第4話 不良が暴れた
翌日まで俺の頭の中は紗奈の手で埋め尽くされていた。
(柔らかかった)
(天使だった)
そんなことで埋め尽くされていた俺の頭の中。
フルでテントを貼るほどのインパクト。
これを塗り替えるものなどそうそうおらんだろうと思いながらムラムラしていたら声をかけられた。
「おはよう東條くん♡」
「おはよう」
顔も見ずに答えた。
紗奈のお手手。
ぷにぷにしてみたい。
キスしたい。
ベロベロしたい。
色々思ってたら声の主は俺の机の前に来た。
1
2
3。
それくらいのカウントする猶予があったくらいで現実に意識を戻す。
そこで俺はやっと目の前に移る女子に目を向けた。
「誰?」
目の前に知らない人がいた。
だが、俺の呟きは聞こえなかったのか女の子は俺の隣の席に移動した。
そこに腰を下ろす。
俺の隣ってことは
「あ、あれ?佐藤?」
聞いてみると頷いた。
「うん。ど、どうかな?イメチェン(?)してみたんだけど、似合ってる?それとも私みたいなブスじゃ似合わない?えへへ、美容院行ってきたんだー」
そこにいたのは間違いなく美少女。
10人に聞いたら10人全員が可愛いと言うような美少女が座ってた。
(こいつ、、整形してきてない?髪だけでこんなに変わるか?)
ザワザワ。
そのときいつもより教室が騒がしいことに気付いた。
全員が佐藤を見てた。
「転校生だと思ってた」
「あ、あれ佐藤さん?」
「めっちゃ可愛くね?」
「東條と並んで2大陰キャって呼ばれてたあの佐藤さん?」
「モデルさんかと思った」
そんな声が聞こえてくる。
朝からクラスが騒がしいなと思っていたが
(佐藤が美少女になっててみんな騒いでたのか)
俺も初め佐藤だって気付かなかった。
それくらい佐藤の顔が変わってたから。
マジでアイドルみたいに可愛い。
俺がそう思って見てると佐藤が口を開いた。
「今ちょっといい?東條くん大事な話が」
佐藤がそう言った時だった。
サッカー部の荒尾がきた。
昨日佐藤にぶつかった挙句酷い言葉を浴びせてた奴だ。
「え?お前佐藤なの?」
佐藤に話しかけていた。
「え、うん」
佐藤がそう言うと荒尾はこう言ってた。
「なぁ、メッセージのアカウント教えてくんね?」
「ごめん。私そういうのやってない」
(流れるように嘘をついてる。俺に連絡してきたから持ってないわけないんだが)
荒尾はそんな嘘をつかれたことに気付かずに話しかける。
「じゃ、電話番号教えて。今度遊びに行こうよ」
「え?いつ?」
「土曜日は?」
困ってるような佐藤。
(そろそろボイスレコーダーいれとくか)
スマホのボイスレコーダーをオンにした。
俺は佐藤に言ってやった。
「遊ぶ気ないなら遊ぶ気ないって言った方がいいよ佐藤さん」
そう言うと佐藤はこう言った。
「ごめんなさい。私遊ぶ気ない」
そのとき、少し場の時間が止まった。
この高校名物の朝の放送が流れてくる。
『風生高校の校訓その一』
そんなものが流れ出してから荒尾は俺に怒鳴ってきた。
「おい。東條。てめぇなんのつもりだよ。人がせっかく声掛けてんのによ」
半笑いで答えてやる。
「お前昨日佐藤にぶつかって散々貶してたよな。そんなんで佐藤がお前と遊びたいと思うわけ?」
「なんだとぉ?!」
ガタッ。
バキッ!
俺の胸ぐらを掴んで、殴ってきた。
ドタっ。
俺が倒れるとそのまま近寄ってきて。
ドカッ!
バキッ!
蹴ってくる。
「痛い。やめてくれ荒尾。蹴らないでくれ」
「蹴らないでだとぉ?!てめぇが蹴らせるようなことしたんだろうが!」
ガッ!
ドカッ!
ある程度蹴らせたところで俺は蹴り返した。
「がっ!」
ドタっ。
倒れ込んだ荒尾。
それから、殴りかかってきたのを弾きながら拳を顔に叩き込む。
わざと椅子や机を蹴って音を鳴らしながら荒尾と喧嘩する。
そうしながら俺は荒尾の急所を殴る。
「ごめんな。荒尾俺ちょっと格闘技かじってんだよ。死なねぇように気合い入れろよ?」
「げっ!がはっ!」
みぞおちや急所をひたすら正確に狙っていく。
ひたすらこいつを追い込んでいく。
そうしていたら先生が飛ぶようにやってきた。
(ざんねん、タイムリミットか)
先生が口を開いた。
「おい!なんの騒ぎだこれは」
先生が入ってきたところで先手を打つ。
「荒尾くんに殴られて蹴られました。一方的に殴られました」
「てめぇも同罪だろうが?!東條?!」
笑って言ってやる。
「今のボイスレコーダーあるから先生に判断してもらおっか」
スマホを取りだして今の音声を再生する。
どう考えても荒尾から手を出してきたのは分かる内容だった。
そして、間に挟まった高校特有の放送で今ここで行われたものだとはっきりと分かる。
「いやー。怖いなー。女子生徒がー嫌がってるのに無理やり連絡先聞こうとするなんて怖いなー。先生怖くないですかー?」
俺がそう言うと完全に周りの生徒も俺の味方をしてきた。
特に女子。
「先生、荒尾くんが無理やり佐藤さんから連絡先聞こうとしてました」
続くのは普段荒尾にいじめられてる男子生徒。
「先生、これ立派な暴行罪ですよ。犯罪行為です」
俺もトドメに言ってやった。
「先生、納得のいく対応をしてくれないなら、この録画ネットに流しますよ?俺、こう見えてネットじゃちょっとした有名人で、すぐに拡散されると思いますよ。特に話の中心は女子なんで、フェミニストとか厄介そうじゃないですか?」
先生の目を見て半分脅す。
「賢い先生ならどうしたらいいかは分かりますよね?」
先生は荒尾を見た。
「荒尾。今すぐこい」
「なっ!なんで?!俺だけ?!」
「早く来い。警察に突き出すぞ」
怒鳴られてしぶしぶ歩いていく荒尾。
俺はそれを見送ってから今の音声をちょっと修正を加えてからさっそくネットに上げることにした。
佐藤が近寄ってきて聞いてくる。
「そのレコーダーどうするの?」
「ちょっとフェミニストの皆さんに協力してもらうだけさ。警察より働いてくれそーだなーポチー」
「え?投稿するの?しないって言わなかった?」
俺は投稿を終えて佐藤を見た。
「当然じゃん。あの手のヤツらは中途半端に終わらせるとゴキブリみたいに復活するから徹底的に追い込まないと。生まれたこと後悔させてあげないとね。報復とかもめんどくさいからねー。あとの事が楽しみだなー」
そんな作業が終わると佐藤は口を開いた。
「あ、あの東條くん。聞いて欲しいことがあるの」
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