Ruled the Spirit

■■■ 193、作戦会議 ■■■@..Z


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┃ RULED SPIRITS

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┃ > Continue <

┃  Create World

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 ゲーム再開。

 魔王が『入り江の港町』に攻めてきた! 一刻を争う事態である!


 ・・・ンだけど。

 ローグライクだかんね。のんびり作戦会議やらせてもらいます。


「ふと思ったんだけどさー」

<はーい。なあに?>

「いま、魔王城ってカラッポなわけだよね?」

<・・・。>

「こっちに魔王いるわけだしさー、あっちカラッポなわけじゃん」

<あー、うん。そうだね>

「魔王城攻めたら、面白いことにならねー?」

<カウンターだね!>

「そうだよ。あっちが突っ込んで来たんだから、こっちも突っ込んでやろーぜ」

<二面作戦かー。面白そうだね>

「問題は★大鷲さんだけど」

 テレポート担当の★大鷲のオーブさん。一日一回しか呼び出せねーんだよな。

 今日はもう、主力呼び戻すのに使っちゃったからね。

<他にもなんかあった気が・・・メモ見てもいい?>

「もちろん」

<では失礼>風花さん、テキストファイル開いてガーッとスクロール。<あった>ここまで2秒です。

<かえりの精霊の『にげもどる』。これでテレポートできますね>

「自分だけ?」

<『接触してる味方も、一緒に帰れます』らしいよ。試してないけどね>

「やるか?」

<誰を抜くか? だね>

「選抜チームだな。なんて名前にしよっか。フーカ考えて」

<えー? んじゃー・・・魔王城急襲班>

「いいね。きゅーしゅー班。んじゃそれで」


 魔王の裏をかくべく、密かに結成される特別攻撃メンバー。

 その名も、魔王城急襲班! メンバー選考である!


<『接触してる味方』って、たぶん8人だと思うんだよね>

「ああ、周囲8マス?」

<そーそー>

「かえりの精霊+8人か。結構厳しいな」

<マナベース作るのがね>

「そうそう。ゴブ盾は1枚として・・クラッシャーも入れよっか」

<はい。湖の手前からだとすると、@海乃ちゃんも必要ですね。となるとマナ招集も1人は必要>

「これで4人。あと4人か。蘇生はどうしよう?」

<いらない>

「その心は?」

<Mp集めるのがつらい。それに、前衛が倒れたらマナベースもどうせやられる>

「けど、ブリッツ君みたいな可能性もあるっしょ? 後衛がクラッシャー拾ってトドメ刺すかも知んない」

<勝ったんなら放置でいいじゃん>

「ゾンビになっちゃうじゃん」

<後からリカージョンすればいいじゃん。精霊になれるし>

「うーむ」

<魔王倒せばクリアでしょ? たぶん>

「ま、そーだろーね」

<だったら死んでもいいじゃんw 死なせたくない?>

「それもあるけど。なんつーか・・・」


 俺がいままでやってきたRPGだと、戦闘中に蘇生は当たり前だったからね。

 範囲攻撃で何人か戦闘不能になって、次のターンに蘇生して。

 Mp足んなくなったらポーション呑んで・・・っていう。


「・・・あんまこの手のRPGやったときねーからさ」

<この手のRPG>

「事前に準備しとかないと一方的にボコられるやつ」

<?>

「このゲームってさー、戦闘始まる前からマナベース作っとかねーと、簡単にパーティー壊滅するじゃん」

<そうだね。Mpがものすごく厳しい>

「そーゆー感覚がいまいち掴めてねーのかも知んねーわ」

<でもマナベース思いついたの幹太さんじゃん>

「そうだっけ?」

<そうだよ>

「よく覚えてんね」

<ユーザーの成功と私の失敗はね、覚えるようにしてるんだよ>

「・・・自分のことは失敗ばっか覚えてんの?」

<うん。同じ失敗をくり返さないようにする。そのほうが有能に見えるでしょw>

「あ、はいw」

<それにほら、失敗はひっくり返せばいいわけじゃん>

「ひっくりかえす」

<失敗って、つまるところ、馬鹿をやったか、負けたかでしょ?

