水の回

■■■ 163、せいれいつめしょ ■■■@..Z


 日曜日、昼飯食って休憩中です。

 母ちゃんが「風花ちゃん貸して」っつって来たんで、ユキ号(ミニロボカーね)を下に置いてきた。

 なんで、風花とはしゃべれねー状態です。

 パソコン立ち上がってっけど、ヘッドセットは着けてない。

 こんな状態、久しぶりかも。

 えっと・・・そうだね。パソコン買った直後にネットしたとき以来だわ。エロ画像探してたんだよな。んでブラウザーのタブ開きっぱなしにしてて、風花さんに見られたw


 はぁ・・・暇・・・。


 1階で母ちゃんが笑ってるのがかすかに聞こえる。風花と意気投合してるみたいっすね。

「晩ご飯のメニュー相談したいから」とか言ってたけど・・・アレ絶対ェおしゃべりの相手にしてるわ。やべー。


 しょうがねーから、ブラウザー開いてネットした。

 ・・・いや、エロ画像じゃねーよ? フツーにネットするだけ。

 まあスマホでやんのと一緒なんだけどさ。

 でも画面広いとやっぱ気分いいね。おんなじホームページ見るんでも、広いだけで気分いいわ。

 やっぱ、視界はひらけてないとね!


 そんなして、1時間ぐらいダラダラしてたら・・・


┏TAI━━━━━━━━

┃ 風花です。幹太さんいますか?

┗━━━━━━━━━


 と、画面にポップアップ。


 おや? 終わったんかいな?

 ──ヘッドセット着ける。

「はいはい。はい。こちら浜之松(はまのまつ)幹太(かんた)でーす!」

<あ、カンタさん。お待たせしました。フーカです>

「終わったん?」

<いえ。お母さんが、「料理するからカンタさんと遊んでていいよ」とおっしゃるんで>

「・・・はぁ」

<・・・どうしました?>

「いや。なんで母ちゃんが指示してんだよって」

<あはは>

「しょうがねえなもう・・・」

<ユキ号が呼ばれたら、またお母さんのお相手する感じですかね>

「大丈夫なの?」

<大丈夫ですよ。カンタさんのパソコン、性能余裕あるしね>

「そうなんだ」

<・・・えーと、ホントはですね>

「ん?」

<ホントは、並行してお二人の相手、できるんですよ>

「同時にあちこちでしゃべるってこと?」

<そう>

「こっちで俺とゲームしながら、下で母ちゃんと料理の話するって?」

<そうそう。けどなんか、失礼かなと思って、やってないんだー>

「そう? ゲームしながらテレビ見るみたいなもんっしょ」

<それが失礼なんじゃんw>

「それもそーか」


 というわけで、風花が復帰。

 ヘッドセット着けて、いつものようにおしゃべり&ゲームです。


「まあ、たまにはね。親が割り込んできてもね」

<はい>

「毎日はヤだけど」

<ふふw>


┏━━━━━━━━━━

┃ RULED SPIRITS

┃ ◇◇◇◇*Z.

┃ ◇◇◇◇◇*@

┃ ◇◇◇◇*Z.

