ネクロマンシー封じ

■■■ 196、両面作戦 ■■■@..Z


「さて。両面作戦のつづきですが」

<港町の防衛と、魔王城の攻略ですね>


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┃ RULED SPIRITS

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┃ □@□+@@S

┃ □@□+@@_

┃ > Continue <

┃  Create World

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「魔王城のほうは、しばらくは、移動だけだよね」

<はい。監獄塔から本丸へ、『霧に包む』で移動中>

「問題は防衛だな」


 『入り江の港町』の防衛。

 守る@軍団は、西門のとこに詰めてる近接班と、建物の屋根に上がったマナベース班に分かれてる。

 攻めてきた魔王は、門からちょっと離れたとこに主力がいる。


「んで、デーモンが1匹だけ突っ込んで来たと」

<撃ちます? 弓はあるけど>

「うーん・・・弓ね」

<うん。弓>

「魔王は狙えんの?」

<えーっと、魔王だと2人だけになるね。城壁に立ってる@太郎と@六郎。どっちもクロスボウ>

「デーモンだと?」

<6人。地面にいる@四郎、@五郎、@十郎、@十一郎が加わります。4人ともロングボウね>

「んじゃ、魔王とデーモン両方撃ってみて」

<はーい>


 @太郎はクロスボウを撃った:

  シルバーシールドが魔王をかばった。魔王はノーダメージ。

 @六郎はクロスボウを撃った:

  フン・・・。魔王は回避した。


「シルバーシールドは・・・ドローンだっけ?」

<そう。魔王の上に浮かんでる。魔王が呪文で出したやつだね>

「防御呪文だったのか」

<みたいだね。名前からして、飛び回る盾かな>

「はー・・・。魔王、硬ェな」

<もう2・3発撃てば当たるとは思うんだけどね。弓は防御にペナルティつくし>

「ふーむ」


 @四郎はロングボウを撃った: キャッ! ぱたぱたデーモンは回避した。

 @五郎はロングボウを撃った:

  イチイのロングボウは悪魔の皮膚に打ち負けた。ぱたぱたデーモンに13ダメージ。

 @十郎はロングボウを撃った: はずれ。

 @十一郎はロングボウを撃った:

  イチイのロングボウは悪魔の皮膚に打ち負けた。ぱたぱたデーモンに10ダメージ。

  ぱたぱたデーモンはやる気をなくした。


 ぱたぱたデーモンは逃げ帰った: 「やってらんねー!」


「消えよったw」

<侵略してきたクセに、あきらめがいいですねw>


 1匹で飛んで来たデーモンは、とりあえず撃退した。

 けど、ヤバいのは後ろで群れてるヤツなんだよなー。


 てまねきデーモンは唱えた: 『同胞よ、ここに豊かな土地があるぞ!』

  ぱたぱたデーモンが現れた。

 てまねきデーモンは唱えた: 『同胞よ、一緒に侵略しよう!』

  ぱたぱたデーモンが現れた。

 てまねきデーモンは唱えた: 『いい国じゃないか! 略奪しがいがありそうだ!』

  ぱたぱたデーモンが現れた。

 :