 やっちゃいけないことをやったか、敵が有利な状況になったか>

「うん。そうだね」

<なら、それをひっくり返せば成功ケースになるわけでしょ>

「なるかね?」

<なるよ。ゲームは特にそうなる>

「たとえば?」

<このゲームなら、1対3の近接戦闘>

「あー・・・」


 このゲームは、攻撃・受け・回避を合わせて3回までっつー制限がある。

 だから、3人から集中攻撃されっと、すげーピンチになんだよね。


「なるほど。1対3で失敗したら、ひっくり返して3対1にする」

<そーそー。負けパターンは、勝ちパターン!>

「ひっくり返して、やり返せ!」

<そーゆーこと>

「急襲されたら、急襲しろ!」

<うん。まあ、そこは当てはまるかわかんないけどねw>


 ──っつーわけで選考しました。

 魔王急襲班! 以下の9名です!


 かえりの精霊@ゴブ十五郎 ・・・テレポート担当。

 @海乃 ・・・指揮官。『素潜り』『泡の冠』担当(精神攻撃と火に抵抗つくやつね)。

 @オガ太郎 ・・・魔剣“クラッシャー”。

 @ゴブ太郎 ・・・盾。

 @デイリー ・・・マナ招集。

 地の精霊@ゴブ十四郎 ・・・精霊偵察員。

 水の精霊@十二郎 ・・・『霧に包む』。

 @ハッピー ・・・罠とか探す役。

 @スピッツ ・・・なんとなく。


「@スピッツだけテキトーなんですが」

<ブリッツ戦で活躍したから、縁起を担いでみました>

「・・・スピッツも死ななかったっけ?」

<うん。死んだ>

「ダメじゃんw いやいいけど。じゃ、早速出発しよっか」

<すぐ出るの?>

「ダメ?」

<魔王に苦戦した場合、“クラッシャー”ないと困るのでは?>

「チッチッチッ」

<なんだよw>


 俺、ミニロボカーのユキ号に指を振ってみせる。

 ユキ号、器用に首振って、俺の指を見上げてくる。


「そこはちゃーんと考えてあんだ。秘策」

<秘策ですか>

「そう、秘策だよ、フーカ君」

<さすがは司令官閣下! うかがっても?>

「後で教えてやるよ」

<わかりました。楽しみにしときます>

「うん。期待しといて。ってわけで、始めよーぜ」

<はいな>


 作戦会議終了! ゲーム開始である!


 ──司令官・浜之松(はまのまつ)幹太(かんた)。

 のちに、この『秘策』をちょっぴり後悔することになる。


■■■ 194、レイス騎兵、一掃である! ■■■@..Z


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 ──さて、戦闘である。


 まずは敵騎兵の突撃から。

 すでに破れてる門を駆け抜けて、市内に入って来ようとする。

 @軍団は、その突撃を門の内側で待ち受ける。


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 ぶふぉ! ズゴゴン!! 変なSEが鳴り響く!


 ハイエルフ騎兵のレイスは突撃した: フン! @ゴブ次郎は回避した。

 ハイエルフ騎兵のレイスは突撃した: ナンノ! @ゴブ次郎はシールドで受けて、ノーダメージ。

 ハイエルフ騎兵のレイスは突撃した: 俺バッカリ! @ゴブ次郎はシールドで受けて、ノーダメージ。


 ・・・だが、二枚盾の鉄壁ゴブリン@ゴブ次郎、パーフェクト防御でノーダメである!

