#13
「だから今、こっちへ来てるの。」
ソラが一生懸命働いたことが認められ、色々な制約はあるものの、一時的に戻ってこれているらしい。
「あ、あとちょっと連絡取れなくなってた日あったじゃん。
あれも天国に行ってたから。」
衝撃的なカミングアウトをするソラ。
「無駄に敬語だったLINEも?」
ソラはにこっと笑い、頷いた。
「はぁぁぁぁ、じゃあ俺が話しすぎて引いた。とかいう訳じゃないんだな?」
「よかった…」
俺は安堵から息を吐いた。
「まぁでも、後悔がなくなったら、戻らなきゃいけないんだけど」
そう、ソラは言った。俺は笑って言ってやった。
「じゃあ、俺が人と関わるようになれば、もうお前は戻れるんだな。」
ソラは少し悲しそうに、けどそれ以上に嬉しそうに微笑んだ。
「うん!」
と言うわけで一応彼女にもタイムリミットが迫っているわけだ。
俺は彼女に後悔が残らないように、もう戻ってこないように。
これから前を向いて行かなきゃならない。
でももう怖くない。コイツはずっと見ていてくれる。
そんな気がしていた。
「最後に、もう一つやりたいことがあるの」
彼女はぎゅっと手を握りこちらを向いて、そういった。
「花火、一緒に見よ!!」
彼女は生きていた頃と同じように目を輝かせてこっちを見ている。
「あぁ、そうだな。」
「最期の思い出作りに、な。」
ちょうどその時、あたり一面に大きな音が響いた。
夢のようには儚く、一瞬で消える。でも、またすぐに次の花火が打ち上がって___
「たまやーー!!!」彼女はそうさけびながら、俺の大好きな笑顔でニコニコと笑っている。
つられて俺も笑ってしまう。
やっぱり彼女が______
「_____。」そんな俺の言葉は花火の音にかき消されて。
先ほどの曇り空は嘘だったかのような輝く夜空と彼女に目を奪われて。
それから俺と彼女は10年前と同じように、夜空に咲く大輪の花を眺めていた。
それはとても綺麗で一生忘れられない花火大会だった。
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