#12


お客さんはそれぞれ、いろいろなわけがあってここに来ている。

大好きだったあの人を見守りたい。大切な人との約束を守りたい。

たくさんの想いがあってここにいる。

私は一生懸命働いた。カイに会うために。これも一つの想いなのかなぁ。

まぁ、さておき、ここもそんなにブラックじゃなくて、住む場所もご飯も提供してくれる。もちろん休みはあって、私はその休みを使って時々、カイのことを見守っていた。私の新たな天国ライフは順調だけど、カイの生活はあまり好調、とは言えなかった。学校では友達をつくらず、1人でいる。

カイのお母さんは心配しているみたいだけど、カイは無視。

なんなら家でも、ずっと部屋に引きこもってる。

こんなカイ見たことない___

私の知っているカイはもっときらきらしてた。

一緒に公園行こう?と誘えば、笑ってついてきてくれる。

一緒にシュークリームを食べてる時も、ニコニコと笑いながら一緒にいてくれる。

カイについてきてもらって2人でゲットしたお揃いのキーホルダー。


私はショックだった。私のせいでカイが変わってしまった。

あの優しいカイなら絶対もっと笑って過ごせるはずだ。

もっと楽しんで学校生活送っているはずだ。

気づいたら私は泣いていて、ひどく胸が締め付けられるように痛かった。

私のせいでカイが人生楽しめてない。


早く戻らなきゃ。

私はそう決意して必死に働いた。






カイが中3の時、私はオーナーに呼ばれた。

開口1番、

「今まで、よく働いたな。」と、言われた。

「私、何かおかしなことしましたか、、、?」

怖い。アレ以来会ってないけど、この人変わってないし。

カイに会うために頑張ったけど、もしかしたら何かやらかしたかもしれない。

「いや、お前はなにもやらかしてない。

 やっと地上に戻る許可が出ただけだ。」

「っ____!!!」

「それはっ本当ですか!?」

「あぁ、本当だ。やっとお前の幼馴染に会えるぞ。」

私は嬉しくてたまらなかった。泣いて喜んだ。

オーナーは穏やかに笑って私をみていた。そしてわざとらしく咳払いをして。

「ただし!」とおおきな声で言った。

「地上に戻る時、お前の名前___ソラを使っちゃいけない。

 お前、ソラ____はあくまで他人だ。

 新しいお前の名前は『レイ』だ。」

「分かりました。」

オーナーは笑って言った。

「諸々の準備はこちらでする。

 お前__レイは次の春から高校生だ。」

「はいっ!」


お前の目的、必ず果たしてこいよ__



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