第16章 侵略者との遭遇
第151話 SAN値がピンチじゃないですか
恭介達が瑞穂に来てから34日目、朝食後に沙耶と晶が3期パイロットのメンターの役割終了だとフォルフォルから聞かされた後、モニターにラミアスが現れた。
『総員、第一種戦闘配備。繰り返します。総員、第一種戦闘配備。侵略者が現れました』
「ラミアス、敵はなんだ?」
ラミアスが瑞穂の艦長として自分達のサポートをしてくれることは聞いていたが、どこまでのサポートを期待できるのか確かめる目的もあって恭介は訊ねた。
『瑞穂のデータベースに該当がありました。ショゴスです』
「まずは下っ端か。麗華、行くぞ。沙耶は待機だ。ショゴスの強さがわからんからな」
「うん」
「わかりました。ご武運を」
沙耶に見送られ、恭介と麗華は格納庫にある各々のゴーレムに乗り込んだ。
恭介がリュージュをカタパルトまで移動させると、ラミアスの声がコックピット内に響く。
『進路クリア。リュージュ、発進どうぞ!』
「明日葉恭介、リュージュ、出るぞ!」
宇宙空間に出撃する時専用のリニアカタパルトから射出され、リュージュが瑞穂の外の宇宙空間に飛び出した。
その後に麗華が続く。
『ブリュンヒルデ、発進どうぞ!』
『更科麗華、ブリュンヒルデ、出るわよ!』
ブリュンヒルデもすぐに宇宙空間に飛び出し、恭介のリュージュの後ろに続く。
恭介達は前方に灰緑色の不定形な集団を見つける。
『『『…『『テケリ・リ!』』…』』』
『恭介さん、あいつ等の声が聞こえない?』
「聞こえちゃったな。原理は全くわからんが。とにかく倒すぞ。クトゥルフ神話の生物なんて相手にしてる時間を短くするに越したことはない」
『賛成!』
恭介はファルスピースをビームライフルに変え、ショゴスに攻撃を開始する。
それに続いて麗華も
手前にいるショゴスから撃たれて活動が停止するが、奥にいる個体が撃たれて動かなくなった個体を捕食し始める。
「おいおい、味方の死体を喰い始めたぞ」
『嫌な予感しかしないね』
話をしてはいるものの、恭介と麗華は腕を止めずにショゴス達を攻撃する。
死んだ個体は後ろの個体に捕食され、前に出れば恭介達に撃たれるのを繰り返していると、麗華があることに気づく。
『恭介さん、ビームの効きが悪くなってる気がする』
「…まさか、ビームにやられて死んだ個体を捕食することで、ビームに対する耐性を得てるのか?」
『もしくは攻撃された属性を得たのかも。恭介さん、私が倒した個体を食べたショゴスを攻撃してみて』
「それで明らかになるか。よし、わかった」
どうか麗華の予想通りで会ってくれと願いつつ、恭介は麗華が言った個体を狙撃した。
その結果、撃ち抜かれた個体が爆発した。
『やった~!』
「麗華の言う通り、捕食した個体が受けたダメージの属性を得たらしい。でも、そうなると俺が攻撃した個体に麗華が攻撃しても効き目がもっと薄くなるよな」
『下っ端のくせに厄介な特性を持つだなんて…』
「ここは俺に任せろ」
恭介はそう言ってから、リュージュを機械竜形態に変形してビームでショゴスの群れを薙ぎ払った。
ファルスピースから放たれるビームに比べ、機械竜形態のリュージュのビームの方が威力は強い。
それに加え、風属性になったショゴスが火属性のビームで爆発して周囲のショゴスを巻き込んだおかげでまとめて殲滅できた。
「周囲に後続の敵はいなさそうだな」
『そうだね。ブリュンヒルデでもこの周囲に敵は見つけられなかったよ』
『お疲れ様です。恭介さん、麗華さん、瑞穂に帰艦して下さい』
「『了解』」
ラミアスから帰艦の指示があったので、恭介と麗華は瑞穂に戻った。
着艦と同時に2人のゴーレムのコックピットにスコアが表示される。
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バトルスコア(VSクトゥルフ神話)
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出動時間:30分54秒
撃破数:ショゴス30体
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総合評価:S
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報酬:資源カード(食料)100×5枚
資源カード(素材)100×5枚
50万ゴールド
ファーストキルボーナス:ゴーレムチェンジャー
ノーダメージボーナス:魔石4種セット×50
ギフト:
コメント:ゴーレムチェンジャーがダブるとかどんな確率?
