14
化学準備室を出ると、周辺が騒がしかった。屋上に通じる階段には黄色いテープが貼られ立ち入り禁止になっている。
警察官が屋上に出入りする姿を階下から見上げて、俺達も犯人逮捕に協力するつもりだった。
この学園で殺人事件だなんて、犯人を絶対に許さない。
始業のチャイムが鳴り、俺達は7組の教室に入る。みんなは事件のことで、完全に落ち着きをなくしていた。この状況で授業に集中しろなんて、所詮ムリな話だ。
犯人の目的も犯人像もわからない、見えない恐怖に怯えていたんだ。
生徒の間ではいつの間にか、『犯人は造園業者』という噂が広まっていた。
学園の中に殺人犯はいない、そう思うことで恐怖から逃れたい一心だった。
昼の休憩時間、木更津は急いで昼食を平らげて教室を出た。
1組の女友達に被害者のことを聞き出すためだ。俺も7組の女子にさりげなく聞き込みをする。
朝田未那は学園でも目立つ美少女だった。彼氏がいれば人目につくはずだ。
「朝田さんって、この学校に彼氏がいたのかな? 君たち知らない?」
「やだ、西郷寺君何の真似? 朝田さんは殺されたんだよ。犯人は造園業者なんだよ。まるでこの学校に殺人犯がいるみたいじゃない。気持ち悪いから、変なこと言わないで! ミステリー倶楽部だなんて刑事にでもなったつもり? 学校の空気読みなさいよ。変人!」
俺の父が刑事だとは知らない女子生徒に、奇人変人扱いされ俺はあっさり退散だ。
「太郎は刑事の才能ゼロだな。まあ、期待もしてなかったけど。情報収集は木更津君に任せるしかないね」
「……すみません」
花子のヤツ、自分は何をするわけでもなく俺を小馬鹿にして、そんなに木更津がいいのか。マジでウザい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます