第137話 男ならノア、女ならラミアスと名付ける
格納庫に帰還してすぐに、恭介と麗華は
「地味にありがたいよな」
「うん。健康は大事だもの」
医務室とトレーニングルームをアップデートしたことで、それぞれver.7になった。
医務室には酸素カプセルが加わり、トレーニングルームには卓球台と卓球の道具一式が加わった。
健康であるための設備、気分転換ができる設備があることはウェルカムなので、恭介達はアップデートによる変化を喜んだ。
それから、今日はまだショップチャンネルを確認していなかったことに気づき、2人はモニターを操作する。
○設計図
・アラクネの設計図 50万ゴールド
・ジャンクナイトの設計図 75万ゴールド
・ケイローンの設計図 100万ゴールド
・ナイトシーカーの設計図 150万ゴールド
・ペンドラゴンの設計図 200万ゴールド
○鉱物マテリアル
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○武器
・斬馬刀(
・メイス(
・ガトリングガン(
○魔石
・4種セット×10 1万ゴールド
・4種セット×50 5万ゴールド
・4種セット×100 10万ゴールド
○チケット
・リペアチケット 100万ゴールド
・ワープチケット 100万ゴールド
○戦艦関連
・キャプテンプログラム 100万ゴールド
・ミサイルプログラム 200万ゴールド
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(戦艦関連ってのは、今後のことを考えると購入した方が良いんだろうな)
「麗華、戦艦関連を全部買おうと思う。一緒に出してくれるか?」
「うん。クトゥルフ神話関連の侵略者が相手なら、ここは全部買うべきだと思う」
「ありがとう」
恭介が1,500万ゴールド、麗華が1,000万ゴールド払うことで戦艦になったホームが一気に武装された。
その瞬間、モニターに映る戦争関連の項目が売り切れになり、ホームが一瞬にして改造された。
そして、フォルフォルが拍手しながらモニターに現れる。
『いやぁ、実に素晴らしい。ここぞという時に大胆な買い物ができる恭介君と麗華ちゃんに花丸をあげちゃうよ』
フォルフォルがそう言った瞬間、モニターに花丸スタンプが2つ現れた。
恭介はそれに対して触れることなく質問する。
「これでホームは戦える戦艦になったんだよな?」
『勿論だとも。いや、あと2つだけ決めてほしいものがあった。まずは戦艦の名前だね。ちなみに、恭介君と麗華ちゃんが乗ってる戦艦のイメージ図はこんな感じ』
モニターに戦艦のイメージ図が大きく映り出した。
「麗華、これを見て何か良い名前を思い浮かぶか?」
「うーん、GBOのサーバー名から取って瑞穂はどう?」
「ふむ。良いと思うぞ。じゃあ、瑞穂に決定」
『あっさり決まるのは良いことだね。でも、盛り上がりが足りないよ!』
フォルフォルはもっと盛り上がってほしいと訴えるが、恭介と麗華は好きでクトゥルフ神話関連の侵略者と戦う訳ではないから、フォルフォルの期待には応えられないだろう。
「無茶言うな。それで、あと何を決めれば良いんだ?」
『キャプテンプログラムを男タイプか女タイプのどちらかに決めてもらうよ』
「性別によってキャプテンの何が変わるんだ?」
『男ならノア、女ならラミアスと名付ける』
フォルフォルは手を組んでその上に顎を乗せ、いつの間にか色の入ったサングラスをかけながらそう言った。
元ネタがわかったため、恭介はジト目を向けながらフォルフォルに訊ねる。
「それぞれを選ぶことで性能に差が出るのか?」
『違いといえば、ノアだと左舷の弾幕を気にしがちで、ラミアスだと定期的に激しく乳揺れするシーンがモニターに映し出されるよ』
「左舷を気にしがちで右舷をやられるのは勘弁してほしいな。麗華はどう思う?」
「乳揺れ…」
麗華は自分のスタイルとラミアスを比較されてしまうのではと思い、嫌そうな顔をした。
しかし、恭介が気にしている点は麗華も不安に思い、本当は嫌だけどノアにするよりはマシだと頷いた。
『良かったね、恭介君。巨乳が揺れるシーンがあちこちで見れるよ』
「恭介さん、私は信じてるからね」
(おのれフォルフォルめ。余計なことを言いやがって…)
麗華の声が一切の冗談を許さぬマジトーンになっており、もしも恭介がうっかりモニターに映った乳揺れシーンを見ようものなら、どうなるか考えるだけでも恐ろしい。
ここでどう答えれば切り抜けられるか瞬時に考え、恭介は自分の中で速やかに解を出した。
「フォルフォル、麗華を意図的に刺激するなって言ったよな?」
『そこはほら、恭介君が麗華ちゃんしか眼中にないって言えば済むかと思って』
てへぺろのおまけ付きでそう言われ、恭介はフォルフォルに余計な返しをするんじゃないと思った。
フォルフォルの発言のせいで、麗華はフォルフォルにキレる一方で恭介から自分を選んでくれる発言を待っているようだった。
その時、タイミングが悪いことにラミアスの乳揺れシーンがモニターに映し出された。
そのラミアスはグラマーな女性であり、日本の国旗と同じく紅白の軍服を着ていた。
恭介は咄嗟に目を閉じ、乳揺れシーンを見ていないとアピールすることに成功した。
『惜しい』
「フォルフォル、いい加減にしろ。俺達で遊んでる暇があったら他の仕事でもしてろよ」
『しょうがないなぁ。仕事に戻るよ。バイバイ』
フォルフォルがモニターから姿を消した後、麗華が恭介に抱き締められた。
それに気づいた恭介は目を開ける。
「麗華?」
「恭介さんには私がいるの。ラミアスも等々力さんも見ないで私を見て」
麗華はラミアスと同じぐらい明日奈を危険視している。
明日奈が自分よりも胸の大きな女性であり、隙あらば麗華から奪おうとするぐらい恭介のことを好きだとわかっているからだ。
そんな麗華に対し、恭介は目を合わせて答える。
「麗華、俺は麗華と付き合ってるんだから他の女性に目移りなんてしない。もしもそんなことをしてしまえば、俺はあの下半身直結野郎みたいな屑と同類だから」
そこまで言われれば、麗華は安心した表情を見せた。
恭介の父親嫌いは筋金入りなので、父親のような浮気を恭介がするはずないと納得したのである。
麗華が嬉しくなって恭介にキスしようとした時、モニターにラミアスが現れてコホンと咳払いをする。
「…邪魔しないでよ」
『申し訳ございません。フォルフォルよりパイロットの恭介さんと麗華さんに挨拶するよう指示されたのです。これからよろしくお願いします。私のことはラミアスとお呼び下さい』
挨拶が大事であることは麗華もわかっているけれど、タイミングを考えてほしいものだと思った。
その一方、恭介はラミアスの喋り方が気になって彼女に応じる。
「よろしく。キャプテンの割に腰が低いんだな」
『キャプテンなんて肩書を持っておりますが、私はあくまで瑞穂を動かして恭介さん達をサポートするAIです。立場としては恭介さん達の方が上なんですよ』
「そういうことか。まあ、俺と麗華が出陣してる時の瑞穂のことは任せた」
『お任せ下さい。瑞穂の安全を最優先にします』
ガンガンいこうぜなんて作戦を立てず、慎重に動いてくれそうなラミアスの返事に恭介は安心した。
ラミアスが乳揺れシーンを除いて真面目なAIだとわかったため、麗華はふと気になったことを訊ねてみる。
「ねえ、ホームが瑞穂になったけど私達が晶さんや3期パイロットのホームに行く方法は同じなの?」
『同じです。あちらの格納庫に繋がる扉が
恭介も更に気になることが思い浮かんだので質問する。
「今更だけど瑞穂の動力ってどうなってんの?」
『瑞穂の燃料は大気中にあるマナを吸収して転用することに加え、足りない分は資源カード(素材)で賄います。資源カードは侵略者達との戦いでも補充されますので、今まで通りの生活であれば燃料のことは考えなくとも問題ありません』
「ふーん。燃料を考えなくて良いのは助かるね」
この後、恭介と麗華は疑問が浮かばなくなるまでラミアスに質問した。
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