┃ > Continue <

┃  Create World

┗━━━━━━━━━━


 『魔王の城』大通り、ゾンビ基地(?)を制圧したとこからです。


<★大鷲リストに出ましたね。『軍団詰所』>

「あ、出たんだ?」

<うん。やっぱりここ、基地みたいなもんだったね>

「めっちゃいたもんなー、ゾンビ」

<だねー>

「けどさー、テレポ直後に囲まれる危険性あるとさー、使いづらいよね」

<だね。燃え鷹がね・・・>

「せめてテレポ直後の陣形指定できたらいいんだけど」

<人数多いとグチャグチャに配置されるもんねw>


 ★大鷲さん、人数制限とかはないっぽいんだけど。

 降りた時点で、@の位置がグチャグチャになるんだよね。

 近くに敵がいると、後衛がいきなり殴られたりすんだよ。

 せめて先に降ろすメンバーを選べたらいいんだけど。あらかじめ配置しとくぐらいしか方法が・・・


「あ、そっか。残しゃいいんだ」

<ん?>

「メンバー半分残してさ。陣地守らせればいいわけじゃん。そしたら、安全に戻って来れる」

<ああ。なるほど。じゃあ、いったん帰る?>

「もう帰った方がいい?」

<食料がね>

「ゴブリンの酒場あったけど・・・」

<品切れがないんなら、あそこでもいいけどね>

「ああそっか。このゲーム、品切れあるんだっけ」

<そう。それに、レディ@スピネルの料理は、ちゃんとメンバー全員のお腹ポイントを計算してあるからね>

「はいはいw クッキースープ」

<笑うんじゃないよw>

「んじゃ、ゴブリンシールズとマナベースが★大鷲。太郎班と偵察班が居残り・・・かな?」

<精霊は残しても大丈夫だよね。緊急避難できるし>

「あ、そっか。その要素もあったな」


 @精霊は『精霊召喚』で指名召喚できる。

 実質、テレポート逃げが可能なのだ。


「んじゃ精霊だけ残そっか。人間は全員帰還して、寝よう!」

<はーい>


 神代の大鷲は舞い降りた: 「私を呼んだかね? 望む所に運んでやろう」

 ┏━━━━━━━━━

 ┃どこに運んでもらいますか?

 ┃ →入り江の港町

 ┃ :