 ぱたぱたデーモンは飛び回った: ぱたぱた。

 ぱたぱたデーモンは飛び回った: ぱたぱた。

 ぱたぱたデーモンは飛び回った: ぱたぱた。

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「ワーオ」

<8匹も出て来た>

「倒すのは簡単だけどうじゃうじゃ出てくるパターンだね、こりゃ」

<敵に人海戦術やられちゃいました>

「ホントだよ。アイスブレスは?」

<まだ全然>

「だよね・・・」

 @太郎のアイスブレス。レイス騎兵倒すのに使っちゃったからなー。

「温存しときゃ良かった。やべーかも知んねーわこれ」

<次、魔王の手番です>


 魔王はギュゲスの指輪を使った: 魔王は見えなくなった。


「え?」

<見えなくなりましたね>

「透明になったの?」

<みたいだね>

「透明の指輪かー・・・どっかで聞いたやつだね」

<これはギリシア神話かな? 羊飼いのギュゲス。指輪で透明になって、王様を暗殺するっていう話>

「クズじゃん」

<クズだね。さて、これで魔王タゲれなくなっちゃいました>

「“クラッシャー”対策ってとこかな」

<あー>

「当たれば即死だもんなー。対策はするよなー」

<え、もしかして幹太さん、ここまで読んであっちにやったの?>


 魔剣“クラッシャー”。所有者の@オガ太郎は、魔王城のほうに行ってます。


「なんとなくね。そろそろかなって。それにさー、万が一ンときゃー、精霊に持って来させりゃいいじゃん」

<なるほどー・・・>

 きこ、きこ。ミニロボカーのユキ号が首振ってこっちを見てきた。

 なんだよその動きw

「見直した? 見直してもいいんだよ?」

<はいはい。かしこいかしこい。幹太さんはえらいねー>

「こいつwww」


 ラウンド終了。次のラウンド。

 敵レイス騎兵(魔王の護衛かな?)が移動開始。すでにぶっ壊れた西門に近付いてくる。

 @軍団は、ぱたぱたデーモンを警戒して隊列組み替えようとしてたとこ。面倒なことになってきました。

 さらに・・・


 どかーん! オークの格子門が壊れた。

 どかーん! オークの格子門が壊れた。


「あれ? 門やられた?」

<どこだろ。南門かな。・・・・・・・・・あー! 南門と東門に敵が回り込んでる!>


■■■ 197、新兵を投入せよ! ■■■@..Z


「ゾンビ?」

<うん。ゾンビ部隊だね。西門に来たのと同じ編成。先頭は処刑執行人2で、後ろにゾンビがワラワラ>

「雑魚か。でも、ヤな配置だね」


 西門を守ってる@軍団からすれば、側面・背面を突かれた形だからね。

 雑魚とはいえ、いてほしくないポジションを取られちった。


<失敗しました。衛兵を下げちゃったんですよ。もういらないと思って>

「衛兵置いとけば、門を攻撃される前に気付いてくれるもんね」

<そうなんだよ・・・いやー、領主の館に回り込んで来るかも? って思ってさー>

「ま、しょうがねーよ。ゾンビなら大丈夫っしょ」

<マナベースの周囲が手薄なんだよ。建物の上だけど、魔法は届くから>

「あー・・・そっか。レイス魔術師ね」

<といって、西門を空っぽにするわけにもいかず・・・>

「──よっしゃ! じゃあこうしよう!」

<どーすんの?>

「秘策を打つ」

<秘策ですってー!? いったい、どんな?>

「もう言ったじゃんw テキトーにキャラ作って、時間を稼ぐ」

<人海戦術ですね>

「そうです。新兵を投入せよ!」


┏━━━━━━━━━━

┃ Name:?

┃ Race >Human< Sex:unknown Exp 100

┃ Bp -

┃ St - Ht - Dx - Mn - Pr - Ch -

┃ Food - Life - Speed - Spell - Channel - Charm -

┃ Weapon:nil Shield:nil Armor:nil

┃ :

┃ [Confirm] [RESET]

