第192話 見せられないよ!
起床した恭介は隣にいる麗華に抱き枕にされていた。
「おはよう、恭介さん」
「おはよう、麗華」
「眉間に皺を寄せたり苦笑いしてたけど、どんな夢を見たの?」
「ルーナが夢の中に出て来たんだ」
そう言った瞬間、麗華は嫌そうな顔になった。
麗華のギフトレベルは28だから、ルーナと口にしてもフォルフォルとしか聞き取れない。
それゆえ、麗華の耳にはフォルフォルが夢の中に出て来たと聞こえた訳だが、そんな夢は麗華にとって悪夢以外の何物でもないから嫌そうな顔をした訳である。
身支度を整えて朝食を取るべく食堂に行くと、2期と3期パイロットが揃っており、ルーナがモニターに現れてニューイングランド侵攻作戦について説明した。
いつも襲撃されていたこともあり、こちらから仕掛ける作戦に反対する者はいなかった。
『総員、ハイパードライブモードに移行します。安定するまでは近くの手すりに掴まって下さい』
ラミアスの指示に従い、恭介達はハイパードライブモードに入っても問題ないように近くの手すりに掴まった。
一瞬だけ加速した感じがしたけれど、すぐに体の感覚は戻った。
明日にはニューイングランドに到着すると聞かされているため、恭介達はそれぞれその準備をするべく別れた。
恭介はコロシアムに向かい、バトルメモリーに挑戦することにした。
『恭介君、どのイベントに参加するんだい?』
「コレクト&ビルドだ。代理戦争で唯一参加してないからな」
『そうだったね。でも、恭介君がコレクト&ビルドに挑戦すると大変そうだね』
「戦場には既出のモンスターがおり、倒して設計図や鉱物マテリアルを集めるってルールがあるからか?」
第3回代理戦争のバトル部門で行われたコレクト&ビルドには、挑戦者が遭遇したことのあるモンスターが出て来るというルールがある。
したがって、ほとんどのコンテンツをクリアした恭介が挑戦すれば、どんなモンスターが登場してもおかしくないのだ。
ルーナが大変そうと言った理由はそれである。
『うん。まあ、その分だけ報酬には期待できるだろうけどさ』
「それが狙いさ。むしろ、そうじゃなくちゃ困る。探索時間は30分で頼む。さあ、入場門を開いてくれ」
『はーい』
リクエスト通りにルーナが入場門を開き、恭介はドラグレンを操縦してその中に入った。
入場門を通った先にあったのは、代理戦争の時と同じ草原ではなく闘技場だった。
『コレクト&ビルド、始め!』
(おいおいおいおい、冗談じゃねえぜ!)
恭介はそんな感想を抱きつつ手を動かし、蛇腹剣形態のファルスピースを左から右に薙いで自分を囲むゴーレムを一刀両断した。
それでも、攻撃の最後の方になった機体はコックピットを切断できずまだ生き残っていたため、一対の翼の銃で撃ち抜いた。
予想外なスタートとはこのことで、恭介の乗るドラグレンは9機のゴーレムに囲まれた状態でスタートしたのだ。
そのポジションはどう考えても狩られる側のものであり、悪意に満ちたスタートだと言える。
9機のゴーレムを倒したことで、そのゴーレムを構成していた
集まった分だけでゴーレム1機と武器1つを十分に作成できるだけあった。
(不幸中の幸いって言えば良いのかね、こういうのは)
ドラグレンを取り囲むゴーレムが光の粒子になって消えるのと同時に、闘技場の上空にロイヤルデーモンが現れた。
ロイヤルデーモンはすぐに魔法陣を展開し、そこからエースオブダイヤとジャックオブスペード、クイーンオブハート、キングオブクラブを召喚する。
(獲物がのこのこやって来てくれたと思えば効率的か)
恭介が観戦していた限りでは、コレクト&ビルドでここまで集中的に狙われた者はいなかった。
それがどうしてこうなったとルーナを問い詰めたいところだけれど、問い詰めるよりも先に目の前の敵を倒さなくてはならない。
まずはコックピット下からロイヤルデーモンにビームを放って仕留め、これ以上召喚できないようにする。
そのすぐ後にジャックオブスペードを一対の翼の銃で仕留めたら、ゴーレムチェンジャーでドラクールに乗り換える。