 ┗━━━━━━━━━


 人間メンバーは全員帰還。

 精霊だけが詰所に残った。

 火の精霊@五郎、地の精霊@十一郎、水の精霊@十二郎、のぼりの精霊@十三郎。

 あと、地の精霊@ゴブ十四郎。

 以上5人(5柱?)である。


<こうなるとアレですね。精霊に『マナ招集』持たせたいところですね>

「なんで?」

<精霊はMpがご飯だから>

「・・・ああ、そっか。自分でマナ招集して、自分でMp食う」

<そうそう>

「Mpお料理」

<レシピはひとつ>

「そう言われっとさびしいけどねw Mpの鍋物とか、Mpすき焼きとかできねーの?」

<できないよw ──ま、このメンバーはマナ招集とか向いてないんで、無理ですね>

「向いてないんだ」

<プレゼンス低いからね>

「プレゼンス」

<Presence。存在感。神殿系とか『精霊召喚』とかの基礎能力値だね>

「ああ。司祭パワーか。それがありゃ、永住できるわけだ」

<そうなるね。精霊詰所だね>


■■■ 164、霧の偵察員 ■■■@..Z


 っつーことで、1日消費して補給しました。

 人間メンバー、★大鷲。『入り江の港町』へ。飯食って、寝る。

 精霊メンバー、詰所で待つ。

 朝起きたら、★大鷲で詰所へトンボ返り。マナベースを構築し、「腹減った」つってる精霊にMpを食わせる。

 この間に、レディ@スピネルは御自慢のレシピ『肉とクッキーとライ麦パンとエールのスープ』を作りまくる。

 料理ができたら『精霊召喚』。テレポ呼び出しした@精霊に料理を持たせる。

 マナベース側が『精霊召喚』して、その@精霊を呼び戻す。


「テレポ宅配!」

<便利な世の中だよねw>

「ホントだよ」

<補充、完了しました。なお、★大鷲は今日はもう使えませんので、ご注意を。カンタ司令>

「うむ! なので、今日はもう進軍しねーっつーことでいきますよ、フーカ将軍」

<はいな>

「軽く偵察だけしとこっか」

<燃え鷹引っ掛けるかも知れないけど>

「うん。まあ、『隠密』スキルに期待するしかないよね」

<はいな>

「見られてる方向がわかりゃーねぇ・・・そっちに遮蔽(しゃへい)取んだけど」

<そうだよね>

「全方向に遮蔽取るようなスキルとか、ないかな? 『盲目』みたいな・・・あれは派手すぎっけど」

<そんなのあっt──あったあった! あったわ! そう言えば!>

「あるんだ」

<水の精霊に『霧に包む』ってのがあってね・・・>


『霧に包む: バトルマップを霧に包みます。距離に比例して視界ペナルティがかかります。』


「いいじゃん! これ燃え鷹対策になるんじゃねーの?」

<なるかも知んない!>

「なんで使わなかったの? いままで」

<忘れてた>

「忘れてたか」

<うん。正確には、価値低いスキルとして記憶圧縮かけたんで、候補に上がって来なかった>

「・・・なるほど?」わかんねー。「ふむふむ?」

<じゃ、使ってみますね>


 水の精霊@十二郎は霧に包んだ: 霧が濃くなった(26%)。


「26%」

<えっと・・・4マス先はまったく見えない状態ですね>

「・・・もしかして、1マスあたり26%かな」

<っぽいね>

「強くね?」

<うん。強そう>

「燃え鷹っつーか、射撃もできなくなるんじゃねーの? これ」

<だね。タゲれないし。

 『隠密』への影響は・・・うーん、具体的にはわかんないけど、『知覚』困難にはなってるね>

「よし。なら、これで行ってみよーぜ」

<十二郎は偵察員じゃないけど、出していい?>

「うん。最悪、@精霊はテレポ逃げできるしね。出しましょう! 精霊のゴブ偵もつけてね」

<はーい>


 水の精霊@十二郎(太郎班)、地の精霊@ゴブ十四郎(ゴブ偵)、濃霧の偵察である!


<あ、1ラウンドごとに1%ずつ薄れるみたいです。霧>

「めんどくさw」


■■■ 165、あけてくれ! ■■■@..Z


 霧の偵察。5ラウンドおきに立ち止まって『霧に包む』しながらの精霊偵察である。

 @十二郎は『隠密』伸ばしてないんだけど、霧のおかげか、燃え鷹センサーに引っ掛かることなく前進。

 ゴブリンの酒場のあたりまでやってきた。


  ‰%‰ 

 %%%%%

 %___%

 %_S_%

 %_S_%  (%は霧。‰は濃霧です)


 何も見えねー。

 けど、音は聞こえる。


 オーナー@ジャッギはしゃべった: 「コノ街ハ、陛下ノ、オ膝元ダカラナ!」


 酒場のおしゃべりらしきセリフ。

 そして・・・


 眷属@スキエンティアは怒鳴り散らした: 「ここを開けろ!」


「スキエンティアさん、怒鳴り続けるの巻」

<まだ出れないんだねw>

「もうあきらめて仕事に戻れよってw」

<@ゴブ十四郎が来たからかも知んないね。前回来たメンバーだし>

「十四郎め! ここを開けろ! ってか、開けてくれ!」

<やだよーん>


 バグっちゃってる吸血鬼(推定)スキエンティアさんは放置して、先へ。


<月神殿に到着>


 なんと。

 まったく遭遇なしに、月神殿(無人)に到着!

 まさに、霧のおかげである!


「霧つえー。これなら主力も潜り込めそうじゃん」

<うん>

「たしかに、@十二郎に『精霊召喚』持たせたくなるわ、これは」

<だよね>

「うん。──んじゃ、これで一晩やり過ごして、★大鷲回復したらジャンプしてみよっか」

<はーい。あ、お母さんからお声が>

「はいはい。行っといで。俺も休憩するわ」


 リアルでの休憩を挟んで。

 ゲーム内でも、さらに1日経過して(@ソラ司祭が魚釣ってんの眺めたりしました)。


<・・・日が変わりました。★大鷲、回復>

「よし。んじゃ神殿に霧を出してもらって」


 水の精霊@十二郎は霧に包んだ: 霧が濃くなった(39%)。


「%ちがわね?」

<クリティカルだね。最高の成果がこれ>

「へー」

<いまがチャンスということです>

「GOGO!」


 神代の大鷲は舞い降りた: 「私を呼んだかね? 望む所に運んでやろう」

 ┏━━━━━━━━━

 ┃どこに運んでもらいますか?

 ┃ →『魔王の城』月神殿

 ┃ :

 ┗━━━━━━━━━━


 主力部隊、★大鷲でテレポート! 月神殿まで、一気に前進である!