┗━━━━━━━━━━


 というわけで、戦闘を中断。キャラ作成画面でーす。


「ひさしぶりの、この画面」

<だね。方向性はありますかー?>

「ほうこうせい」

<戦士とか、魔法使いとか、@Pizzaみたいな子とか>

「この港は、太陽の司祭作れんだっけ?」

<うん。作れる>

「じゃあ戦士・・・ってか、筋力全振りのを8人、太陽の司祭2人ってパーティーでどうかな」

<カンタ司令、提案があります>

「なにかね? フーカ隊長」

<素早さと回避を中心に作成するほうがよいのではないでしょうか>

「その心は?」

<作成直後の@隊員は素っ裸です。武器がないので、攻撃・受けはできません。

 いっぽう、回避は素っ裸でも可能であります>

「なるほど・・・それで行こう!」

<了解! あとひとつ。司祭はMpすぐ尽きちゃうだろうけど、いい?>

「いい。マナベースから吸わせるつもりだから」

<なるほど。習得する祝詞(のりと)は『マナ招集』『ヒール』『亡者を消す』?>

「うん。それでいいと思う」

<わっかりました!>

「俺ちょっと、明日の用意済ませとくわ」

<はいはい。キャラ作成はお任せを>


 で。


「準備終わりー」

<こっちもー。@百九十六郎、@百九十七郎・・・以下略>

「さーて、どこに出て来っかなー?」


 新兵20人。街の中央に、ぐちゃっと固まって出現しました。


<現場まで20マスぐらいかな。7ラウンド>

「遠いなー」

<ま、足が遅いのは敵も一緒だからね>


 戦闘再開。

 敵、ぱたぱたデーモンの群れ。


 ぱたぱたデーモンは唱えた: 『マナボール!』

  ウワァ! @ゴブ二十一郎は回避した。

 ぱたぱたデーモンは唱えた: 『マナボール!』

  グエー。@ゴブ二十一郎は26ダメージ。死んでしまった!

 ぱたぱたデーモンは唱えた: 『マナボール!』

  @ゴブ二十一郎の死体に26ダメージ。


<魔術師だったようで>

「1人に3発か。殺しに来てんなぁ」

 

 ぱたぱたデーモン、マナボール撃ってきた。

 それも、システム的に効率のいい3発集中攻撃である。こりゃダメだ。

 @ゴブ二十一郎がまず死亡。さらに、@十郎が同じように3発撃ち込まれて、3発目で死亡した。


「いきなり2人落ちたか」

<けど、やられっぱなしじゃないですよ>


 ぱたぱたデーモンは唱えた: 『マナボール!』

  カキーン! 地の精霊@十一郎ははね返した:

   ぱたぱたデーモンに17ダメージ。

   地の精霊@十一郎に10ダメージ。


「はね返した!」

<『地の精霊』のスキル上げときましたからね!>


 最後の8匹目のマナボールは、地の精霊@十一郎が避けてノーダメ。

 次、てまねきデーモン。


 てまねきデーモンは唱えた: 『同胞よ、一緒に侵略しよう!』

  ぱたぱたデーモンが現れた。

 てまねきデーモンは待機した:

  てまねきデーモンのお祈りポイントが3回復した(次元汚染)。

 てまねきデーモンは待機した:

  てまねきデーモンのお祈りポイントが5回復した(次元汚染)。

 :


