第188話 ヤッダーバァアァァァァアアアアア
恭介と麗華が宇宙空間に出撃していた頃、沙耶と晶はコロシアムに来ていた。
昨日の襲撃の報酬で、沙耶も晶も新しいゴーレムの設計図を手に入れたことにより、2人は昨日までと違うゴーレムに搭乗している。
沙耶が昨日の報酬で手に入れたのはメイドレイクの設計図で、このゴーレムはドラゴンメイドをモチーフにしたデザインだ。
デルピュネとメイドレイクは同格であり、沙耶は設計図合成キットを使ってガイアドレイクの設計図を完成させた。
ガイアドレイクは恭介の操縦できるドラシリーズには劣るが、竜人型ゴーレムとしてはリュージュに並ぶ強さがある。
変形して口からビームを放てるのはリュージュと一緒だが、変形先は機械竜ではなく機械地龍と呼ぶべき見た目だから、機械地龍に変形している時だけ翼のパーツが分離して2つのビットに変わり、衛星のように本体の周囲をグルグルと回る。
ビット状態の翼はエネルギーシールドを展開してくれるから、機械地龍形態のガイアドレイクは固定砲台にもなれる。
その一方、晶が昨日の報酬で手に入れたのはフラッシュハーミットの設計図で、これは発光するのと同時に姿をくらます性能のゴーレムだ。
フラッシュハーミットはアイトワラスと同格なので、晶も設計図合成キットを使ってサルガタナスの設計図を完成させた。
サルガタナスは悪魔型ゴーレムであり、翼に銃が仕込まれているとか口からビームを撃てるとかの機能はないが、透明になって行動できるという隠密向きな機能がある。
ただし、攻撃するにはその機能を解除しなければならないが、狙撃の準備を終えた状態で透明化を解除して攻撃すれば、透明化が解除されるまで一般的なセンサーにも反応しないから奇襲の成功確率は高まる。
午前に沙耶も晶も新しいゴーレムに乗って宝探しとコロシアムのソロプレイを行っており、準備も整ったから午後になってコロシアムのマルチプレイに挑むことにしたのだ。
現在、2人は21体目~25体目のモンスターを5連続で戦っているところで、22体目のバトルグリモアを丁度倒し終えたところである。
バトルグリモアの体が光の粒子になって消え、それと入れ替わるように23体目のデモニックブレードが現れた。
デモニックブレードの外見は悪魔の翼を模った大剣であり、柄の中心にぎょろりとした目玉が埋め込まれている。
自身が出現するのと同時に魔法陣を展開し、デモニックブレードはそこから無数の剣を召喚する。
それからすぐに召喚した全ての剣を鎧のように纏い、集合することで巨大な大剣になってみせた。
「晶さん、私が陽動の役割を引き受けます。潜んで本体が露出したタイミングで狙撃して下さい」
『OK』
手短に作戦を決め、沙耶はガイアドレイクを機械地龍形態に変形させる。
それから、左から右へ薙ぎ払うようにガイアドレイクの口からビームを放てば、デモニックブレードの召喚した剣がどんどん消えていく。
一度に大量召喚したこともあり、個体で考えると大した耐久力もないようだ。
ただし、危うく本体が露出する前に失った分だけ剣を召喚したため、鎧は元通りになった。
「もう一度です」
今度は右から左へ薙ぎ払うようにビームを放ち、再びデモニックブレードが召喚した剣を一気に消滅させる。
『
先程まで姿をくらましていたサルガタナスが現れ、
目玉が破壊されたことにより、デモニックブレードの纏っていた剣はボロボロと地面に落ちる。
それでも倒し切れていないとわかったため、沙耶はガイアドレイクを竜人形態に戻してから死蛇腹剣を伸ばしてデモニックブレードを切断した。
デモニックブレードも光の粒子になって消え、次のトリニティワイバーンがコロシアム上空に現れる。
「「「ウィアァァァァァ!」」」
それぞれの頭から、トリニティワイバーンは叫んだ。
その咆哮の直後に3つの頭からブレスが発射される。
狙いはデモニックブレードを倒した沙耶だったため、沙耶は機械地龍に変形して翼のビットから生じたエネルギーシールドで全てのブレスを防いでみる。
「通りませんよ。無駄です」
『
