#5



「よろしくねっ!」

「よろしくお願いします。」

そう挨拶する俺たち。

湊によると心葉さんもスイーツが好きらしい。

だから誘ったんだと。

「で、湊。どこ行くの?」

そういい彼の方を振り向くとスーッと顔が青ざめていった。

「お前、まさか決めてないのか?」

「何してんの?!」

「いやぁ、カイくんたちと遊べるのが楽しみすぎて忘れてもうてた、、、」

と、湊が申し訳なさそうに照れ笑いしながら言う。

「もお、あんたは、、、」

と心葉さんも苦笑い。

「じゃあ、どうする?」

彼らの視線が一瞬でこっちに向かってきた。

彼女は転校生だ。

心葉さんは『初めて行く場所』と言っていた。

湊は計画忘れていた張本人だ。

はぁ、、、しゃーねぇな。

「俺が連れてってやるよ、上手いスイーツの店。」

そういうと彼らはいっせいに目をきらきらに輝かせてこっちを向いた。






「カイくん、思ってたよりもスイーツ大好きやったんやなぁ。」

レトロな内装、暖かみのある店内、コーヒーの香り漂う大人っぽい雰囲気。

俺たちは、昔、アイツが好きだったスイーツ店にきていた。

彼女と心葉さんは満面の笑みで、仲良くシュークリームを頬張っている。

「まぁな。幼馴染が好きだったから。それで昔、な。」

「ふ〜ん?レイちゃん、自己紹介のとき、シュークリーム好きって言ってたもんなぁ。」

「だからここ選んだんか?」ポイント高いなぁ?と煽ってくる湊。

そんなこと言ってたっけ?まぁ、どちらにせよ湊はウザいから湊のを食ってやろうと、シュークリームを奪う。すると湊は

「ああぁぁあ!」と、情け無い声をあげている。それが面白くて、さらに、食う真似をしてから湊に返す。

「ホンマに食べられるかと思ったわ、、、」

俺もそこまで鬼じゃねーよ、とか思いながら自分の分のシュークリームを頬張る。

やっぱうまい。何処やらに売っている安物と違って、クリームが多いのだ。

普通のホイップクリームとカスタードクリーム、両方と中に入っていて、

1個で2度楽しめる。思わず微かな笑みを浮かべてしまうぐらい、本当にうまい。

「もしかして、カイくんの幼馴染さんもシュークリーム好きやった?」

「まぁ、そーだな。てかなんでわかった!?」

「だってここ、シュークリームが有名なお店やろ?」

そーだったのか。俺が来てない間にそんなことになっていたのか。

アイツそれ分かって来てたのか?いやいや、そんなわけないだろう。

「飲みもんのおかわり、出来るらしいから頼むならまとめて頼むで決めてやぁ」

心葉さんが隣のテーブルからこちらに身を寄せて話しかけてくれた。

「うちはコーヒーにしよかなぁ」と言いながら、心葉さんはメニューを見せてくれる。

「俺はカフェオレで。」

「俺はカプチーノにしてや」

「じゃあ、注文するで?」

俺と湊が頷いたのを確認してから、心葉さんはよく通る声で店員さんを呼んだ。

「すいませーん!」

彼女と心葉さんのテーブルから、俺たちの注文が聞こえてくる。

あと、キャラメルカプチーノをキャラメルとミルクましまし、お砂糖もましましで____

「は___?/え___?」

彼女は何がおかしいの?と、言わんばかりの顔でこちらを向き、首を傾けている。

「レイちゃん、キャラメルカプチーノは苦いもんとちゃうで?やからそんなに甘くせんでも、、、」

と、湊が焦った様子で話しかけている。そこに心葉さんが

「湊、諦めた方がええよ」

私も注文する前に言ってんやで?と、半分呆れて、半分面白そうに、湊相手に話している。

こんな注文するやつ他にいんのか?4人で大笑いしながら店員さんへ、オーダーをお願いする。

__いや待て、アイツも甘い飲み物に更に甘いトッピング、してたな。

少し懐かしい気分になりながら、俺はその会話を聞いていた。

そういや俺も、変わったな。

今までは人と話さなかったのに、今はこんなにも人と関わるのが楽しい。

それに、アイツのことを思い出しても、少し笑えるようになった。

これもレイのおかげか?

俺は心の中で、レイに感謝した。


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