第79話 あんなに君達がくっつくようにサポートしたのに!
沙耶達がタワーの4階層に挑んでいる頃、恭介は麗華と共にコロシアムに挑むことにした。
一緒に戦いたいと麗華が言うものだから、恭介達はコロシアムにそれぞれのゴーレムに乗ってやって来た。
フォルフォルは2人揃って来たことが嬉しいようで、ニヤニヤしながらコックピットのモニターに現れる。
『
「煩い。さっさと入場門を開け。5連戦してからスコアを見せてくれ。話は以上だ」
『恭介君冷たい。麗華ちゃん、酷いと思わない?』
『さっさとして』
『あんなに君達がくっつくようにサポートしたのに! その願いが成就したら私はポイって捨てるんだね!? あァァァんまりだァァアァ!』
そう言い捨ててフォルフォルはモニターから消えた。
勿論、仕事を放置するフォルフォルではないから、入場門はちゃんと開いてから姿を消している。
騒がしいフォルフォルがいなくなった後、リュージュとドミニオンは入場門を通ってコロシアムの中に入っていった。
コロシアムの中心には豚の頭をした青い水牛がぐでーッとした状態で待機していた。
「ギフト発動」
恭介がギフトの発動を宣言し、彼はリュージュのコックピットからドラキオンのコックピットの中に移った。
最初のモンスターはカトブレパスであり、毛で隠された目で視線を向けると鉱物の耐久度がガリガリ削られていくのだ。
それゆえ、恭介はカトブレパスの目が隠れている内に短期決戦のつもりで
「まずは1体」
頭部を消し飛ばされて生命活動を維持できるはずがなく、カトブレパスは光の粒子になって消えた。
『相性が良いからってこんなの酷いよ! 恭介君には人の心がないの!?』
「俺が求めるのは無傷の勝利だ。ハラハラする戦闘なんてしたくないね」
『俺が求めるのは無傷の勝利だ。ハラハラする戦闘なんてしたくないね(キリッ)』
「邪魔するなら失せろ」
フォルフォルが自分を揶揄っているとわかって恭介は冷たく言った。
撤退のタイミングを見極めることに慣れて来たため、フォルフォルは素早くモニターから消えた。
カトブレパスと入れ替わるようにして、次のモンスターがコロシアムに姿を現した。
それは光沢のある黒い鱗に覆われた大蛇だった。
「シュルル…」
黄色に輝くドラキオンを見て、大蛇は不俱戴天の敵と出会ったような目つきになった。
それから、大蛇はドラキオンを飲み込もうと大きく口を広げる。
『アポピス、恭介さんに手を出させないわ!』
麗華が
横から攻撃したこともあってアポピスの上の牙2本が折れたのだが、その痛みが強過ぎてアポピスはのたうち回る。
「ジュラァァァァァ!?」
「暴れるなよ。斬りにくいだろうが」
恭介はラストリゾートを斬馬刀に変形させ、アポピスの尻尾をぶった切った。
牙2本に続いて尻尾まで失い、アポピスは連続する激痛のあまり涙を流した。
『牙は全部貰うわ』
大口を開けて泣くアポピスに対し、麗華は容赦なく下の牙2本も
アポピスの牙や尻尾が再生するには時間がかかり、再生には少なくないエネルギーを消耗する。
もっとも、再生する時間を与えるような恭介と麗華ではないから、そんなことを気にする余裕はないだろう。
恭介が斬馬刀で頭部を切断すれば、アポピスも力尽きて光の粒子に変換されて消えた。
アポピスの次に現れたのは、
蠍の殻は緑色で、人間の頭部から生えた髪も緑であることから風属性であることがわかる。
恭介のドラキオンと属性的に相性が良いから、ギルタブリルはドラキオン目掛けて蠍の尻尾から緑色の針を連射する。
(相性が悪くとも当たらなければ良いだけだ)
ドラキオンのスペックならば、ギルタブリルの攻撃を躱すことは容易い。
こうしてギルタブリルのヘイトを恭介が稼いでいれば、フリーの麗華が狙いを定めて砲撃を放てる。
「むん!」
ギルタブリルは麗華から放たれた砲撃に気づき、咄嗟に体の位置をずらした。
そのおかげで完璧には避けられず右腕と
その隙に恭介がギルタブリルの背後から距離を詰め、ラストリゾートでギルタブリルの尻尾をぶった切った。
「ぬぁぁぁぁぁ!?」
尻尾は敏感だったらしく、野太い叫びがギルタブリルの口から聞こえた。
『煩いわね』
翼竜砲銃を再び放てば、痛みで怯んでいたギルタブリルの胴体に風穴が開いてそのまま倒れた。
ギルタブリルの体が光の粒子になって消えると同時に、今度は上半身が獅子で下半身が蟻のモンスターが現れる。