まず左側の頭部の眉間を弾丸が通過し、力なくその頭部が空だの前面に垂れ下がる。
「薙ぎ払うとしましょう」
「ウィアァァァァァ!?」
左右両方の頭が消えてしまい、トリニティワイバーンの残った中央の頭が痛みと驚きを隠せずに叫んでいた。
『
晶は最後の1つも撃ち落し、トリニティワイバーンの頭全てが失われた。
脳がなければ空を飛び続けることもできず、首無し状態のトリニティワイバーンの死体が地面に墜落した。
トリニティワイバーンの体が消え、いよいよ次が本日最後の戦闘だ。
デメムートはトリニティワイバーンと同様に、コロシアムの上空から現れた。
巨大な青い出目金と呼ぶべき見た目のくせに、トリニティワイバーンよりデメムートの方が強いのだから、世の中何が起こるかわかったものではない。
デメムートが現れてすぐに大きく口を開け、ガイアドレイクとサルガタナスを吸い込み始める。
「食べられる訳にはいきません!」
『撃ちまくるよ!』
晶の放つビームは同じ水属性だけれど、沙耶のガイアドレイクは土属性でデメムートと相性が良いから、機械地龍形態で放つビームはデメムートに吸い込まれても吸収できず、デメムートの顔色が悪くなった。
「今がチャンスです!」
『やるなら今しかない!』
吸い込みが中断された今、デメムートは空に浮かぶただの的と化している。
沙耶も晶も徹底的にデメムートに攻撃し、両目や鰓、鰭、尾鰭を破壊された影響で姿勢を制御できなくなったデメムートは空から地面に墜落した。
落下ダメージでヒクヒクしているデメムートに対し、沙耶はガイアドレイクを竜人形態に戻して
デメムートの体が光になって消えたので、5連戦は終わりを迎えた。
ガイアドレイクのモニターにコロシアムバトルスコアが表示され、沙耶はそれを確認し始める。
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コロシアムバトルスコア(マルチプレイ)
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討伐対象:①タクティクスドラゴンフライ②バトルグリモア
③デモニックブレード④トリニティワイバーン
⑤デメムート
部位破壊:①全個体②全身③目④頭(全て)
⑤目(左右)/鰓/鰭(左右)/尾鰭
討伐タイム:29分43秒
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総合評価:S
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報酬:100万ゴールド
資源カード(食料)100×10
資源カード(素材)100×10
ノーダメージボーナス:魔石4種セット×100
デイリークエストボーナス:リペアチケット
ギフト:
コメント:悪くないね。クトゥルフ神話の
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「やはりまだまだ足りませんか」
フォルフォルのコメントが予想通りだったので、沙耶は武器の強化やガイアドレイクの更なる強化が必要なのだろうと考えた。
『ちなみに、恭介君達はさっき豊穣の女神シュブ=ニグラスから戦闘中に子種が欲しいって言われたよ』
『ヤッダーバァアァァァァアアアアア』
「…晶さん、それはどういう感情ですか?」
『そうだね、名状しがたい感情だね』
フォルフォルから齎された情報は、晶がおかしくなってしまう程の破壊力があった。
午前に晶のギフトレベルが20になったため、沙耶とギフトレベルでは2つ差が開いている。
それが晶よりも沙耶を冷静たらしめた要因なのだろう。
もっとも、沙耶も恭介が複数の女性どころか敵性生物からも好かれたと聞いて苦笑いしているのだが。
とりあえず、バトルスコアの確認が終わればコロシアムでやるべきことはもうないから、沙耶と晶は瑞穂の格納庫へと戻った。
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