火属性のキングオブクラブと水属性のクイーンオブハートをソードウイングと二対の翼の銃で仕留めたところで、ドラクールと属性的に相性の良いエースオブダイヤが仕掛けて来る。
「ようこそ死地へ」
恭介は再びゴーレムチェンジャーを使い、ドラクールからドラストムに乗り換えて
短時間で5体の敵を倒し、そのドロップアイテムとしてアマイモンとアリトン、オリエンス、パイモンの設計図と設計図合成キットを手に入れた。
現時点で恭介は
『一体恭介君の何がこれだけの敵と運を引き寄せるんだ…』
「俺が知るはずないだろ」
タイムパフォーマンスの良い恭介を見て、モニターに現れたルーナは戦慄していた。
ルーナにわからないならば、恭介だってどうなっているのかわかるはずあるまい。
闘技場の奥に続く鉄格子が上がったことに気づき、恭介はドラストムを操縦して先に進む。
進んだ先で鉄格子が激しい音を立てて落下し、ドラストムが2番目の闘技場の中に閉じ込められた。
そこは足場のない水オンリーの闘技場であり、水面にリヴァイアサンがいて、上空にはデメムートがいた。
「ギフト発動」
恭介がギフトの発動を宣言し、彼はドラストムのコックピットからドラキオンのコックピットの中に移った。
リヴァイアサンとデメムートに挟撃されるのは面倒だから、恭介は惜しみなく
デメムートの頭上にデメムートを上回るサイズでの出現を指定すれば、特注サイズの槌が召喚されて恭介の狙った場所にそれが振り下ろされる。
デメムートがぺちゃんこになるだけでは留まらず、リヴァイアサンも人に見せられないモザイク加工が必要な状態になった。
『見せられないよ!』
「俺もちょっとそう思った」
『だったらもう少し加減しようよ』
「ぺちゃんこにしたことは後悔してない。やるなら徹底的にやるんだ」
『これがトゥモロークオリティなんだね、わかったよ』
モニターに映るルーナはやれやれと首を振った直後、タイムアップを告げるブザーが闘技場に鳴り響いた。
それと同時に恭介は格納庫によく似たエリアに転移させられ、そこにはベースゴーレムが目の前に安置されていた。
恭介は設計図合成キットを使ってソロモンの設計図を合成した後、リヴァイアサンから手に入れたモーセの設計図をデメムートから手に入れた設計図合成キットで合成した。
その結果、恭介は
『はい、そこまで! 早速評価を始めるよ~』
ルーナがビルドの時間は終わりだと宣言し、そのまま評価の時間になった。
ドラキオンの足元に魔法陣が現れてコロシアム前に転送され、それと同時にバトルスコアがモニターに表示される。
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バトルスコア(バトルメモリー・コレクト&ビルド)
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得点:500
モンスター討伐数:7体
ゴーレム撃墜数:9機
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総合評価:S
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報酬:資源カード(食料)100×10枚
資源カード(素材)100×10枚
100万ゴールド
ゴーレム撃墜ボーナス:90万ゴールド
最高記録到達ボーナス:ドラキオン専用兵装ユニット
ギフト:
コメント:時々恭介君がチートでも使ってるんじゃないかって思うよ
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「失礼だな。実力だよ」
『うん、知ってるけどそう言いたくもなるのさ。それよりも、
「頼む」
『わかった。前提として、通常時はドラキオンの腰の両側に折りたたまれてる兵装ユニットだよ。使いたい時に願ってくれれば勝手に発射準備を整えてくれるんだ。左右の腰から陽電子砲を発射するレールガンとしてね』
「おぉ、レールガン。良いね」
恭介は
実際に
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