「クソうぜェ」

<次元汚染の効果、重複するんですね・・・>


 てまねきデーモンの使う『次元汚染』とかいう呪文。

 Mp回復の魔方陣(?)みたいなやつを出すんだよね。

 ひとつだと、Mp1しか回復しねーみたいなんだけど。重なると2、3、4・・・と効果が増えていくっぽい。

 毎ターン5点とか回復してやがんの。


「毎ラウンド5点回復はヤバいね」

<ヤバいですね。このゲーム、ほとんどの呪文が消費ひとケタだし>

「Mp回復したらぱたぱたデーモン召喚するわけでしょ? これはヤバいわ」

<デーモン狙いますか>

「ああ、魔王じゃなくて? そうだね。城壁の上の子はデーモン狙ってみて。あとなんかできそうなことない?」

<うーん・・・『盲目』はたぶん『次元汚染』みたいな行動は止めれないからなぁ・・・>

 風花さん、味方の能力をチェック。

<──あ、これ使ってみましょうか。シダル子の『ネクロマンシー封じ』>


■■■ 198、ネクロマンシー封じ ■■■@..Z


 『ネクロマンシー封じ ・・・ネクロマンシーの効果を相殺するバリアーです。』


「良さそうじゃん。そう言えばあったね、こんなの」

<やってみますね>


 シダル子は唱えた: 『邪霊術師よ、控えるがよい! 冥界神の怒りを恐れよ!』

  招集されたマナを18ポイント消費した。

  31ポイントのバリアが張り巡らされた。

 こだまの精霊(@シャイン)は唱えた: 『邪霊術師よ、控えるがよい! 冥界神の怒りを恐れよ!』

  招集されたマナを18ポイント消費した。

  ネクロマンシー封じが発動を妨害した(-27)。

  ネクロマンシー封じの効果は打ち消された。


「・・・は?」

<どういうことだろーねw>


 俺と風花さん、困惑である。

 しばらく風花さんにヘルプとか調べてもらった結果・・・


<どうやら、『ネクロマンシー封じ』は、ネクロマンシーの呪文を相殺して打ち消すっぽいですね>

「バリアーだもんね」

<うん>

「それはわかる」

<うん>

「けど、いまのは何が起こったわけ?」

<こだまの精霊が、『ネクロマンシー封じ』をこだま詠唱したわけですが、>

「うん」

<先に発動されてたシダル子の『ネクロマンシー封じ』によって、相殺されちゃったと>

「なんじゃそりゃ」

<たぶんアレだよ。バリア重ね掛けしたら強すぎるとか、そんな理由で>

「あー・・・重ね掛けできねーようにしてあるわけだ」

<そーそー>

「『次元汚染』は重ねまくってるくせにw」

<ですねぇ>


 なんともがっかりな結果であった。

 ──だがしかし! この直後!

 『ネクロマンシー封じ』が、本領を発揮するんである!


 魔王は唱えた: 『影よ、突き刺せ。敵対者どもを串刺しにせよ』

  デーモンスタッフ“アビス”のマナを1消費した。

  トゲトゲの影が、戦場を埋めつくす!

  ネクロマンシー封じがダメージを妨害した(-4)

  @六郎はノーダメージ。

  @太郎はノーダメージ。

  @オガ三郎はノーダメージ。

  地の精霊@十一郎はノーダメージ。

  @ゴブ二十一郎は気付かなかった。1ダメージ。

  @サンデーは気付かなかった。1ダメージ。

  サンデーのこだまの精霊は気付かなかった。1ダメージ。

  :


「マップ兵器来たコレ」

<ダメージを妨害(-4)は・・・4人分ってことかな?>

「4ダメージ打ち消してくれたんじゃね? 1発1ダメージっぽいし」

<あー>

「『気付かなかった』は、魔王が透明だからか。えぐいな・・・」


 魔王のマップ攻撃呪文。味方全員に1ダメージずつ!

 ただし、最初の4人だけはノーダメージ。これこそ『ネクロマンシー封じ』の力であった!


<こだまで打ち消されなければ、31人分防いでくれたわけですか>

「強ェじゃん!」

<強いですね・・・ってゆーか、ちょっと待ってカンタさん。これ魔王の呪文のほうがおかしくない?>

「なにが?」

<この呪文、Mp1しか消費してないよ!?>

「は?」

<デーモンスタッフのマナを1消費したってなってる。1って>

「1だけ?」

<1だけ>


 なんと、魔王のマップ攻撃。

 このマップにいる@軍団全員(新兵も喰らいました・・・)に1ダメージ与えてくる超広範囲攻撃。

 Mp消費、たったの1ポイント。


「ふざっけんなwww」

<これはないよねwww>

「魔王のマップ攻撃。いまならなんと、お値段たったの1マナです!」

<インチキだー!>

「これはインチキだね!」

<ホントだよー>

「まあ・・・1ダメージだからいいようなもんのさ・・・」

<いやいや、良くないよ。だってこれ、『気付かなかった』メッセージ出てるじゃない?>

「出てるね」

<これさー、防御できないときに出るメッセージだから>

「・・・ん?」

<本来なら防御できるんだよ。いや、防御できちゃうんだよ>

「・・・んん?」


 防御できて何が悪いんだろ?


