第84話 ドーモ、各国のパイロット=サン。フォルフォルです
ホームに来て20日目にして第3回代理戦争当日、朝食を取って準備万端な恭介達は各々のゴーレムに搭乗し、イベントエリアを選択して恭介達は
全参加国のパイロットが同時にイベントエリアに現れ、忍装束のフォルフォルがホログラムとして姿を見せる。
『ドーモ、各国のパイロット=サン。フォルフォルです』
フォルフォルは合掌して名乗り、そのままお辞儀した。
「ドーモ、フォルフォルさん、トゥモローですってか?」
『そうだよ! その返しを待ってたんだよトゥモロー!』
恭介は元ネタを知っていたので、フォルフォルがさっさと本題に入ってくれるよう願ってネタに反応してみせた。
恭介以外で反応してくれた者はいなかったらしく、フォルフォルは恭介のパイロットネームを呼んで感謝した。
出オチ感があるのは前回と同じなので、各国の参加者が反応に困るのも仕方のないことだ。
『しょうがないから、真面目に代理戦争の説明を始めるよ。ルールが一部追加されて変わったから、改めて紹介するね』
フォルフォルが説明した代理戦争の内容をまとめると以下の通りになる。
・代理戦争は参加国のパイロットが5,10,15のように5階層突破毎に開催される
・例外として代理戦争で一度でも総合優勝した国が突破した場合はノーカウント
・もしも1ヶ月以上新たに5階層が突破されなければ、代理戦争が強制開催される
・代理戦争はレース部門とバトル部門が順番に行われる
・レース部門は任意で1名とランダムで1名が別々のレースに参加する
・レース部門は毎回違うコースで行われる
・バトル部門では毎回別のテーマで戦い、レース部門未参加だった2名が参加する
・報酬は部門毎に用意されており、実績によって按分される
・他国のパイロットを仕留めるとギフト以外全ての物的財産を引き継げる
ルールの数は変わっていないが、デスゲームに巻き込まれたパイロットの数が前回の倍になったことから、各部門の出場者について条件が追加された。
また、今まではルーレットで決めていたが、今回からはレース部門が先に開催されることが明言されている。
『さて、レース部門のコースから先に始めるよ』
笑顔のフォルフォルが指パッチンしたことで24面ダイスが2つ現れ、レース部門で走るコースの選定が始まる。
サイコロを上に放り投げてからフォルフォルが歌い出す。
『何が出るかな♪ 何が出るかな♪』
(このノリは続けるんだな)
ダイスの面はこちらの方が多い上、サイコロの数も倍になっているけどノリだけは第1回~第3回の代理戦争で変えるつもりはないようだ。
動きが完全に止まった時、サイコロの面に記されていた文字はそれぞれカオスビーチとホテルオブテラーだった。
『やったね! 第3回代理戦争のレース部門はカオスビーチとホテルオブテラーで開催だよ! まずはカオスビーチでレースするパイロットを1分で決めてね!』
「俺が行こう」
『『『異議なし』』』
恭介がレースに出場するのは日本チームの総意なので、麗華達は恭介がカオスビーチでレースに参加することに賛同した。
1分が過ぎてレース部門に参加するパイロットが以下の通りにそれぞれのコックピットのモニターに表示された。
日本:トゥモロー(リュージュ/火)
A国:キャプテンA(ブリキドール/水)
BR国:ロナマール(スイーパー/水)
C国:リチョー(モノティガー/風)
D国:アイツ(ライカンスロープ/風)
E国:ティータイム(マッドクラウン/風)
EG国:メジェオ(アンダーテイカー/土)
F国:マダムF(エンジェル/風)
IN国:ブディズム(キュクロ/土)
R国:コサック(ジャックフロスト/水)
(爆発大好きなR国がニトロキャリッジじゃない? どゆこと?)
