ここをあけろ!

■■■ 147、ブリッツの墓 ■■■@..Z


 風呂入ったり飯食ったりした。

 母ちゃんも風花に慣れてきたみたいで、今日は結構しゃべってた。

「今度レシピ検索頼もうかしらん」とか言ってたけど・・・


「やっべー、母ちゃんにフーカ取られっちまわァ」

<あはは>

 ウィンウィン。ミニロボカーのユキ号、首を振る。

「ま・・・、飯も食ったし、ちょっとゲームすっか」

<はーい>


┏━━━━━━━━━━

┃ RULED SPIRITS

┃ .〟SSS〟〟

┃ S@@@@@S

┃ S@@@@〟〟

┃ > Continue <

┃  Create World

┗━━━━━━━━━━


 いつものゲーム起動!


<『魔王の城』に潜入したわけですが>

「速攻見つかっちゃったけどね」

<いや、あれは見つかったんじゃないよ。こっちから仕掛けたんだから、こっちの先制だよ>

「逃げたじゃん」

<じゃあ先制逃走だよ>

「なんだそりゃw」

<それで、どうしましょ? いまみんな城内・・・城内というか、大通りにいるけど>

「主力部隊はあんま目立つとこで止まりたくないよね」

<うん。それと、もうすぐ夜だから>

「あー」

 画面の左のほうが赤くなってきてるわ。夕焼けだっけ、このエフェクト。

「うーん・・・★大鷲呼んでみよっか。『魔王の城』って選択肢出てるかも知んねーし」

<あ、そうだね。じゃあ──>


 神代の大鷲は舞い降りた: 「私を呼んだかね? 望む所に運んでやろう」


┏━━━

┃どこに運んでもらいますか?

┃ →『魔王の城』正門

┃  アイスドラゴン“ブリッツ”の墓

┃  鬼の港町

┃  銀の砦

┃  :

┃  :

