そらかられいが

雨夜 ゆう

第1話 プロローグ

「ねぇ!あっち行こうよ!!」

鮮やかな空色。その中に映える綺麗な朝顔。

それは少女の活発な性格を表しているようで。

空色の浴衣をきた少女が、元気いっぱいに走り回っている。その横には、

「もう、分かったから走らないでって!」

と、少女を宥める少年。少年もお揃いで青色の浴衣をきている。

騒がしい祭会場で、2人仲良く手を繋ぎ、大きな目を好奇心で輝かせながら楽しそうに笑っている。その姿は周りの大人たちも思わず頬が緩むぐらいには微笑ましい光景で。

2人の母親も例外なく、にこやかに笑い、見守っている。

「ねぇ!お母さんこっち来て!!」

そういいぴょんぴょん跳ねている少女。母親2人が向かうと

「これね、キーホルダー」

そこで一区切りしてから、

「買って欲しいの。」

「俺もほしい。」

仲良く揃いのキーホルダーを選んだ子供達に母親が「お揃いにするの?」と、問いかけると、

「お揃いにする!!」

と、元気よく答える少女。少年の方を見ると、少しそっぽむいて

「こいつが欲しいって言うから、仕方なくな。」

と言う。そう言う少年も口角は上がっており、仲のいい2人に母親はキーホルダーをプレゼントする。

お揃いのキーホルダーを手に取り、握りしめてると、

「次、あっち行こ!!」

と、食べ物の屋台がある方へ、くるんと進行方向を変える少女。

そんな様子の我が子に、

「もうすぐ花火、始まるよ?」

と、母親が伝える。すると少女は自身の手をぎゅっと胸の前で握ってから、キラキラと顔を輝かせ

「花火っ!花火行こっ!」

と、走りだす。

「ほら、迷子になんだろ?手、繋ぐぞ。」

そういう少年は少女の扱いに慣れているようで。2人は再び手を繋ぎ、もうすぐ始まるであろう花火に期待を寄せて、ゆっくりと歩きだした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る