 いまのは、魔王が透明だったから『気付かなかった』になって1ダメージ喰らったわけだけど。

 気付いてれば回避が勝手に発動してくれるだろうから、全員回避して・・・


「・・・あ、全員が回避 し ち ゃ う わけか」

<そうだよ。1ラウンド3回しかアクションできないのに・・・>

「1アクションこれで使わされちゃう。それも、全員が」

<そうだよ>

「Mp消費1のクセに」

<そうだよ>

「とんでもねーなこれwww」

<ムチャクチャだよ。ここに来てなんだよコレwww>

「ってかさー・・・ネクロマンシー封じのMp消費いくつだっけ?」

<18ポイント>

「ふざけんなマジでwww釣り合ってねーんだよwwwww」

<もう笑うしかないよwww>


 俺と風花さん、あまりのインチキ仕様に大ウケである。

 なんだこのクソ呪文。開き直りすぎでしょ。


「あーもー・・・もうちょっと緻密なゲームかと思ってたわ」

<私も>

「なんだこれマジで。しかもなんの欠点もねーっつー」

<まあこっちが全員『はねかえす』すれば、魔王一発で殺せるのかも知んないけどね>

「あー。いや、それはどーかな」

<ダメ?>

「『この呪文は物理じゃアリマセーン』とか言ってさ。はね返せないとか、ありそうじゃね?」

<あー・・・ありそう!>


 数ラウンド後にわかったんだけど、やっぱそうなってました。

 魔王のこの呪文、『トゲトゲ影(風花訳)』は、回避のみ可能。受けは不可。

 地の精霊の『はね返す』は、受け可能な攻撃にだけ有効。っつーわけで、『はねかえす』はダメだった。

 まあ1人や2人はね返したところで痛くねーかんね。うちの@軍団じゃ地の精霊が足りませんわ。


「くっそー・・・なんかもう、このインチキ呪文で気力削がれたわ」

<笑っちゃったよホントに>

「まあ、魔王、姿現わしてくれたし。弓撃っとこっか」

<そーだね>


 魔王は、いまの詠唱で透明状態が解けた。タゲれるようになってますんでね。

 まだ動いてなかった@太郎、@六郎がクロスボウを撃ち込む。

 魔王は『シルバーシールド』と回避でかわす。これで魔王のアクションはなくなった。しかし後が続かず、魔王はノーダメのまま。

 城壁の上には@オガ三郎もいるんだけど、飛び道具持ってないからね。オーガは素早さ低いから、射撃は苦手でね。


「@オガ三郎が遊んじゃってんね」

<うん。下りようか?>

「うーん・・・いや、レイス騎兵倒すまでは上でいいや」

<じゃあ待機で>


 次、西門を守ってる軍団メンバー。

 @ゴブ次郎・三郎のゴブリンシールズ兄弟が前へ。マナボールから味方をかばうポジションに。

 @四郎、火の精霊@五郎がイチイのロングボウで射撃。両方当てて、デーモンのHpをマイナスに追い込む。

 屋根に上がってるマナベース班はひたすらマナ招集。


「厳しいな」

<新兵が全員1ダメージ喰らったのが非常に・・・>

「20ラウンドかかるっつったっけ?」

<いえ、7ラウンド。あと6ラウンド>

「7ダメージ喰らうっつーことだもんね」

<魔王のインチキでね、うん>

「あのインチキさー、考えてみりゃ、あれ人海戦術の対策かも知れんね」

<ああー・・・!>

「人数増やせば増やすほど被害でかくなるわけだもんねw」

<そうだわ。きっとそうだ>

「でしょ」

<・・・でもインチキだよね?>

「うん。インチキだねw」


 ・・・とまあ、苦戦必至の序盤だったわけですが。

 魔王の手の内がある程度わかった3ラウンド目からは、ジワジワと盛り返しました。


 鍵はシダル子の『ネクロマンシー封じ』。

 さっきはこだまで打ち消されちゃったけど、そうなるってわかってりゃ対処はできる。

