#3
ゲーム大会当日。雲一つない青空で、絶賛のピクニック日和。
部屋の中でゲームをするには勿体無いぐらいの晴れの日だった。
このゲーム大会に誘われてから、
最近はやっと、学校以外の場所にも出向くようにはなったとて、本性は変わってない。
元引き篭もりゲーマーの俺に勝てる猛者はいなかった。
さらには対戦型のゲーム。俺の最も得意とする分野だ。
「え?マジかよ、、、」
「す、すげぇ」
「どうやったらこーなるんだ!?」
クラスメイトはみんなで画面を覗き込みながら、
どうやったら俺を倒せるか攻略方法をわいわい話し合っている。
初めてだな、こーゆーの。
来てよかったかも、だな。
微笑ましい気持ちになりながらそんなことをを考えていたとき、
急に後ろから声をかけられた。
「なぁなぁ」
驚いて振り返ると、俺たちをゲームに誘ってくれたやつがいる。
「今日は来てくれてありがとうなぁ。君のおかげでめちゃめちゃ盛り上がったわぁ。」
「いやいや、こちらこそ。誘ってくれてありがとう。」
俺は内心動揺しながらもはっきりと礼を言った。人と関わるのって楽しい。アレ以来初めて、本気でそう思えたからだ。
今までなら絶対に、できなかった。
「なぁ、またゲーム教えてくれへん?一応ゲーム大会の主催者なんやけど、
あんましつよないんよ。」
「え?そうなの?」
驚いた。めちゃめちゃ強いからゲーム大会とか開催するんだと。
「あぁ、情けないことにな」
彼は苦笑いしていた。
「やで頼む!俺にゲーム教えてくれ!!」
「ふふ、いいよ」
俺は笑っていった。
「ほんまか!?」
「ほんとだって」
彼は大きく目を見開いて言った。
「ほな、これからよろしゅうな!俺は湊。」
「俺はカイ。よろしく」
俺の高校生活、初めての男友達だった。
あのゲーム大会以降、俺はちょくちょくゲームに誘われている。
今まで話さなかったクラスメイトは俺が拒絶していただけで、
みんな普通にいいやつだった。
今では放課後、誰かの家に集まってゲームをするほどに。
家に帰ってから友達の家に遊びにいく、と伝えると
母さんは驚いた顔をしてから、
少しだけ、目に涙を溜め、にっこり笑って「いってらっしゃい」といった。
アイツがいなくなってから友達と遊ぶとかしなかったから、母さんは俺のことをずっと心配してくれていた。
だから友達と遊ぶと言う俺にほっとしたんだと思う。
俺が変われたのは彼女のおかげだ。
関わって間もないのに俺を変えてしまった彼女に少しだけ想いを馳せ、「いってきます」とだけ言って家を飛び出した。
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