第2話

一週間が経ち、家族みんなで朝ごはんを食べていた。


「今日、【スキル】を鑑定してくれる神官様が来るんだろう。マモルは【スキル】を持っているのかね~」

「ヨシオ兄さん、【スキル】を持ってても、生活が安泰なわけではないんだから、気にしすぎてもしょうがないでしょ」


ヨシオとマモルが会話していると、タツヤが話に加わってくる。


「だが、スキルを持っていれば、選択が増えるのは間違いないんだから、マモルは神に祈ったり、もっとなにかしてみたらどうだ」

「達也兄さん、そういう話は聞いたことあるけど、祈った全員が【スキル】が発現しているわけではないし、それにいまからやっても遅いでしょ」

「遅いかどうかなんて、神様に聞く以外、誰にもわからないさ」

「それはそうだけどさ~」


この世界は、神託を受けた神託者がおり、そのため、神が存在するとされ、【スキル】といった摩訶不思議な事象が発生するため、熱心に神への信仰するものもいるようだ。

しかし、マモルは熱心に神を信仰しているわけではないようだ。


「昼から広場で、神官様がスキル判定式が行ってくれる。マモルは今日はゆっくりしていていいから、昼の鐘が鳴る前に母さんと広場にいくようにな」

「わかった。遅れないようにするよ」

「母さんは神官様に渡すお布施を忘れずにな」

「はいはい、わかってますよ」


スキル判定式に参加するのは、母キョウコとマモルだけのようだ。

その後は、他愛のない会話が続き、朝ごはんが終わる。


「では、畑に行ってくるから、マモルはしっかりやるんだぞ。」

「うん、頑張るよ」


何をしっかりやればいいのかわからないが、なんとなく頑張ると答えるマモル。

そんなマモルの頭を撫で、出かけるツヨシだった。


腹もいっぱいになったマモルは、何をするか悩んでいた。

いつもなら、みんなと一緒に畑の手伝いなどやっているが、のんびりしていいと言われるとやることが思いつかない。


「丸1日、なにもないなら、山に遊びに行ったりとかできるけど、昼までだしな~」


うんうん、悩んでいるところに母から声がかかる。


「なにやっているんだい」

「いや、何するか悩んでてね」

「まずは、お昼に向けて準備しなさい」

「なにか、準備することなんてあったけ?」


母に向かって、確認するマモル。マモルとしては特に準備することは思いつかないようだ。


「何を着て、式に参加するか決めなさい。まさか今着ている作業服で行こうとしてないだろうね」

「このままでもいいかなと思うけど」

「今後のことがかかっているんだから、その汚れて見える服じゃなくて、ぱっと見て汚くない服で行きなさい。それだけでも、印象は変わるんだから」


マモルが着ている作業服は洗ってあり、汚れてはいないのだが、汚れが染みになっており、きれいには見えない。


「わかった、別の服で行くよ。何着ていけばいいの?」

「街へ行く用の服があるから、その中で着たいやつ選びなさい」

「どこにしまってあるの?」


隣の部屋のタンスを開き、その中を指した。

マモルは、その中から服を取り出し、体に合わせてみる。

「なんか、サイズ大きいね」

「まあ、大人用の服だからね。多少大きいのは仕方ないから、裾を捲ったり、ベルトとかで調整しましょ」

「なら、これにしようかな」


薄黄色のシャツと薄茶色のズボンを取り出し、服を着替え始めるマモル。


「やっぱり、少し大きいね。ズボンは落ちそうだし」

「じゃあ、このベルトで固定しなさい」

「うん、これでズボンは落ちなそうだね。シャツは着れないことないから、大丈夫そうかな。」

「まあ、多少不格好だけど、大丈夫でしょ」


ひとまず、服の準備はできたようだ。


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