第159話 麗華ちゃんに触手から守ってもらってどんな気持ち?
麗華が恭介に甘えて落ち着いて来たので、2人は戻って来た沙耶達と共に昼食を取った。
昼食の場でお互いの進捗について情報交換を行い、沙耶と晶がタワーの20階層まで到達したことを知った。
まだまだ余裕があったため、午後は25階層までの攻略を目指してタワーに挑むそうだ。
そんな沙耶達がタワーに向かった後、タイミングが悪いことに格納庫のモニターにラミアスが現れた。
『総員、第一種戦闘配備。繰り返します。総員、第一種戦闘配備。侵略者が現れました』
「ラミアス、敵はショゴスとナイトゴーント、シャンタク鳥以外にいるのか?」
『今のところおりません。ただし、前回の戦闘のように突然乱入する者がいないとは限りませんが』
「そうだな。麗華、行くぞ」
「うん」
恭介達は格納庫に移動し、それぞれドラグレンとブリュンヒルデに搭乗する。
恭介がドラグレンをカタパルトまで移動させると、ラミアスの声がコックピット内に響く。
『進路クリア。ドラグレン、発進どうぞ!』
「明日葉恭介、ドラグレン、出るぞ!」
ドラグレンがカタパルトから射出されたのを確認し、麗華がその後に続く。
『ブリュンヒルデ、発進どうぞ!』
『更科麗華、ブリュンヒルデ、出るわよ!』
ブリュンヒルデもすぐに宇宙空間に飛び出し、恭介のドラグレンの後ろに続いた。
恭介達の前方には、ショゴスとナイトゴーントの混成集団がいた。
その奥にはシャンタク鳥も3体いるようである。
『『『…『『テケリ・リ!』』…』』』
『『『…『『ヨォォォォォ!』』…』』』
「鬱陶しいな。麗華、俺がショゴスをやる」
「それなら私がナイトゴーントだね。了解」
素早く役割分担を決め、恭介はショゴス達に狙いを定めて攻撃し始める。
恭介がショゴスを引き受けると言ったのは、ゴーレムチェンジャーで3つの属性を使い分けられるからだ。
麗華も2つの属性を使い分けられるけれど、ショゴスに恭介が対応するならば麗華はナイトゴーントを倒した方が効率的なのだ。
ショゴス達がドラグレンに倒された同族の死体を喰らって火属性になったのを確認し、恭介はゴーレムチェンジャーを使ってナグルファルに乗り換える。
「レジェンドブルーの使い心地、試させてもらうぞ」
大剣形態のレジェンドブルーで火属性になったショゴスを順番に切断し、背後から襲い掛かって来る個体はソードウィングの蛇腹剣で対処した。
ついでに近寄って来たショゴスも倒してしまえば、この領域におけるショゴスはいなくなった。
その瞬間、シャンタク鳥3体がショゴスの死体を喰らうべく接近して来たため、恭介はゴーレムチェンジャーで再びドラグレンに乗り換え、蛇腹剣にしたファルスピースを横に薙ぐ。
1体だけ躱されてしまったが、すぐに一対の翼の銃で避けた個体を撃墜したので問題はない。
恭介がシャンタク鳥3体を倒し終えた時には、麗華もナイトゴーント達を倒し終えていた。
『恭介さん、麗華さん、気を付けて下さい! 新手が来ます!』
ラミアスの声がコックピット内に響き、恭介達は周囲を観察する。
それにより、恭介も麗華も前方から背中に一対の翼を生やし、三対の鉤爪がついた手足を持った甲殻類と呼ぶべき生物を捕捉できた。
その生物の頭には多数の触角が生えており、渦巻いたような模様の色が定まらずなんとも不気味である。
「ラミアス、データベースに敵の情報はあるか?」
『少しお待ち下さい。…ありました。あれはC004ミ=ゴです』
ラミアスから目の前の生物がミ=ゴであると知らされた直後、ミ=ゴは触角を恭介と麗華が倒した侵略者達に素早く伸ばした。
(死体を回収する気か?)
