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「しかも朝田さんがみんなに内緒で彼とこっそりデートしていたらしく、その時に赤い靴を履いていたらしい」


「赤い靴!?」


「それって、滝谷さんが嫉妬から朝田さんを屋上に呼び出して殺したってことだよね?」


 俺は興奮ぎみに叫ぶ。

 女の嫉妬は友達をハブくだけじゃなく、殺人まで犯すとは。


「太郎、煩いよ。犯人が自分の不利になることをペラペラと喋ると思う?」


 なるほど。

 いくら木更津がイケメンでも、殺害容疑がかかることを自白するはずはない。


「そうだよね。だったら、犯人は付き合ってた他校の男子かな?」


「放課後、他校の男子が構内をうろうろしていたら、目につくはずだよ」


「そうだけど、じゃあ犯人は一体誰なんだよ」


 花子は右手の親指と中指で、器用にピースをくるくると回す。


「陰陽師さん、これは俺の仮説だけど。もしその男子が造園業者の制服を着ていたとしたらどうかな? 誰も怪しまないよね?」


「その男子が造園業者の制服を? 朝田さんと付き合っていたのに、高校生がそこまでするかな? 殺す動機はなに?」


「痴情の縺れじゃないかな? 俺達深く考え過ぎなんだよ。付き合ってはいたけど、何かトラブルがありその男子が首を絞めた。だが朝田さんは死にきれず、偶然雨水の溜まった場所に倒れ込み溺死した」


「成る程、木更津君の推理は凄いな。ねえ花子さん。きっとそうだよ」


 花子は黙ってジグソーパズルのピースをパチンと嵌める。


「俺、朝田さんが付き合っていた男子生徒のアリバイを探るよ」


 木更津はそう言うと、鞄を掴み部室を飛び出した。


「花子さん、木更津君張り切ってるね。まるで刑事みたいだ」


「そうだね」


「花子さん、どうして木更津君に今朝の話をしなかったの?」


「今朝の話? おじさんとの話? だって警察の極秘情報だから。ペラペラ喋るとおじさんが困るでしょう。家庭内のことは他言無用だよ。あたし達が同居してることがバレたら困るだろう」


「そうだよね。それは困る。俺も何かするよ、何をしたらいい? もう一度女子に聞き込みしようか?」


「太郎は……そうだな、次郎が汚れてるから体を綺麗に拭いてよ。太郎、ムラムラして変な気を起こしたらダメだからね」


 変な気!?

 俺が骸骨の次郎の体を拭いて発情するっていうのか? どんな発想だよ。


 ていうか、事件と全然関係ねーじゃん。

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