止まった。


 エクストラマッチの相手としてルーナが用意したゴーレムは、ゲヘナキーパーに似ているが色は黒くて宇宙空間では視認しにくい機体だった。


 体のあちこちに短いナイフをサブウエポンとして装備しており、メインウエポンはエストックだった。


『エクストラマッチ、ドラキオンVSアサルトノワール、始め!』


 ルーナが開始の合図を告げた途端、アサルトノワールが周囲の景色に同化した。


 (消えるゴーレムか。面倒だな)


 そのまま動かずいると的にされてしまうから、恭介はラストリゾートを蛇腹剣に変えて剣舞を放つ。


 確実に避けるには離れなければならないようにしたため、アサルトノワールはドラキオンから離れていく。


 安全マージンを確保しようと焦ったため、恭介は景色が揺らいだところを見逃さずに蛇腹剣で斬った。


 必死に躱そうとしたアサルトノワールだが、躱し切れずに膝から下を切断されてしまった。


 切断の影響で景色に同化する機能が一時的に途切れ、恭介は素早くラストリゾートをビームライフルに変形させて連射し、アサルトノワールのコックピットを撃ち抜いた。


 アサルトノワールが爆散し、エクストラマッチが終了したことでルーナがムスッとした表情でモニターに現れる。


『はい、おしまい。コロシアム前に戻って来て』


 現れた退場門を通ってコロシアム前に移動したら、ドラキオンのモニターにバトルスコアが表示された。



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バトルスコア(バトルメモリー・ターミナル攻略戦)

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討伐タイム:12分30秒

ゴーレム撃墜数:49機

戦艦撃墜数:2隻

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総合評価:S

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報酬:資源カード(食料)100×10枚

   資源カード(素材)100×10枚

   100万ゴールド

ノーダメージボーナス:魔石4種セット×100

最短記録ボーナス:アップデート無料チケットⅡ(フリー)

エクストラマッチボーナス:ギフトレベル上限更新

ギフト:黄竜人機ドラキオンLv41(up)

コメント:恭介君だけギフトレベルの上限が50になったよ

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「ギフトレベルの上限が伸びるのは恩恵がわかりやすいけど、アップデート無料チケットⅡ(フリー)って何? 一気に2つアップデートできるの?」


『その通り! 上限に到達してない施設を一気に2段階アップデートできちゃうよ! おすすめは格納庫かな?』


「確かにver.8で止まってたっけ。2段階アップデートすれば、ゴーレムの作成と修理素材を40%カットできるからありがたいな」


 瑞穂クルー全員にメリットがあるから、恭介はアップデート無料チケットⅡ(フリー)で格納庫をアップデートすることに決め、ギフトを解除してから瑞穂の格納庫に戻った。

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