Mystery 3

15

 ―放課後―

 俺達はミステリー倶楽部の部室に集合する。


「木更津君、遅いね」


 花子がジグソーパズルのピースを嵌めながら、骸骨の模型である次郎に話しかけた。


 ていうか、普通は骸骨じゃなくて人間の俺に話しかけるんじゃねーの? 俺は透明人間か!


「部活サボって、もう帰ったのかな?」


「あれ、太郎いつからいたの?」


「……っ」


 やっぱりな。

 初めからズーっといましたけど。


 こんな狭い部室で目に入らないわけないだろう。そんなブラックジョークは笑えないんだけど。


「『任せろ』なんて大見栄をきるから、部室に来れないんじゃない? 本当はさ、俺と同じできっと何も聞き出せないんだよ。イケメンだからって、女子がみんな心を開くとは限らないよ」


 花子はフンと鼻を鳴らす。


「イケメンなら女子は心開くでしょう。太郎なら無理だけど。でも次郎なら聞き出せたかもね」


 怖いこと言うな。

 次郎は骸骨の模型だ。

 そこに魂はないっ! ……はず。

 次郎が口をきいたら、それこそ女子が悲鳴をあげて逃げ出す。


 ていうか、まさか花子は骸骨の声が聞こえてるってことはないよな。だとしたらマジでキモいから。


 ガチャンと部室のドアが開き、思わず悲鳴を上げそうになったが、入って来たのは木更津だった。


「暗いな。どうして電気つけないの?」


 確かに、窓もない倉庫みたいな化学準備室。こんな暗い場所を好むのは、花子と幽霊くらいしかいない。


 パチンと照明がつき、急に室内が明るくなり花子は若干迷惑そうに眉をしかめた。


「木更津君、成果はあった?」


「聞き込みは大成功だよ。遅くなったけど、十分な情報は集めた」


 まじで? 俺には誰一人口を開かなかったのに?


「やっぱりイケメンは違うね」


 ちぇっ、花子のやつ俺に対する嫌味かよ。


「朝田さんと同じクラスの女子から聞いたんだけど、朝田さんを含む仲良し5人組が、最近急に険悪なムードになったらしい」


「険悪なムード? それってハブかれたってこと? 虐めかな?」


「うん、それで思いきってグループの女子に聞いてみたんだ」


「虐めてる側に聞いたの? 木更津君、凄いね。よく話してくれたね」


滝谷たきたにさんが片想いしていた他校の男子に、朝田さんが最近告白されたみたいなんだ」


「ハブいた原因は、女の嫉妬か……」

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