「ギルタブリルの次がミルメコレオってのはキメラ続きだな」
『恭介さん、足止めお願い。属性的に相性が良いから、上手くやれれば一撃で削り切れる』
「了解」
ミルメコレオは全身が黄色い土属性モンスターだから、風属性にしているドミニオンと属性の相性が良いのは間違いない。
ラストリゾートを蛇腹剣に変形させた後、恭介はミルメコレオのヘイトを稼ぐべくちょこまか動いては斬りつける。
「ガォォォォォ!」
恭介から受けるダメージは決して少なくないから、ミルメコレオはイライラして吠えた。
それと同時にミルメコレオの足元から大量の砂が噴き出し、それがミルメコレオを形成してドラキオンを追いかける。
(その程度のスピードで追いつけると思うな)
砂で形成されているミルメコレオだから、自由に動くのではなく当然ミルメコレオ本体が操っている。
ドラキオンを追いかけることに集中していたせいで、ミルメコレオの中で麗華が完全にノーマークになっていた。
『喰らえ!』
頭上から
ミルメコレオの体が消えていき、その代わりにコロシアムの中央には全身が赤い合成巨人が現れた。
頭部は牛で両腕は獅子の前脚、下半身はハゲワシであり、尻尾から蛇が生えているこのモンスターはハンババである。
「モオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!」
「麗華、高度を上げろ!」
『了解!』
恭介と麗華がハンババから離れて高度を上げたのは、その咆哮と同時にコロシアムが炎に包まれたからだ。
恭介のドラキオンにとっては問題ないが、麗華のドミニオンは風属性だから相性が悪い。
近づいて戦おうとすれば、炎によってゴーレムが損傷してしまうだろう。
近距離攻撃が難しいならば、遠距離攻撃に切り替えれば良い。
恭介はラストリゾートをミサイルランチャーに変形させ、ハンババの破壊可能な部位に照準を合わせてミサイルを一斉に発射する。
そのミサイルが角や手の爪、足の爪に命中して折れれば、ハンババは痛みの余り絶叫する。
「モオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!」
「安心しろ。嬲る趣味はない」
既にラストリゾートはビームランチャーに変形させており、ハンババ目掛けて砲撃を開始していた。
『私も加勢する!』
麗華も砲撃に加わったことで、ハンババは許容できない量のダメージを負って力尽きた。
ハンババが光の粒子になって消えたことにより、戦闘が終わってコロシアムバトルスコアが各々のゴーレムのモニターに表示された。
-----------------------------------------
コロシアムバトルスコア(マルチプレイ)
-----------------------------------------
討伐対象:①カトブレパス②アポピス
③ギルタブリル④ミルメコレオ
⑤ハンババ
部位破壊:①頭②牙(全て)/尻尾③右腕/尻尾
④鬣⑤角(左右)/爪(全て)
討伐タイム:47分53秒
協調性:◎
-----------------------------------------
総合評価:S
-----------------------------------------
報酬:100万ゴールド
資源カード(食料)100×10
資源カード(素材)100×10
ファーストキルボーナス:ヨトゥンの設計図
ノーダメージボーナス:魔石4種セット×60
ギフト:
コメント:彼氏彼女の愛が伝わる戦いだったね♪
-----------------------------------------
(愛が伝わる戦い? どこのことを言ってるんだ?)
恭介はフォルフォルが何を指して言っているのかわからず首を傾げた。
自分としてはいつも通りに戦っていたからである。
とりあえず、ギフトを解除したことで恭介はリュージュのコックピットに戻って来た。
『恭介さん、聞いて! ソロネの設計図を手に入れたよ!』
「おめでとう! 俺もヨトゥンの設計図をゲットした!」
『やったね!』
「おう!」
変に意識すると頭がこんがらがるから、恭介はいつも通りに対応して麗華と共に格納庫に帰還した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます