第28話 この時をもって貴様等は蛆虫を卒業する
転送中にコックピットのモニターにバトルスコアが表示され、恭介はすぐにその確認を始める。
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バトルスコア(第1回代理戦争・ポイント争奪戦)
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保有ポイント:143
モンスター討伐数:69体
ゴーレム撃墜数:3機
協調性:◎
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総合評価:S
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報酬:資源カード(食料)100×6枚
資源カード(素材)100×6枚
60万ゴールド
ゴーレム撃墜ボーナス:ケット・シーの設計図
ギフト:
コメント:ポイント争奪戦でもドラキオン使ってくれないなんて…
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(余裕があるのに奥の手は使わないさ。そんなことよりケット・シーだ)
恭介は買えば10万ゴールドで販売している設計図を手に入れて喜んだ。
ショップチャンネルの品揃えは日替わりだから、次にショップチャンネルで売り出されたら是非ともザントマンの後に使おうと思っていたのだ。
恭介がスコアの確認を終わらせた時にはイベントエリアに戻って来ており、生還可能なゴーレム全てが戻って来たら、ホログラムのフォルフォルが喋り始める。
『お疲れ様。見てて本当に楽しいポイント争奪戦だったね。早速、バトル部門全体結果を発表するよ』
フォルフォルがそう言った直後、恭介達がいるコックピットのモニターに個人向けとは異なるスコアが表示される。
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バトルスコア(第1回代理戦争・ポイント争奪戦)
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1位:トゥモロー&福神漬け(日本/205ポイント)
2位:マーリン(E国/74ポイント)
3位:カーリー(IN国/71ポイント)
4位:ワイルドレディ(A国/69ポイント)
5位:海王(C国/68ポイント)
6位:チェルノボーグ(R国/64ポイント)
7位:ムッシュ(F国/57ポイント)
8位:ベルリナー・ヴァイセ(D国/46ポイント)
9位:クレオパトラ(EG国/39ポイント)
10位:アマゾネス(BR国/35ポイント)
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死亡者:マトリョーシカ(R国)
キングレーサー(A国)
青椒肉絲(C国)
アポピス(EG国)
ボン・ジュール(F国)
フィッシュ&チップス(E国)
カイゼル(D国)
スパイス(IN国)
報酬:アップデート無料チケット(フリー)
コメント:君達の健闘を称えて各国に1つずつ共通報酬を用意したよ
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(好きな設備をアップデートできるのか。ご機嫌じゃないかフォルフォル)
生存するパイロットの数だと日本が多く貰えるからなのか、各国1つずつではあるがどの施設にも使えるアップデート無料チケットが配られた。
これにはフォルフォルが上機嫌だからだろうと恭介は予想した。
実際のところ、恭介の予想は当たっている。
フォルフォルは各国のパイロットがポイント争奪戦を行ったことにより、躊躇なく殺し合いするのを見て機嫌を良くしたのだ。
彼等がちゃんとゲームに参加しなければ、このデスゲームは成り立たない。
だからこそ、理由は人それぞれでもちゃんとゲームを成り立たせてくれたことに感謝し、どの施設にも使えるアップデート無料チケットを配った訳だ。
各国が報酬をもらったところで、フォルフォルがキリッとした表情になる。
『この時をもって貴様等は蛆虫を卒業する。本日から貴様等は戦争道具である。加害者と被害者の絆に結ばれる。貴様等のくたばるその日までどこにいようと戦争道具は貴様等の本質だ。多くがタワー探索とレースへ向かう。ある者は二度とイベントエリアに戻らない。だが肝に銘じておけ。戦争道具は死ぬ。死ぬために我々は存在する。だが戦争道具は永遠である。つまり、貴様等も永遠である!』
(このノリ、もう終わったんじゃなかったのか)
突然フォルフォルがハート○ン軍曹のノリになったため、恭介は口にこそ出さなかったがまだやるのかとジト目を向けた。
それでも、イベントエリアから格納庫に戻る
『解散! 来た道を戻りたまえ!』
『明日葉さん、帰ろう』
「そうだな。帰るか」
この場に残っていても気が休まらないから、恭介と麗華は
時間は正午をとっくに過ぎており、緊張感も解けて腹の虫が鳴き始めた。
ゴーレムの調整をしたい気持ちはあったけれど、その前に食事をしようと思って恭介はコックピットから出て来た。
同じタイミングで麗華も出て来たから、恭介と同様に腹を空かせているのだろう。
その瞬間、ホテルの談話室と呼ぶべき見た目が一流ホテルの談話室に変わった。
「おぉ、VIPになった気分だ」
「私達、デスゲームが終わったら元の生活に戻れるのかな?」
「戻るさ。人殺しなんてしなくて良い元の生活にな」
「あっ、うん。そうだよね。ごめんなさい」
麗華は恭介が3人も他国のパイロットを殺してしまったことを思い出し、今のは自分の失言だったと反省した。
恭介も麗華が自分に気を遣っていることは理解できたので、どうにか表情筋を動かして微笑んだ。
「どうせ気にするだろうから気にしなくて良いとは言わん。でも、俺達は戦争道具じゃないんだ。それだけは忘れちゃ駄目だぞ」
「うん。そうだ明日葉さん、ここは無事に生還したことを祝って食堂をアップデートしよう!」
麗華が
恭介は自分よりも貯金の少ない麗華に全額出させる訳にもいかないから、増設装置でもう一段階食堂をアップデートしてみせた。
それでも所持金は200万ゴールド近くあるのだから、恭介はかなりの稼ぎ頭と言えよう。
「むぅ、私からのお祝いのつもりだったのに」
「気持ちはありがたく受け取ってるさ。でも、早く
「それはまあ、確かにそう思う」
食堂ver.5の内装は一般的なホテルのレストランと呼ぶに相応しかった。
おそらく、あともう一度アップデートすれば、
食堂で食べられる料理だが、それこそ一般的なホテルのレストラン並みのメニューから選んだものが座ったテーブルに配膳されるようになった。
「注文したら席でお待ち下さいってあったのはこういうことか」
「配膳ロボットが運んでくれるんだね。時代は進歩したんだよ」
アップデートによる予想外の改善に驚きつつ、恭介達は空腹を満たすために食べたい物を食べた。
恭介はキングサイズのステーキランチを頼み、麗華はクイーンサイズのハンバーグランチを頼んでいた。
空腹だったこともあり、恭介も麗華も無言でガツガツ食べた。
デザートのバニラアイスを食べ、コーヒーブレイクに入ったところで2人はようやく一息ついた。
「食べたな」
「うん。まさかこの食堂でお腹いっぱい食べられるようになるとはね」
「俺もアップデートして良かっただろ?」
「良かった。やっぱり衣食住は大事だよ」
麗華は食堂のアップデートを上書きされた時にムッとしたけれど、結果的に恭介がそうしてくれて良かったと思っていた。
ちょっとした気遣いが自分の食欲に敗北した瞬間である。
「さて、この後だけど施設のアップデートとショップチャンネルの確認、ゴーレムの調整が終わったら自由時間ってことで良いか?」
「賛成。半日だけとはいえ疲れちゃったよ」
恭介が午後の行動方針を提案すると、麗華はそれに賛成した。
十分に休んだ後、恭介達は
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