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「あっ、太郎。購買の自販機で缶ジュース買ってきてよ」
早速俺はパシリか。
「1人で?」
「1人が嫌なら、次郎貸すよ」
次郎は骸骨の模型だ。
次郎を持って購買に行けば、みんなに変人扱いされるに決まってる。
「1人で行きますよ。何がいいですか?」
「あっ、西郷寺君、俺が行くよ。トイレにも行きたいし。陰陽師さんは何がいい?」
「あたし、オレンジ」
「木更津君本当にいいの? 俺は……じゃあコーラでお願いします」
「わかった。行って来るね」
木更津は爽やかな笑顔で化学準備室を出る。
花子はどうして俺が行かないんだとばかりに、横目で睨みつけ「フン」と鼻を鳴らした。
「ていうか、花子さんジグソーパズルは家でやれば? 部活作った意味なくない?」
「次郎とやるから楽しいんだよ。わかんないの?」
パチパチとピースを嵌めていく花子。花子の言ってることはサッパリわからない。
花子は時折ピースを次郎に見せて、「次郎どこだと思う? あっそーか、ここね」って、会話をしながら納得したように嵌めていく。
友達と会話するみたいに、次郎と話さないで欲しい。骸骨と会話できるのか? 俺には完全にアブナイ人にしか見えない。
「遅いな、木更津君」
花子は時計をチラッと見る。確かに木更津が化学準備室を出てもう30分以上経っている。
「購買迷ったのかな。俺、見てくるよ」
木更津の奴、もう逃げ出したのか?
俺も逃げ出したい。
どうしても『ミステリー倶楽部』をしたいなら、次郎と2人ですればいい。
4階から1階へ降りると、木更津は白い割烹着を着た売店のおばちゃんと親しそうに談笑していた。
「木更津君、何やってんの?」
「あっ、ごめん。ついおばさんと話し込んじゃった」
「もう5時だよ」
「えっ、俺の時計はまだ4時40分だよ。あれ? 時計が止まってる。ごめん、時間ミスった」
「遅いからもう帰ったかと思ったよ。ミステリー倶楽部なんてつまらないからね」
「そんなことないよ。それに途中で帰ったりしないよ。あの珍しいジグソーパズルも、これから学園で起こる様々な事件を解決するのも面白そうだしね」
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