第105話 喰らえ、課金ビーム!
食休みを終え、恭介と麗華はそれぞれリュージュとケルブに乗ってコロシアムに移動した。
午前中はレースと宝探しを行ったが、まだまだ余裕があるのでコロシアムにも挑むつもりなのだ。
『働き過ぎじゃない? ニートになれとは言わないけど、もう少しゆっくりしたらどうかな? 私室に天蓋ベッドもあるんだし、ご休憩しちゃいなよ』
「くだらないこと言ってないで入場門を開け。5連戦する」
『はーい』
サラッと下ネタをぶち込んでみたフォルフォルだったが、恭介にばっさり言われて入場門を開いてから姿を消した。
ケルブが微動だにしないので、恭介は麗華のことが心配になって連絡する。
「麗華、大丈夫か?」
『え? うん、大丈夫。行きましょう』
フォルフォルに言われて意識してしまったようだが、恭介に声をかけられて麗華は気持ちを切り替えた。
コロシアムの中に入ると、そこにはハルキゲニアをモチーフにした灰色のモンスターがいた。
「ハルキジャミアーだ。攻撃を受けるとデバフを喰らうから気を付けろよ」
『了解。まずは私から攻撃するね』
麗華は
ハルキジャミアーはダメージを負った部位が紫色に変色し、背中にある七対の棘から紫色の霧を噴出した。
その霧がたちまちコロシアムを埋め尽くさんばかりに広がるから、恭介と麗華は上空に退避してから遠距離攻撃を開始する。
ナイトメアを銃に変形させ、恭介は先程までハルキジャミアーがいた場所を狙って撃った。
麗華は三対の翼の銃で適当に撃ち、移動していたらどれかしらの銃弾に当たるようにした。
結果として、霧の中からハルキジャミアーが背中から伸ばしたと麗華が撃った弾丸がぶつかり、激しい火花が散る。
そこに恭介が銃を連射したところ、銃弾が命中してハルキジャミアーの体に引火した。
霧の中でも燃えて明るくなれば、隠れていてもバレバレだ。
恭介と麗華がガンガン銃撃してハルキジャミアーは沈黙し、霧が晴れた時にはその姿が光になって消えていた。
霧の中で戦えば強いハルキジャミアーだったが、外から連続攻撃されると実力を発揮できなかったのである。
ハルキジャミアーの次に現れたのは、緑色の三つ首八咫烏と呼ぶべきモンスターだった。
「トリオレイヴンのお出ましだ。麗華、誘導は任せた」
『OK』
麗華はケルブの三対の翼の銃を発射し、トリオレイヴンの回避行動を打合せ通りの位置へ誘導する。
そこにナイトメアを蛇腹剣に変形させた恭介が接近し、左の頭を斬り落とした。
「「カァ!?」」
まんまとしてやられたことに真ん中と右の頭が怒るが、そのすぐ後に麗華が右の頭を
「カァァァァァ!」
トリオレイヴンが怒りの声を上げ、中心で羽ばたいて発生させた竜巻が恭介と麗華を巻き込もうと拡大する。
「この程度じゃ効かんよ」
リュージュを機械竜形態に変形させ、竜巻の中心にビームを放った。
それがトリオレイヴンに届いたが、胴体に直撃するところをどうにか回避しようとしたせいで脚を撃ち抜かれてしまった。
「カァァァ!」
痛みに叫ぶトリオレイヴンは、集中力が切れて竜巻を消してしまった。
『落ちなさい』
麗華の銃撃がトリオレイヴンの両翼を撃ち抜き、空を飛べなくなったトリオレイヴンは地面に墜落した。
その落下ダメージがとどめになり、トリオレイヴンは力尽きた。
トリオレイヴンの体が消えたことで、3体目のモンスターがコロシアムに現れる。
空に現れるのではなく、地面を揺らして地中から出て来た茶色いモンスターの名はマンドラゴンという。
「キェェェェェ!」
マンドラゴンとはマンドラゴラがドラゴンの形に変異した種族であり、見た目がドラゴンでも性質はマンドラゴラに似ている。
近くでその叫び声を聞けば、パイロットの意識を刈り取ろうとする危険なモンスターだ。
「喧しいな」
恭介はリュージュのビームでマンドラゴンの頭部を消し飛ばしたが、すぐにそれが再生し始めた。
「麗華、頭部への攻撃を絶やさないでくれ。再生の妨害を頼む」
『了解!』
麗華は指示通りに
その隙に恭介が麗華の射線の外から接近し、ナイトメアを蛇腹剣に変形させて上半身と下半身を真っ二つにするように薙ぎ払った。
それでも再生しようとしたので、麗華が集中攻撃して沈黙するまで攻撃した。
力尽きたマンドラゴラは萎れてから光の粒子になった。
ここでシミュレーターについて少し補足しておこう。
シミュレーターはコロシアムに出現するモンスターとも模擬戦ができるが、そのモンスターが連戦の場合にどうやって現れるのかまでは再現してくれない。
だからこそ、4戦目の相手であるメテオビーズが空から地上に隕石の如く墜落して来るのは恭介達に予想できなかった。
派手な墜落音と土埃を立てて登場したメテオビーズは、黄色い隕石が数珠繋ぎになった見た目をしている。
墜落の衝撃でコロシアムにクレーターができているが、メテオビーズは痛がる素振りを微塵も見せず、リュージュに向かって岩の弾丸をガトリングガンのように連射し始めた。
「囮は任せろ! 麗華は攻撃に集中!」
『わかった! 気を付けてね!』
短く言葉を交わし、恭介はリュージュを操縦してメテオビーズの怒涛の攻撃を避ける。
そうやって夢中になってリュージュを攻撃していれば、頭上からの攻撃に対する反応が遅れるのは当然だ。
メテオビーズは頭上から
『ガンガン行くわよ!』
このチャンスを逃してなるものかと麗華が連射すれば、風属性なので属性的な相性も良いからメテオビーズは30秒もかからずに力尽きてしまった。
恭介というゴーレム操縦のプロがいたからどうにかなったが、並の腕ではメテオビーズにあっさり蜂の巣にされてしまっただろう。
メテオビーズは対戦相手に恵まれていなかったのだ。
最後のモンスターが現れる時、コロシアム上空の天気が一気に暗い曇天へと変わった。
そして、雲の中から青い雲で構成されたニンバスドレイクが現れ、同時に激しい雨が降り始める。
この時には既に恭介はゴーレムチェンジャーを使い、リュージュからナグルファルに乗り換えていた。
水属性のニンバスドレイクに対し、火属性のリュージュでは相性が悪いからだ。
ニンバスドレイクは降っていた雨を1ヶ所に集め、それをジェット噴射して攻撃に転用した。
最初に狙われたのはメテオビーズを倒した麗華であり、衛星のようにケルブを守る盾がその攻撃を防いでみせた。
盾に守られている間、麗華は三対の翼の銃で反撃を行っていた。
そうすることで、麗華はニンバスドレイクのヘイトを稼いでいたのだ。
そのおかげで恭介はニンバスドレイクに攻撃されずに接近できたため、
ニンバスドレイクも馬鹿ではないから、雲の体を持つ自分にダメージを与える敵がいるのにそれを放置する訳がない。
すぐに標的を恭介に変え、攻撃をジェット噴射から雨の槍に変更した。
(捌けるか? いや、捌き切ってやる!)
回避だけでは間に合わないと判断し、恭介は
そうしている内に今度は麗華がフリーになり、ここぞとばかりにギフトを発動する。
『喰らえ、課金ビーム!』
5連戦が終わったため、コロシアムバトルスコアが恭介達の見るモニターに表示された。
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コロシアムバトルスコア(マルチプレイ)
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討伐対象:①ハルキジャミアー②トリオレイヴン
③マンドラゴン④メテオビーズ
⑤ニンバスドレイク
部位破壊:①棘(七対)②頭(全て)/脚(全て)
③全身④全身⑤全身
討伐タイム:45分16秒
協調性:◎
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総合評価:S
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報酬:100万ゴールド
資源カード(食料)100×10
資源カード(素材)100×10
ファーストキルボーナス:
ノーダメージボーナス:魔石4種セット×60
ギフト:
コメント:マルチプレイのアップデートを乞うご期待!
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(20体で終わりか。解放されてるタワーの階層と同じ数だけ敵がいるっぽいな)
コメント欄を見て、恭介はコロシアムで戦える敵とタワーの関係性を推測した。
その後、麗華からギフトレベルが12になったことや新たにゲットしたアイテムの共有を済ませ、恭介達は格納庫へと帰還した。
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