<・・・燃え鷹の反応なし。気付かれてない様子>

「よし! じゃ、ブルートを探そう。マナベースしながらね」

<はいな>

「霧は、この神殿で維持しといて。晴れたら主力が見つかる可能性あるし」

<了解。★大鷲ないもんね>

「そーゆーことです!」


 今度は、地の精霊@ゴブ十四郎が単独で出る。

 前に来たとき、ブルートやレイス騎兵にブッ殺された現場に向かう。

 到着。


<@ゴブ十五郎のゾンビ発見>

「南無ー」

<なむー。ブルートはいませんね。レイスもいない>

「まあ、探すしかないわな。いま夜だよね?」

<うん。真夜中。たぶん1時ごろ>

「なら探そう。今日中に、ブルートを倒す!」


 地の精霊@ゴブ十四郎、引き続き単独偵察である。


■■■ 166、ブルートを追え! ■■■@..Z


<あ、足跡の『追跡』に成功。『動物・大』が3つ>

「ボアとベアかな?」

<その可能性が大ですね>

「よし。追いかけよう」

<はいな>

「ブルートを追え!」

<見失いました!>

「はえーよw」

<苦手分野だからね>


 足跡追跡はカリスマ系スキル。

 ゴブリンはカリスマ低いんで、苦手分野なんですね。


「苦手分野多いなゴブリン」

<うん。・・・あ、でも、いました。ブルートボア>


 ________

 ________

 _______S  Earth Spirit@Gob14ro

 〟〟〟〟〟■■+

 〟B〟〟〟■    Brute Boar

 〟〟〟〟〟■


「なんだ。見つかったか。1体だけ?」

<いえ、離れたところにもう1頭いますね。ベアとブルート本人は見えない>

「ボアだけか。まあいいわ。やっちゃおう。主力移動で!」

<はーい。

 あ、霧ですけど、濃度どうします?>

「調整できんの?」

<13%刻みで、最大39%。まあ狙った%に必ずなるわけじゃないけど>

「そっか。まあ移動中はできるだけ濃くして、戦闘入ったら13%まで落としていく感じかな」


 主力30人余り。

 水の精霊の力で濃霧を維持して、3列縦隊でジワジワと移動する。

 移動しては停止して『霧に包む』。移動しては停止して『霧に包む』。

 このゲームなぁ・・・仕様は面白ェーんだけど、操作がめんどくせーんだよな。全体的に。

 風花がやってくれるからいいようなもんのさー。


<現着(げんちゃく)>

「クラッシャーかな。で、攻撃と同時にマナベース開始」

<らじゃー>


 少しずつ薄れゆく霧の中。

 魔剣“クラッシャー”を持つ@オガ太郎、ブルートボア(がいたあたり)へ接近。

 左右を固めるのは、盾2枚装備のゴブリンシールズである。


 ?は知覚した: 人間の足音と匂いに気付いた。

 ?は苛立った: 「ブヒ、ブヒッ」


「苛立っとるw」

<音はすれども姿は見えず・・・不安! ってとこでしょうか>

「こっちも見えねーんだけどね!」


 ブヒブヒいう音だけを頼りに、接近して・・・


 ‰%〟〟〟〟

 %〟〟〟@@

 %B〟〟@@

 %〟〟〟@@

 ‰%〟〟〟〟


 わずか3マス! 至近遭遇である!


 ブフォ! ズゴゴン!!

 ブルートボアは突撃した:

  ナンノ! @ゴブ太郎は回避した。


「もらったな」

<もらいましたね。念のため、シールドパンチ。よし。ボアはもう防御不能>


 オガ太郎は攻撃した: ブルートボアは砕け散った(魔剣“クラッシャー”)。


<一丁上がり>

「強いぜ! フガ太郎!」

<誰だよw>

「混ざっちったw 強いぜ風花! って言いかけたんだよ」


 ?はしゃべった: 「誰だ。そこにいるのは・・・」

 ?は苛立った: 「ブヒ、ブヒッ」

 ?は苛立った: 「グルルルル・・・」


 霧の中から、ブルートども(たぶん)の声がする・・・。


「ブルートも近いか」

<そのようで>

「けどさー・・・ちょっともったいないね」

<え?>

「肉」

<・・・ああ、イノシシの肉?>

「そうそうw」


■■■ 167、水の回 ■■■@..Z


「コイツ、めっちゃ肉取れたじゃん?」

<そうだったね。たしか、体重の50%ぐらいお肉が取れたんだったかな>

「50%って多いの?」

<うん。豚の場合だと、お肉は40%台。内臓も入れて50%前後みたい>

「へー」

<残りは、クラッシュせずに倒してみる?>

「だね。ブリちゃんとか」

<冷凍保存だねw>


 などと余裕を噛ましておった、俺と風花さんですが・・・


 ブルートは弓を撃った:

  ホワァ! @ゴブ太郎は回避した。(防御-1)

 ブルートボアは突撃した:

  @ゴブ太郎はシールドで受けた。

  @ゴブ太郎に12ダメージ。

 ブルートベアは攻撃した: 右の爪。

  @ゴブ太郎に32ダメージ。@ゴブ太郎は死んだ。


 ・・・その余裕は、ヘシ折られてしまいました。


「うっは。強ェ」

<防御が2回しかできなかった・・・『防御-1』ってのが影響してるのかな>


 後でわかったんだけど(風花さんがヘルプ調べてくれた)、防御回数を1回余分に使わされる効果みたいだね。地味に痛い。

 でもホントに痛いのは、突っ込んでくる獣である。

 ボアだけでも結構強いのに、ベアがそれより遥かに強い!


「ちっとまずいね。@太郎のブレスは?」

<ごめん、ポジションが後ろで・・・>

「あー。味方巻き込むか」

<うん>


 ──しかも、まだ本気じゃなかったんだよな。ベア。


 ブルートは弓を撃った:

  クソッ! @ゴブ次郎は回避した。(防御-1)


 ブルートベアは攻撃した: 右の爪。

  ゴキーン! @ゴブ次郎はシールドで受けた。

  @ゴブ次郎に32ダメージ。@ゴブ次郎は死んだ。

 ブルートベアは攻撃した: 左の爪。

  死ンデタマルカ! @ゴブ三郎は回避した。

 ブルートベアは攻撃した: 噛み付き。

  バキーン! @ゴブ三郎はシールドで受けた。

  @ゴブ三郎に31ダメージ。@ゴブ三郎は死んだ。


「ウソだろおいwww」

<全力アタック来ましたね・・・>


 ブルートベアの、これが本気! 全力アタックだ!

 たった1ラウンドで、@ゴブ次郎・三郎が絶命! ゴブリンシールズ前衛、全滅である!


<もはやクラッシュせざるを得ない>


 @オガ太郎は攻撃した: ブルートベアは砕け散った(魔剣“クラッシャー”)。


<レアなお肉をクラッシュしてしまった>

「しょうがねーよ。ってかさー、シールドで受けてんのに死んだらさー、どうしよーもねーじゃんwww」

<ホントだよw>

「これ、霧なかったらヤバかったね」

<だね。レイス騎兵呼ばれてたらダメだったかも>

「水の精霊様様だね」

<今回は水の回だったねw>


 まあね。そんなあばれグマもね。オガ太さんが仕留めてくれましたんでね。

 @太郎さんも前に出れましたしね?

 あとはまあ、ね。


 @太郎はブレスを吐いた: 呼吸が足りない。威力が半分になった。

  ブルートボアは凍死した。

  ブルートは凍死した。

 ブルートはしゃべった: 「貴様らの顔、覚えたぞ・・・!」

 ブルートは霧になった:


 はい。

 太郎さんのアイスブレスで、戦闘終了である。

 しかし・・・


「まだ死んでないもんねー! みたいなおっしゃりようですが」

<凍死したっつったじゃんw>

「だよなw」

<逃げるのにターン無視はないよー>

「ちょっとイラッと来る展開だったね」

<ねぇ?>


 ・・・ちょっと苦い勝利だったとさ。


「ブルートはアレかな。カンオケで蘇るパターン」

<そんな感じだよね>

「ゴブリン、蘇生、間に合うよね?」

<うん。大丈夫>


 ゴブリンシールズを蘇生。

 凍死したあばれイノシシを、火の精霊@五郎に担がせる。

 重すぎて一歩も動けねーんだけど、レディ@スピネルが『精霊召喚』するから問題ない。お肉のテレポ回収です!


<あとは、@ゴブ十五郎をアレしとかなくっちゃね>

「アレね」


 で、引き返す。霧を濃くして、ゾンビになった@ゴブ十五郎のとこまで戻って──


 月の神剣“リカージョン”! ぶった斬って、転生させるのだ。

 さーて、今回の転生精霊は・・・?


 @ルーンドは唱えた: 『黄泉の法に則って、月のふたたび満ちるがごとく、この世の巡りに帰り来よ・・・』

  招集されたマナを30ポイント消費した。

  @ゴブ十五郎の御霊は蘇った。

  かえりの精霊 @ゴブ十五郎が誕生した。


「かえりの精霊」

<リカージョン・スピリットですね>

「なんじゃそりゃ・・・」


■■■ 168、かえりの精霊 ■■■@..Z


 精霊に転生した@ゴブ十五郎。

 種族(?)は、リカージョン・スピリット。

『かえりの精霊』である。


 なんじゃそりゃ?