┗━━━


「ブリッツの墓!」

<スポット扱いになるんだね・・・>

「観光地かなんかかよ」

<こちら、かの有名なアイスドラゴン“ブリッツ”のお墓でございます>

「あ、心臓は食べないでください! 健康に影響があります!」

<耐久ダメージだもんねw>

「まあこれなら飛んでもいいよね。鬼の港町に帰っとこっか」

<はーい。ゴブリン偵察班の7人だけ残してジャンプですね?>

「うん」

<@ゴブ十四郎はどうする?>

「え?」

<さっき死んだ子。地の精霊になったけど>

「あー。ゾンビになった子ね?」

<そうそう>

「んー・・・いいんじゃね? 偵察員扱いで。特に成長してないし」

<らじゃー!>

「どうせだから、一緒に行かせよっか。地の精霊のテストも兼ねてさ」

<2人で偵察するってこと? ゴブリンと地の精霊1人ずつ?>

「そう」

<わかりました。んじゃ、ジャンプ!>


 主力のゴブリンシールズたち、★大鷲さんでテレポート。

 『鬼の港町』まで後退しました。

 ドラゴンの財宝やら、さっき手に入れたマナプールの杖やらを抱えての帰還です。


「今回は『成功した』って感じの帰還だわ」

<だねー。ドラゴンは倒したし>

「レイスも楽勝になってきたしね」


 これで主力が襲われる心配はなくなった。

 しばらく戦闘はお休み。偵察のお時間です。


<では、@ゴブ十五郎と、地の精霊@ゴブ十四郎、前進します>

「GoGo!」


■■■ 148、偵察班、せんにゅうす ■■■@..Z


 .〟___〟〟

 〟〟_@_..  @Gob15ro

 .._S_.〟  Earth Spirit@Gob14ro

 〟.___〟〟


 偵察班、『魔王の城』に潜入す。

 ゴブリンの十五郎と、地の精霊に転生しちゃった十四郎の2人で前進である。

 空き地だらけのスカスカなエリアを、しばらく歩く。


<左手に、城壁・・・らしきもの発見>


 ■〟___

 ■.___

 ■〟___

 .〟___〟〟

 〟〟_@_〟〟


「らしきものとは」

<だいぶ先のほうまで続いてるんだよね。家の壁にしては広すぎるかなって>

「なんだろね」

<・・・あ、向こうのほうにパイク持ちゾンビがいますね>

「槍兵か。軍事施設か」

<かな>


 フーカさん、ゾンビに気付かれないよう、スニーキング開始。

 地の精霊@ゴブ十四郎は立ち止まって『隠密』スキルで隠れる。

 十五郎がひとり前進である。もちろん『隠密』ONでね。


<・・・カンタさんが当たりっぽいね。軍の駐屯地っていうか、基地だよ、これ>

「ゾンビがうようよいる感じかな?」

<うん。

 門の向こうに広場があって、広場の奥に建物がある。

 広場にゾンビが何体かウロついてるね>

「ゾンビ部隊の駐屯地って感じか。よし、それがわかればいいや。スルーね」

<はーい>


 ゾンビ軍団の駐屯地(?)を避けて、さらに潜入である。

 その先にあったのは・・・


<これは・・・商店街かな?>


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 .〟〟〟_〟〟.〟._Å.〟〟〟

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 〟.〟〟〟_S_〟.〟〟〟.〟〟


「家がいっぱいあんね」

<うん>

「人はいないけど」

<歩いてる人が全然いないよね>

「さびしい街だこと」

<右のは、お宿みたいだね>

「おやど」

<うん。看板が立ってる>


■■■ 149、ゴブリンの、おやど ■■■@..Z


 ___.〟■

 _____+

 ___..■

 _@_.Å■■  billboard "inn - Twisted Horns"

 _S_.〟〟〟


<立て看板“お宿 - ねじれ角”>

「ねじれづの」

<ねじれたツノね。そういう名前のお宿ってことだね>

「魔王の城なのに、旅館あんの?」

<看板見る限りはね>

「ツノってことは、悪魔とかかな?」

<かな?>

「悪魔のお宿」

<どうします?>

「外からじゃ様子わかんないんだよね?」

<わかんない。窓がないから>

「んじゃ、入ってみますか」

<はいな>


 〟■■■■■■■■■■■

 〟■_@□@_只Ⅱ且n■  Blaze Hawk

 〟■_只□只_只Ⅱ@_+  Owner@Juggi

 〟■_只□@_@Ⅱ_且■

 _|@________■  @Gob15ro

 .■_只□只_@□@<■

 Å■■■■■■■■■■■

 〟S〟〟〟〟〟〟〟〟〟〟  Earth Spirit@Gob14ro


「@がいっぱいだ!」

<お客さんみたいだね>

「ってか、ふつーにお宿じゃん。これ」

<うん>

「大通りをゾンビが歩いてんのにさー」

<ホントだよw ──あ、この店のオーナー、ゴブリンだよ>

「ゴブリンなの?」

<うん。ゴブリンのオーナー@ジャッギ>

「ゴブリンのお宿かい!」


 なんと。この宿のオーナーは、ゴブリンのようです。


「オイラもゴブリンなんスけど!」

<だねw あと、そのゴブリンオーナーの後ろに、モンスターっぽい鷹がいますね>

「モンスターっぽいたか」


 且n■  Blaze Hawk

 @_+  Owner@Juggi


<Blaze Hawk──『炎の鷹』かな>

「燃え鷹」

<じゃあそれでいいよw 燃鷹(もえたか)ね>

「命名しちゃったよ」

<どうしましょう>

「んー・・・まあ、偵察だし。シレッとしてりゃいいんじゃね?」

<しれっと>

「宿ありますかー? みたいな」

<客のフリをするってこと?>

「そうそう。目的は戦闘じゃないかんね。情報を引き出すことだから。相手の出方を見よう」


 @ゴブ十五郎はあいさつした: 「ごきげんよう。私は@ゴブ十五郎です」

 オーナー@ジャッギは鼻を鳴らした: 「フン! ヨソ者メガ!」


「なんだこいつ」

<歓迎はされないみたいだね>


 @ゴブ十五郎は商品を訊ねた。

 オーナー@ジャッギは鼻を鳴らした:

