第104話 ホブゴブリン突撃部隊とゴブリン混成部隊を生贄に捧げ、キマイラを召喚!
麗華の機嫌が直った後、恭介と麗華はそれぞれのゴーレムに乗ってタワーに移動した。
タワーに来た理由だが、今日から解禁された宝探しに挑戦するためだ。
通常の探索は地上の階層を上に行くのに対し、宝探しはタワーの地下で行われる。
宝探しが解禁されたことにより、タワーには入口の隣に昇降機が追加されていた。
恭介達はその昇降機に乗って地下1階層に降りた。
地下1階層の内装は坑道と呼ぶのが相応しく、あちこちにゴブリンがいた。
『ミッション! 1時間以内にトレジャーゴブリンを倒せ!』
フォルフォルのアナウンスが聞こえるのと同時に、恭介と麗華の乗るゴーレムのモニターには残りの制限時間とターゲットであるトレジャーゴブリンの画像が表示された。
「麗華、ズタ袋を持ったゴブリンを探すぞ」
『うん!』
時間との勝負だから、恭介はリュージュを機械竜形態に変形させて先を急ぐ。
坑道にいる
ところが、ゴブリン達は抜かれた者から順番に空を飛ぶゴーレムを追いかけ始める。
気づけば恭介達は大量のゴブリンを率いて移動していた。
この時、恭介も麗華も空を飛ぶゴーレムに乗っていたので気づくのが遅れたが、ゴブリンの大群を率いて進むことによって地下1階層のギミックが発動した。
最初のギミックはエリア内の熱源が一定以上あることで作動し、壁から槍が飛び出すものだ。
度の壁から槍が飛び出すかはランダムになっており、恭介と麗華が躱せてもゴブリン達が巻き添えになっていた。
それは恭介達としては何も問題ないので、放置して進む。
少し経ってから2つ目のギミックが作動した。
「マジか」
『そんなギミックがあるのね』
2人が驚いた理由だが、自分達を追いかけて来るゴブリン達がスキャンされてホブゴブリンになったからだ。
どっちにしろタワー1階層の敵であることは変わらないから、ただのゴブリンだろうがホブゴブリンだろうが恭介達にとってどっちでも構わなかった。
更に進んだ所で3つ目のギミックも作動し、坑道内で落石や落盤事故が発生するようになった。
ここで運が悪いことに、恭介達の前方で落盤事故が発生して先に進むための道が塞がれてしまった。
「『邪魔!』」
恭介と麗華の声がシンクロし、2人の放った砲撃が道を塞いでいた岩を破壊した。
破壊した岩の向こうにはゴブリンランサーとゴブリンアーチャー、ゴブリンメイジ、ゴブリンタンク等の各種ゴブリンが待ち構えていた。
「ゴブリンだらけだな」
『駆逐する?』
「いや、トレジャーゴブリンを探すのが先だ。スルーしよう」
『了解』
今追いかけて来るホブゴブリン達と同様で、岩の向こうにいた各種ゴブリンも抜いた後は全員リュージュとケルブを追いかけ始める。
追いかけて来るゴブリンの量が増えたため、4つ目のギミックが作動してゴブリン達が落とし穴に落ちた。
本来であれば、宝探しに参加しているゴーレムの数で決まる基準重量を感知して発動するのだが、地下1階層でゴーレム達を追いかけるのがゴブリンが多過ぎて基準に到達してしまったらしい。
恭介達の後ろにいたゴブリン達は等しく全員落とし穴に落ち、落とし穴の中で紫色の光が生じた。
その直後、穴からキマイラが飛び出して来た。
「待て待て。どゆこと?」
『大量のゴブリンがキマイラになった?』
『ホブゴブリン突撃部隊とゴブリン混成部隊を生贄に捧げ、キマイラを召喚!』
「別ゲームだろうが!」
フォルフォルの発言に対し、恭介は違うゲームを持ち出すんじゃないとツッコんだ。
『恭介君、忘れてないかい? これはあくまでGBOをベースにしたデスゲームであって、GBOそのものじゃないんだ。つまり、私が好きにアレンジできるのさ!』
「だからってトレジャーゴブリンを探す宝探しでキマイラを出すってどうよ? 地下1階層はゴブリン尽くしじゃなかったのか?」
『細かいことは良いんだよ! というか、そもそもキマイラが出て来るパターンなんてレアケースで、本来はゴブリンキングとかゴブリンロードとかが出て来るはずだったんだ。君達が連れて来たゴブリンの数が多過ぎたせいだね』
「面倒な仕様だな。麗華、ちゃっちゃとキマイラを片付けるぞ。援護を頼む」
『任せて』