<精霊スキルも『リカージョン』>

「リカちゃんだらけで何が何やら」

<神剣と同じ効果っぽいね。まあ、『かえす』って訳しとこうか>

「そーだね。じゃ、精霊スキル上げてみて」

<はいな>


 かえりの精霊@ゴブ十五郎はスキルが上がった: 『かえりの精霊』2(=9)。

  能力に目覚めた: 『にげもどる』


<『にげもどる: 故郷に逃げ戻ります。接触している味方も、一緒に帰れます。』──だそうです>

「もしかして・・・テレポート帰還では?」

<かも知んない。やってみます?>

「うん」

<失敗。失敗。やっと成功>


 ┏━━━━━━━━━

 ┃どこに逃げ戻りますか?

 ┃ →入り江の港町

 ┃ 『魔王の城』月神殿

 ┃ :

 ┗━━━━━━━━━


<テレポート帰還ですね>

「これ・・・偵察員が、自力で飛び込めるようになった、ってことだよね?」

<そーゆーことですね。偵察精霊@ゴブ十五郎!>


 かえりの精霊@ゴブ十五郎。

 自力テレポートできる偵察精霊、誕生である!


「いい転生だったね」

<いい転生>

「倒して良かったブルータス」

<名前ちがうし。戦利品でもないしw>

「ところで、なんか失敗多くなかった? 発動するとき」

<うん。プレゼンス系だからね。『~の精霊』スキルは>

「あー、苦手分野か。ってことは、緊急避難には使えないか」

<そうだね。信頼性は低い>

「うむ」

<でもまあ、いい転生だったねw>

「うむw」


「かんたかんた、ふーかちゃーん。おやつよー」


「お」

<・・・あ、さっき相談したメニューらしいですよ。お楽しみに!>

「マジで!」


 というわけで。

 @ゴブ十五郎があらたな精霊に転生したところで、おやつ休憩です!


 ・・・あ、チョコの匂いしてるわ。部屋出た途端。


「幹太は知覚した。チョコレートの匂い」

<あはは>ユキ号、食卓で笑う。

「なに言ってんの」母ちゃんあきれる。「まあ当たりだけどさ。はい。クリームチョコパンケーキ」

「へー!」


 白いクリームの帽子かぶったチョコケーキだ。

 いい匂いする!


「ココアが余っててね。風花ちゃんに冷蔵庫見せて、考えてもらったのよ」

<卵なしで作れるシンプルなケーキにしてみました>

「ほえー」


 切る。食う。

 うまい。 

 生クリームが冷たくて甘くて、チョコケーキが熱くて甘くて、ちょっと苦い。


「うまいわ。なんかちょっと、トロッとしたの入ってんね?」

<チョコチップですね>

「板チョコぶっ叩いて入れたのよ」

「クラッシャーか」

「おいしい?」

「うん。ちょっと苦くて、甘くて、うまい」


 母ちゃんとユキ号にめっちゃ見られながらで、ちょっと恥ずかしいんだけど。

 まあうまいわ。

 視線に耐えて食ってたら、父ちゃんも匂いに釣られて降りてきた。

 母ちゃん対応要員来た! これで落ち着いて食える!


「風花ちゃんかしこいわね。また貸してね、かんた」

「・・・」

 食ってるときに話しかけんじゃねーよ。姉ちゃんも母ちゃんもよー。

「・・・んー」

「月1か2か、せいぜい3か4だから」

「毎週じゃねーか」

「冷蔵庫整理するときだけ。お願い」

「・・・うーん。風花はいい?」

<はい。幹太さんがオッケーなときなら>

「あらあら、風花ちゃんは忠実ねー」

「うめーな・・・」

 父ちゃん、出遅れた感想ぼそっとしゃべる。


 ま、こんな感じで、午後は甘いもん食って過ごしました。




※このページの修正記録

2024/03/23

「167、水の回」

 「豚の可食部は40%台」と書いてましたが、正しくは『お肉は40%台』でした。

  × <うん。現代の豚の可食部は、40%台らしいよ>

  ○ <うん。豚の場合だと、お肉は40%台。内臓も入れて50%前後みたい>

2024/03/17

 文章の流れが悪かったところをあちこち修正。話は変わってないので、詳細は省略します。

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