テイマーのお金の稼ぎ方

ライセイ

第1話

この世界には、スキルという特別な力が存在している。

この物語は、スキルを手に入れた少年の物語である。


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「マモル~、こっちを手伝ってくれ~」


マモルが畑の草むしりをしているところ、聞こえてきたのは父親のツヨシの声だった。

声が聞こえたほうに向かうと、牛の世話をしている父親の姿があった。


「なにすればいいの」


と声をかけると、


「牛を移動させてくれ。機嫌が悪いのか、動いてくれないんだ」

「了解、こっちにおいで」


短く返事をすると、頭絡を持ち牛に声をかけながら、移動させていく。


「マモルがやると、すぐに移動してくれるのは何なんだろうな?普段はいうこと聞いてくれるし、別に嫌われてはいないと思うんだが」

「さあ、その時の気分次第なんじゃない」


頭を悩ませているツヨシと、牛をなでながら、回答するマモル。


「もしかすると、マモルは【スキル】を持っているのかもしれないな」

「いや、【スキル】はないでしょ」


雑談しながら、牛舎小屋を掃除していく二人。


「いやいや、もしかするとあるかもしれないぞ!先月マモルも14歳になったのだし、可能性はあるじゃないか。」

「そうだけどさ~、スキル保有者は、1000人に1人くらいなんでしょ。発現する可能性は低いじゃん。」


スキル保有者は、1000人に1人と言われており、マモルは生活しているこの500人ほどの村では一人も出ないと考えているようだ。


「30年前くらいに、うちの村からもスキル保有者は出たんだ。可能性としては、全然あるぞ。」

「30年前か~、どんな【スキル】が発現したの?」

「確か、【火魔法】だったな、そいつはすぐに村から出て行ったから、どのくらいすごい【スキル】なのかはいまいちわからん」

「へえ~、その人は、今どうしてるの?」

「昔は手紙とかが来ていたようだが、いまは手紙も来なくなったようで、わからないな」


そうなんだ、と短い返事をして、マモルは牛を牛舎小屋に戻していく。


「よし、今日の仕事は終わるか」

「畑の草むしりは明日でいい?」


いいぞ、と声を返し、家に戻るツヨシとマモル。


「話は変わるが、成人年齢の15歳になったら、マモルはどうするか考えているか」

「まあ、村では働き口はないし、街に行って、働き口探す感じかな」

「そうか、悪いが畑や家畜などは、ヨシオとタツヤに引き継いでもらうことになる。家を出てもらうからには、俺のツテで働き先を探すからな」


村の中では、裕福なツヨシ家でも、長男ヨシオ、次男タツヤ、三男マモルの3兄弟を養うことができないため、三男マモルは独り立ちしてもらう必要があるようだ。


「わかっているよ、そんなに心配しないで。まだ一年くらいあるからこれから色々準備していくつもりだよ。それにもしかしたら【スキル】があれば、今後の予定は変わるし、近いうちに神官様が村に来るんでしょ」

「そうだな、年一回のスキル判定式を行うために、来週、神官様がいらっしゃる予定だ。」


その後も、雑談しながら、帰宅する二人だった。

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