#8
なんとクラスメイトが全員集まった花火大会。
「後で抜け出そう」って言われてるけど、
これじゃ探すだけでもいっぱいいっぱいだな。
そう思っていたとき、誰かに肩を叩かれた。
「ねぇ、」
「っ!」
俺は息を呑んだ。
彼女は浴衣をきていた。
その浴衣は朝顔だ。幼い頃アイツがこの花火大会に着てきていた柄にそっくりな水色で。
「今、行ける?」
「あぁ。」
その一言で俺たちはクラスの輪から抜け出した。
抜け出せたはいいが、、、なんでなんだ?
こんな最悪のタイミングで雲行きが怪しくなってきた空。
ただでさえ不安なのに、更に不安を掻き立てるのが行き先だ。
彼女が「花火がよく見えるスポット、探したんだ」
と言ってぐんぐん進んでいくから。
そんな彼女に任せているが、俺はこの道きたことがある。
転校生のはずなのに、なんでこんな道、知ってるんだ?
調べて出てくるような整備された道じゃねえぞ、ここ。
俺は、アイツと見に来ていた時たまたま見つけて、
この先にある少し広いスペースで、花火を見ていたのだ。
浴衣といい、場所といい、こいつはなんなんだ?
アイツとの思い出を綺麗になぞっていくみたいで、
やっと最近普通に話せるようになったのに、
多少なら、大丈夫になったのに。
こんな風にたくさん思い出してしまえば、
もうどうしようもないじゃないか______
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