そんな風に恭介は思っているが、それは偏見というものであってR国人パイロットが全員爆発のリスクを背負って走りたい訳ではない。
恭介達レース参加者の乗るゴーレムの足元に魔法陣が現れ、カオスビーチに転送された。
光が収まった時、恭介達10人のレース参加者はカオスビーチのスタートラインに並んでいた。
実績順で進捗の悪い順番にメジェオ、ロナマール、ブディズム、アイツ、コサック、リチョー、キャプテンA、マダムF、ティータイム、恭介の順番だ。
全員の準備ができたところでレース開始のカウントダウンが始まる。
『3,2,1,GO!』
開始の合図と共に恭介はスタートダッシュを決め、飛びながら機械竜の姿にリュージュを変形させた。
『おぉっとこれはすごい! 日本のトゥモローがスタートダッシュで他を置き去りにしたぁぁぁ! 前のゴーレムを全て吹き飛ばしてスタートしてるぞぉぉぉ!』
フォルフォルの実況はさておき、ここでカオスビーチというコースについて説明しよう。
カオスビーチはコースである小島の浜辺を3周するのだが、砂浜にはランダムに地雷が配置されている。
それだけでなく、モンスターが進行を妨害したり海から色々なものが飛んで来て邪魔をするのだ。
もっとも、空を飛ぶリュージュにそれが届くことはないから、恭介はタイムアタックのつもりでこのレースに参加している。
後ろではゴタゴタしているようだったけれど、邪魔されることのない恭介があっさりと2周目に突入する。
『速い! 速いよトゥモロー! いくら他の国がこのレースを捨ててるからってあんまりだよぉぉぉ!』
このレースにおいて、日本以外の参加国はどの国も勝負を捨てている。
過去2回の代理戦争において、レースで圧倒的な強さを発揮した恭介が今回も出場するのは想像に難くない。
そこに勝負を仕掛けても勝ち目はないと判断し、やられても大した影響がないパイロットが最初のレースに出場している。
その証拠にE国のマーリン、F国のムッシュはこのレースに出場していない。
彼等を臆病者呼ばわりするかどうかは置いておくとして、2周目に恭介が突入したことで、カオスビーチに変化が生じる。
砂浜の下からあちこちに岩がせり上がって来て、ゴーレムの進行を妨げているのだ。
空を飛べるゴーレムは、リュージュの他にエンジェルしかいない。
エンジェルはコースの変化のおかげで順位を上げられた。
完全に棚ぼたである。
コースの至る所で爆発音が響いているが、これは海から飛んで来た珊瑚やガラスの瓶、樽等が地雷のセンサーを反応させたからだ。
地雷の爆発のせいで走行不能になったゴーレムも続々と現れ、恭介が3周目に突入する時には2位のマダムFが乗るエンジェル以外周回遅れにしていた。
機体のスペックで圧倒的な差を付けられているエンジェルは、確実に距離を詰めて来るリュージュの射程圏内に入ったとわかるや否や急上昇した。
『なんてこった! F国のマダムFが逃走! トゥモローにやられるぐらいなら先に行かせる戦略だぁぁぁ!』
マダムFは殺されたくないと思ってそのように動いたが、恭介は元々マダムFに限らずレースで他国のパイロットを積極的に殺すつもりなんてない。
進路からいなくなった敵のことなんて興味ないから、そのまま恭介は1位でゴールした。
『ゴォォォル! 優勝は瑞穂の黄色い弾丸、トゥモロー&リュージュだぁぁぁぁぁ!』
フォルフォルは恭介が1位であることを宣言し、恭介を乗せたリュージュの足元に魔法陣が現れて光が機体を包み込み、それがリュージュをイベントエリアに転送する。
転送中にリュージュのモニターにレーススコアが表示されたため、恭介はそれに目を通していく。
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レーススコア(第3回代理戦争・カオスビーチ)
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走行タイム:17分26秒
障害物接触数:0回
モンスター接触数:0回
攻撃回数:0回
他パイロット周回遅れ人数:9人
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総合評価:S
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報酬:資源カード(食料)100×6枚
資源カード(素材)100×6枚
60万ゴールド
非殺生ボーナス:魔石4種セット×60
ぶっちぎりボーナス:アップデート無料チケット(フリー)
ギフト:
コメント:こうなることを私は最初から知ってた
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(俺もそんな気はしてたけど油断しちゃいけないだろ)
恭介が心の中でコメントした直後に光が収まり、彼はイベントエリアに戻って来た。
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