 そしてこちらの反撃。


 地の精霊@十一郎は陥没させた: 石畳の道路が1フロア陥没した。

  ナイト・メアは転落して2ダメージ。さらに転倒した。

  ハイエルフ騎兵のレイスも転落、5ダメージ。転倒した。

 @オガ次郎は全力攻撃した: クリティカル! ハイエルフ騎兵のレイスは死んだ。


 @ゴブ三郎はシールドで殴った: ハイエルフ騎兵のレイスは回避した。

 火の@五郎は焼いた: ハイエルフ騎兵のレイスに7ダメージ。


 門の内側でコの字型に並んだ@軍団。

 中央の敵は放置して、左右(画面だと上下だね)に集中攻撃である。


<どうです! これが『ひっくり返す』ってことですよ!>

「以前やられたヤツだね。ここの、領主の館で」

<そう。門の内側で待たれて、1対3で殴られるやつね>


 さらに、城壁の上から・・・


 @六郎はクロスボウを撃った。

  ハイエルフ騎兵のレイスに6ダメージ。ハイエルフ騎兵のレイスは死んだ。

 @オガ三郎は全力攻撃した:

  ハイエルフ騎兵のレイスは凍死した(アイシーウィップ“ブリちゃん”)。

 @太郎はブレスを吐いた: 呼吸が足りない。威力が半分になった。


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  レイス騎兵は凍死した。

  ナイト・メアは凍死した。

  レイス騎兵はシールドで受けたが、凍りついて、死んだ。

  ナイト・メアは凍死した。

  レイス騎兵は凍死した。

  ナイト・メアは凍死した。

  :


「いまの3発、全部ブリッツ君関係のだね」

<ん?>

「クロスボウはブリッツ君の翼殺すのに使ったヤツでしょ?」

<あー、はいはい>

「氷の鞭のブリちゃんはブリッツの財宝で、ブレスは討伐報酬」

<そうだね。ドラゴンに縁のある3発でした>

「強ェーな。我が軍は」

<もはやレイス騎兵も敵ではなくなってきましたね>

「ゾンビ級に転落だね。雑魚枠」


 レイス騎兵、一掃である!


<あ、かえりの精霊に手番回ってきました。テレポート可能です>

「レッツゴー!」

<はーい>


 かえりの精霊@ゴブ十五郎はにげもどった:

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 ┃どこに逃げ戻りますか?

 ┃→『魔王の城』監獄塔

 ┃ 入り江の港町

 ┃ 『魔王の城』月神殿

 ┃ :

 ┗━━━━━━━━━


<お、一発で成功しましたよ>

「幸先いいね! 牢屋行こっか」

<はーい>


 急襲班の9人、かえりの精霊の『にげもどる』でテレポート!

 魔王城の監獄塔(おじいさん=魔王がいたとこだね)へ突入しました。


 そして、ここから。

 司令官・浜之松幹太の、後悔の時間が始まる・・・。


<あ、ゾンビ消えた>

「いつものやつか。ゾンビ玉ね」


 画面の中を、光の玉が飛んでゆく。

 ゾンビが消えるとき、必ず発生するエフェクトである。

 いつもは画面の上のほうへ飛んで行ってたわけですが──


<あれ? 方向がちがう>

「・・・下に飛んでったね」


 ──今日、このとき。

 ゾンビから出る光の玉は、画面の左下へ飛んでった。

 そして。

 魔王に、吸い込まれたんである。


■■■ 195、Ruled the Spirit ■■■@..Z


 ゾンビの魂が、魔王に吸い込まれた。


 Witch King ruled the spirit.

 Witch King charges 13 Mana into Demon Staff "Abyss".


「・・・ルールド・スピリットっつった?」

<うん>

「このゲームのタイトルじゃん」

<うん。タイトルの意味、わかりましたね>


 魔王は魂を支配した。

 デーモンスタッフ“アビス”に、13点のマナをチャージした。

 魔王は魂を支配した。

 デーモンスタッフ“アビス”に、12点のマナをチャージした。

 魔王は魂を支配した。

 デーモンスタッフ“アビス”に、10点のマナをチャージした。

 魔王は魂を支配した。

 デーモンスタッフ“アビス”に、9点のマナをチャージした。

 :