 先にマナ招集をしてから(=こだまの精霊にアクション使わせてから)、シダル子が詠唱すればいい。相殺の問題はこれで解消。

 魔王のインチキ呪文『トゲトゲ影』に対し、味方31人を守るバリアーの完成だ。・・・まあ、いま主力24人+新兵20人なんで、全員はカバーできないんだけどね。


 そして、この『ネクロマンシー封じ』。

 てまねきデーモンの呪文も妨害するってことがわかった。


 てまねきデーモンは唱えた: 『同胞よ、ここに豊かな土地があるぞ!』

  ネクロマンシー封じが詠唱を妨害した(-155%)。

  詠唱失敗。


 ・・・こんな感じでね!


 ぱたぱたデーモンのマナボールをビシバシ喰らいながらも、ゴブリンシールズの盾ゴブ兄弟が耐える。

 ひたひた迫ってくるゾンビ部隊の圧力を感じながらも、太陽の司祭@サンデーが2人のすぐそばでヒール、ヒール、ヒール・・・。

 突撃してきたレイス騎兵は@オガ三郎の氷の鞭“ブリちゃん”の餌食となり、すり抜けたヤツは@オガ次郎の処刑斧で即死する。


 魔王のインチキ呪文は・・・あれも所詮、1つのアクションだからね。

 Mpは超インチキだけど、アクションはちゃんと消費して詠唱してんだよ。


<どうも魔王のAIは『攻撃されたらギュゲスの指輪で消える』となってるみたいですね>

「ふむ」

<だから、姿を現わすたびに叩いてやれば、透明になるアクションで1ラウンド使ってくれる>

「そのラウンドは『トゲトゲ影』は来ないと」

<そう。そして、透明状態から飛んでくる『トゲトゲ影』は『気付かなかった』になるから・・・>

「こっちは回避できない。つまり、アクションを使わされずに済むと」


 そーゆーわけだね。

 これがわかってからは、魔王のインチキ呪文も単なる「マップ全体1ダメージ」って攻撃になった。

 しかも2ラウンドに1回しか飛んで来ないわけだから、マナベースさえ保ってりゃ耐えれる!


 そうやって、敵の攻撃をしのいでるうちに・・・

 @太郎のアイスブレスが、ふたたび使用可能になって・・・


 @太郎はブレスを吐いた: 呼吸が足りない。威力が半分になった。

  レイス騎兵は凍死した。

  ナイト・メアは凍死した。

  てまねきデーモンは凍死した。

  てまねきデーモンは凍死した。

  :

  シルバーシールドが魔王をかばった。

  腕輪“守護者”がダメージを半減した。

  身代わりの魂が発動した。魔王はノーダメージ。


「届いた!」

<『身代わりの魂』がなかったら、魔王、死んでたっぽいですね!>

「だね。これも即死対策でしょうな」


 魔王は唱えた: 『私は死なぬ。死ぬべきではない。死ぬべきは・・・そうだな、おまえにしよう』

  デーモンスタッフ“アビス”にチャージされた魂を1つ消費した。

  身代わりの魂が準備された。 


「・・・なるほどね」

<ゾンビが死ぬと、杖が魂を支配する。支配した魂──Ruled Spiritの数だけ、即死を避けれると>

「そーゆーことのようだね」

<ということは、カンタさん>

「はいな。フーカさん」

<いままでに死んだ@軍団員の数だけ、魔王にチャージされているわけで・・・>


 ・・・。


「何十回も身代わり可能ってことだよね」

<何十人も死なせてきましたからね>

「・・・フーカさん」

<はいカンタさん>

「ヤバいですよ!!! これは!!!」

<ヤバいですね!!! 時間のほうも>

「あ・・・もう寝ないとダメか」

<はい。そろそろ>

「バカな・・・俺は、ここまでなのか・・・」

<死ぬみたいに言わないでw>

「しゃーねーなw じゃーね。おやすみフーカ」

<はーい。おやすみカンタさーん>

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