恭介はゴーレムチェンジャーを使い、リュージュからナグルファルに乗り換えた。
属性的な相性からして、水属性のナグルファルの方がキマイラと戦うのに好都合だからだ。
キマイラの獅子の頭が接近するナグルファルに対して火を吐くが、恭介はそれをするりと躱して背中のソードウィングを射出する。
両翼の部分は蛇腹剣になっていて、蛇腹剣が両サイドから山羊と蛇の頭を斬り落とした。
ヒット&アウェイを意識し、恭介がキマイラの頭を獅子の者だけ残して離脱すれば、麗華が
火属性のキマイラに対して風属性の砲撃はダメージが軽減される。
それでも、武器を構成する鉱物マテリアルが
キマイラのヘイトが一瞬だけケルブにぐらついた隙を逃さず、恭介は頭上から
「お前の敗因は俺に隙を見せたことだ」
『お前の敗因は俺に隙を見せたことだ。またまた名言いただきましたぁぁぁ!』
「黙ってろ」
『あっはい』
光の粒子になって消えていくキマイラを眺めている間、フォルフォルが余計なことを言うので恭介はマジトーンで黙らせた。
戦利品がコックピットのサイドポケットに転送されたのを確認してから、恭介達は先へと進む。
ギミックもゴブリンも見えなくなり、行き止まりに到着したところで見つかったと言わんばかりの表情のトレジャーゴブリンがいた。
逃げる場所もこの状況から逃げ出せる身体的スペックもないから、トレジャーゴブリンは袋の鼠である。
『これで終わりよ』
三対の翼の銃が一斉にトレジャーゴブリンを撃ち抜き、その体は光になって消えた。
宝探しのミッションをクリアしたことで、宝探しスコアが恭介達の見るモニターに表示される。
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宝探しスコア(マルチプレイ)
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ミッション:1時間以内にトレジャーゴブリンを倒せ
残り時間:33分5秒
協調性:◎
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総合評価:S
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報酬:50万ゴールド
資源カード(食料)100×5
資源カード(素材)100×5
ランダムボーナス:美容泥パック
レアモンスターキルボーナス:魔石4種セット×50
ギフト:
コメント:ランダムボーナスはピンからキリだよ
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「フォルフォル、ランダムボーナスのハズレアイテムって何?」
『タワシだね』
「当たりアイテムは?」
『それは内緒♪』
モニターに映るフォルフォルは、人差し指で内緒のジェスチャーをしていた。
当たった時を楽しみにしていてくれということらしい。
自分はそこそこ当たりの部類を手に入れたが、なんとなく嫌な予感がして恭介は麗華に声をかける。
「麗華、ランダムボーナスはどうだった? 静かだからちょっと心配なんだが」
『…ツナ缶が当たった』
「ツナ缶?」
『ツナ缶。しかも1つだけ』
恭介と麗華の間で気まずい空気が流れる。
それをぶち壊すのは当然だがフォルフォルである。
『プークスクス。麗華ちゃんのリアルラック低過ぎぃぃぃ』
『失せろ』
『屈しない! 私は屈しないぞ!』
『失 せ ろ』
『あっはい』
麗華を煽るだけ煽り、キレられて退散するのは最早フォルフォルのお家芸と言えよう。
恭介達はいつの間にか現れた脱出専用の魔法陣に乗って地上に脱出し、そのまま
コックピットから出た恭介は、無表情の麗華がツナ缶を持って出て来たのを見て気分を切り替える必要性を感じた。
「麗華、美味い物でも食べて気分を切り替えようぜ」
「…そうだね。うん、ご飯食べよう!」
恭介に言われてお腹が空いて来たらしく、麗華はツナ缶のことを忘れることにしたようだ。
食堂に行く途中、恭介が美容泥パックを麗華にプレゼントしたこともプラスに作用し、昼食を終える頃にはすっかり麗華の機嫌も良くなっていた。
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