恭介の予想は次の瞬間に外れたことがわかる。
何故なら、触角は侵略者達の死体を突き刺してその養分を吸収したからである。
養分を吸い尽くされた死体はぺらっぺらの干物になり、そのまま形を保てずに塵となって消えた。
その一方で、ミ=ゴの体は一回り大きくなって三対の手足がそれぞれ赤と青、緑に変色した。
「まさか、色ごとの属性を手に入れたのか?」
『多分そうだと思う。恭介さん、緑色の部分に攻撃してみて』
「わかった」
自分達の予想が正しければ、ミ=ゴの緑色の鉤爪を生やした手足は風属性になっているから、火属性のドラグレンで攻撃すれば大ダメージを与えられるはずだ。
恭介はファルスピースをビームランチャーに変形させ、緑の鉤爪を狙撃する。
火属性のビームが命中した途端、緑の鉤爪が爆散してミ=ゴは全身を震わせた。
攻撃されたことで怒ったらしく、今度はミ=ゴが触角を青く変色させてからドラグレンに向けて伸ばす。
どうやらドラグレンも触角によって吸収するつもりのようだ。
『恭介さんに手を出すな!』
麗華はミ=ゴの側面に回り込み、
それらのビームは触覚を正確に命中し、ドラグレンに届く前に触角の破壊に成功した。
「反撃なんてさせない」
恭介はゴーレムチェンジャーによってナグルファルに乗り換え、大剣形態のレジェンドブルーの刃を伸ばして赤い鉤爪を切断した。
またしても効果が抜群な属性による攻撃を受けてしまい、ミ=ゴはブルッと揺れて動きが止まった。
『ギフト発動! 一斉掃射よ!』
麗華が
ビームによって体に大きな風穴が開いた直後、ミ=ゴの頭の渦巻模様が広がって体全体を吸い込み、暗緑色の光の粒子になって消えた。
『お疲れ様です。敵性反応が完全に消えました。恭介さん、麗華さん、瑞穂に帰艦して下さい』
「『了解』」
ラミアスから帰艦の指示があったので、恭介と麗華は瑞穂に戻った。
着艦と同時に恭介達のゴーレムのコックピットにスコアが表示される。
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バトルスコア(VSクトゥルフ神話)
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出動時間:25分42秒
撃破数:ショゴス30体
ナイトゴーント20体
シャンタク鳥3体
ミ=ゴ1体
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総合評価:S
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報酬:資源カード(食料)100×5枚
資源カード(素材)100×5枚
50万ゴールド
ファーストキルボーナス:武器合成キット
ノーダメージボーナス:魔石4種セット×50
ギフト:
コメント:麗華ちゃんに触手から守ってもらってどんな気持ち?
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「フォルフォル、何が言いたい?」
『恭介君が気づいたらお姫様ポジションになってる件について』
「誰がお姫様ポジションだって?」
『ミ=ゴの触手から守ってもらったじゃないか。あのままだったらくっ
フォルフォルの言い分を聞き、恭介は余計なことを考える前に反論する。
「俺が麗華を守るように麗華も俺を守ってくれた。それだけだ。くだらないこと言ってるなら消えろ」
『はーい』
フォルフォルがモニターから消えたところで、恭介は麗華に話しかける。
「麗華、さっきはありがとう。報酬はどうだった?」
『どういたしまして。ミ=ゴのファーストキルボーナスで
「おめでとう。ギフトの方はどうだった?」
『遂にLv20だよ。でも、ここから先はもっとレベルアップにお金がかかりそうかも』
麗華の
仕方のないこととはいえ、麗華の声に若干元気がないのも頷ける話である。
その後、麗華は武器合成キットを使って
ジャバウォックはドラゴンの口が砲身になっている銃であり、実弾とビームを使い分けられるだけでなく、単発と連射も自由に切り替えられるというものだった。
威力と発射速度も上がっており、麗華が
ここ数日で毎日侵略者との戦闘を行っているが、今のところ恭介達は順調に対応できているので良い流れができていると言えよう。
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