#14
「じゃあ、またね」
またね、とは言うが俺たちはもうしばらく会えない。
「あぁ、いつかまた、な」
彼女はイタズラっ子のように笑って、
「しばらくこっちには来ないでよね」
といった。俺は笑って言ってやった。
「そんな早くに行くもんか」
2人でしばらく笑って、静寂に包まれたあと、
彼女は「じゃあね」と手を振った。
「あぁ。」と俺も手を振った。
それが俺たちの最後だった。
どこか寂しげな夜空の月明りが俺たちを照らしていた。
祭の帰り道、俺は1人で家まで帰っていた。その道中、
あぁ、もう帰っちゃうんだな。向こうに。
そう考える俺はきっと、祭でテンションがおかしくなっている。
まぁ、もといた生活に戻るだけ。
そう考えるたび胸は痛んで、ぐっと締め付けられる。
「っ__!」
足がふらふらと動き、俺はそれに任せて進む。
ふっと足が止まり、周りを見回してみると、俺は昔よく行っていた公園にいた。
そういやここも、ソラとよく来た場所だな。
ソラと過ごした幼い頃の日々が、レイと過ごした楽しかった日常が、走馬灯のように脳内を駆け巡る。
まさか、まさかまた会えるなんて思っていなくて、そう考えていると視界が揺らぐ。
それから俺は誰もいないのを確認して、しばらく、思いのままに過ごした。
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