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(そんなこと言われても知らんがな)
恭介が心の中でツッコんだところで麗華が話しかける。
『恭介さん、私もベースゴーレムをゲットしたよ』
「丁度良いな。俺は2つ目のゴーレムチェンジャーを手に入れたんだ。これは麗華に使ってもらおう」
『おぉ、私も遂に戦場でゴーレムを乗り換えられるようになるんだね。ありがとう』
そこまで話した後、恭介と麗華は各々のゴーレムから出て来た。
沙耶は戻って来た2人を出迎える。
「お疲れ様です。不気味な相手でしたね」
「不気味だったさ。頭にテケリ・リって声が直接聞こえて来るんだから」
「SAN値がピンチじゃないですか」
「長時間奴等と戦闘するのは避けたいところだな」
沙耶がそれは一大事だと驚いている一方で、恭介は冷静に応じた。
「恭介さん、ショップチャンネルをチェックしたいな」
「そうだったな。見に行こうか」
2機目を何にしようかと楽しみにしていたため、麗華は恭介に早くショップチャンネルを見に
恭介も麗華の2機目のゴーレムに興味があったため、そのまま3人で
○設計図
・ペンドラゴンの設計図 200万ゴールド
・ゴリアテの設計図 200万ゴールド
・アリトンの設計図 250万ゴールド
・マザーフレームの設計図 300万ゴールド
・ファザーフレームの設計図 300万ゴールド
○鉱物マテリアル
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○武器
・大鎖鎌(
・ショットガン(
・大太刀(
○魔石
・4種セット×10 1万ゴールド
・4種セット×50 5万ゴールド
・4種セット×100 10万ゴールド
○チケット
・リペアチケット 100万ゴールド
・ワープチケット 100万ゴールド
戦艦関連のアイテムは今日のショップチャンネルには表示されていなかったが、これは現在購入できる物がないからである。
「うわっ、設計図の最安値が200万ゴールドとかあり得ないわ~」
「まあまあ。それだけ優秀な設計図なんだから」
今日のショップチャンネルのラインナップを見て、麗華は設計図の代金が高いことを嘆いた。
恭介も最安値が200万ゴールドであることに驚いたが、それでも設計図の中身を知って麗華を宥めた。
「どれも恭介さんがレースで戦った相手だよね。恭介さんのイチ押しはある?」
「アリトンかな。マザーフレームとファザーフレームは宇宙空間じゃ実力を発揮できるか怪しいから」
「なるほど。確かに言えてるかも。ショゴスを相手に属性を変えるんだったら、火属性の相手を倒す時に使える水属性のアリトンが良いってことだね」
「正解」
自分の考えを麗華が正確に読み取ったと判断し、恭介はニッコリと笑ってその認識で合っていると頷いた。
麗華は恭介に薦められたアリトンを購入し、250万ゴールドを支払った。
それでも500万以上のゴールドが残っており、今の自分が貧乏ではないと気づいてご機嫌だった。
購入した設計図を格納庫のベースゴーレムのコックピットに挿入し、麗華はゴーレムを構成する鉱物マテリアルを
これで麗華はブリュンヒルデとアリトンを状況に応じて使い分けられるようになり、次のショゴスとの戦闘では恭介に任せっきりにしなくて済むと喜んだ。
麗華の調整作業が終わっても昼食まで時間があったため、恭介はリュージュに乗り込んでレース会場に向かった。
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