「うへぇ」

<チャージしまくりだぁ>

「Mp回復か」

<魔王式マナベース>

「上限はあるよね? 杖でしょ?」

<杖のMpは・・・あー>

「なに?」

<50ポイント越えてる。初期値、36ポイントだったのに>

「無限チャージかよ・・・」


 これはいけませんよ。

 何がいけないって、あなた。

 これ、浜之松司令が考えてた『秘策』がですね・・・


 魔王は唱えた: 『次元を蝕む(むしばむ)マナの子よ、楽しい狩場を与えよう──デーモン召喚!』

  デーモンスタッフ“アビス”のマナを17ポイント消費した。

  ぱたぱたデーモンが現れた。


「ぱたぱたデーモン」

<Flirt Demon。『ぱたぱた飛び回る』とか、恋愛的な意味で『火遊びする』とか>

「2種類目か。こいつは何すんだろね」


 ぱたぱたデーモンは飛び回った: ぱたぱた。


「なんだいw」

<無意味な行動のようにも見えますが・・・>


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 ΔΔΔΔ〟.■□□□■〟〟

 δδδΔΔ〟.■□δ□■〟  Flirt Demon

 δδδδΔ〟..■□□□■

 δδδδΔ〟〟〟.■□□□

 δδδΔΔ.〟〟.〟■□□

 WΔΔΔ〟.〟〟〟〟〟■□  Witch King


「・・・近付いて来てんね」

<方向的にはマナベースですね、これ>

「それはまずいですよ」

<まずいですね>

「どーしましょ」

<司令官閣下の『秘策』を検討なさってはいかがでしょうか?>

「あー・・・・・・・・・」

<どったの?>

「いやー・・・あったんだけどね? ちょっと、こー、予想外のことが起きたっつーか」

<なんだよw>

 こつーん。ユキ号が手に頭突きしてきた。

「いやー、まあ説明すっとだね、」

<はい。司令官の一発逆転の秘策とは!?>


 説明しよう! 浜之松幹太の秘策とは!


「この街でキャラ作りゃ、いくらでも増援できんじゃん! って思ってたわけでさ」

<キャラ作れば?>

「@軍団員をね」

<新キャラ作成ってこと?>

「そう。このゲーム、キャラ作ったら即座にその場に出てくんじゃん?」

<うん>

「なら、作りまくって城壁に群がってりゃ、どうとでもなんじゃね? って」

<あー、人海戦術>

「そうそれ」

<使い捨てはしないって言ってなかった?>

「うん。言ったけど」

<まあ、確かに増援はできますね。新兵だけど>

「でしょ」

<死んだらゾンビになるけど>

「うん」

<ゾンビ死んだら、魔王のMpになるけど>

「うん」

<それが・・・・・・・・・秘策ゥー・・・?>


 きこー。

 ユキ号、ノローッと首かしげるみたいな動きしやがった。


「てめぇw」

<きゃーw>

「言いたいことあんならはっきり言えや!」

<ユーザーさんの失敗はつつかない主義でしてーwww>

「くっそー!」


「かんたー。ふうかちゃーん。ごはんよー」


「へーい!」

<ごはんだごはんだー。さあ放せー>

「おめーも一緒に食うんだよ」

<乱暴なー。ペットはお腹持っちゃダメなんですよ。足を抱き上げてやらないと>

「こうかな」

<鷲掴み!>

「はいはい。ちゃんと持つわ。こうでしょ?」

<ニャーン。ゴロゴロ・・・>

「あーあ。晩飯食ってるあいだになんか考えねーと」

<今日は夜もやるの?>

「今日、29日じゃん」

<うん>

「TAIさんの会議、明日っしょ?」

<うん>

「このまま会議してさー、『うちのカンタさんの秘策がねぇ・・・』とか言われたら悔しいじゃん」

<言わないよw>

「言わないんだ」

<ちゃんとぼかすから大丈夫。『うちのユーザーさんの秘策がねぇ・・・』って>

「名前だけじゃねーか」

<ま、いいじゃないですか。やってみればわかると思いますよ? 秘策www>

「くっそーw」

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