#1

俺は人と関わるのが苦手だ。

人とうまく話せないし、ずっと独り。

まぁ、変に気を使わなくて済むし、楽だから。

そんな言い訳を考えながらも、ゲームに熱中している毎日だった。






まさに快晴、というべき爽やかな風がふく春の日、転校生がやってきた。

転校生は女子で、明るい声で自己紹介をしている。

そんなことはどうでもいい。どうせ俺には関係ない。

「じゃあ席は、、、カイの隣、空いてるな?」

自分には関係ない、と割り切りゲームのことを考える俺の思考を邪魔するかのように、どこぞの漫画で見たことがあるようなセリフを放つ先生。

「カイ、レイはこの学校に慣れてない。しばらく案内係やってくれ」

「___はい。」

動揺を隠すように短く返事をし、気持ちを切り替えて彼女のことを眺めてみる。ふと、彼女のカバンにぶら下がっているキーホルダーが俺の視界に飛び込む。

あれ、限定品のやつじゃん。俺以外に持ってるやつ、まだいたのか。

彼女はこっちにやってきて、俺の横の空席だった場所に荷物を置く。

するとこっちを振り返って

「その、これからよろしくね?」

「あぁ」

これが俺と彼女の初めての会話だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る