  「ヨソ者ニ、貸ス部屋ナンゾ、ナイワ! バターミルクデモ、呑ンドレ!」


「バターミルク」

<バター作ったあとの残り汁のことだね>

「バターとミルクじゃないの?」

<ちがう。生クリームからバターを分離させたときの残り汁>

「残りカスか」

<栄養はあるんだよ>

「へー」

<脂がバターに取られちゃってるから、おいしくはないみたいだけど>

「栄養はあるけどおいしくない汁でも呑んどけ! って意味なわけ?」

<そうなるねw>

「よくわかんねーゴブリンだなw」


 @ゴブ十五郎は商品を訊ねた。

 オーナー@ジャッギは怒鳴り散らした: 「ウルサイ客ジャ! ダッタラ、金ヲ寄越セ!」


 @ゴブ十五郎は支払った。

 オーナー@ジャッギは鼻を鳴らした: 「ホレ! ゴ注文ノ、バターミルクジャ!」

  @ゴブ十五郎はジョッキを受け取った。


 @ゴブ十五郎は、バターミルクを呑んだ:

  これはうまい。お腹4ポイント回復。@ゴブ十五郎は胃もたれした。


 オーナー@ジャッギはしゃべった:

  「──言ウテオクガナ、ヨソ者ヨ。

   魔王陛下ニ、逆ラオウナンテ、考エルンジャナイゾ!

   コノ街ハ、陛下ノ、オ膝元ジャ! ソレヲ、忘レルナ!」


「泊まるのは無理か」

<選択肢ないみたいだね。バターミルクしか買えない>

「でもバターミルクは『これはうまい』なんだね」

<うん。毒ってわけでもないし、値段もちょっと高い程度だし・・・>

「敵か味方かわかんねーな」

<忠告してくれてるようでもあるよね>

「忠告か・・・」


 この街は魔王のお膝元だぞ。うかつなことはするなよ!

 ──ってことだもんね。コイツが言ってんの。口は悪いけど。

 『見張られてるぞ』ってことかな。

 魔王の見張りがそこら中にいるぞ、みたいな?


「・・・もしかしてさ、その燃鷹ってヤツが、魔王のスパイなんじゃね? スパイってか、秘密警察」

<あ、そうかも>

「そいつの正体、調べらんねー?」

<会話してくれるかなぁ>


 @ゴブ十五郎はあいさつした: 「ごきげんよう、燃鷹。私は@ゴブ十五郎です」


<・・・へんじがない>

「ただの燃鷹か」

<でも、あからさまに怪しいよねw>

「でしょ」

<秘密警察があるとしたら、客の中にも紛れ込んでるかも知んないね>

「現実的だね」

<いかにも怪しいものを配置してあるんだけど、それは囮(おとり)で・・・ってパターン>

「なるほどね。

 ・・・ま、この鷹がいたら注意ってことで。

 次行ってみよー!」

<らじゃー!>


 ゴブリンのお宿を出て、次の店へ。

 次の建物は!

 ──空き家でした!


「次行ってみよー」

<はいな>


■■■ 150、ダークエルフの古本屋 ■■■@..Z


 ■+■■■■■

 ._Å.〟〟〟  billboard "secondhand books - Scriba"

 ._....〟

 .@___..  @Gob15ro

 S_____.  Earth Spirit@Gob14ro


<立て看板“古本 - スクリバ”>

「すくりば」

<ラテン語で『書記』・・・かな?>

「古本屋か。なんか、文明的だね」

<意外とちゃんとした街だよね。ここ>

「うん。魔王の城っつーから、ダンジョンかと思ったらさ」

<話も通じるしね>

「そうだよ」

<入ってみます?>

「入ってみましょう」


 〟■且_且_且■

 〟■且_且_且■

 〟■_@___■  Owner@Scientia

 〟■====⊃■

 〟■_@___■

 S■|■■■■■


<オーナー@スキエンティア>

「すきえんてぃあ」

<ラテン語の『知識』かな。サイエンスの語源だね>

「へぇー・・・ところで、地の精霊君が毎回建物の影に隠れてんのは、わざと?」

<うんわざとw 外から不意討ちとかされたらイヤだなって>


 @ゴブ十五郎はあいさつした: 「ごきげんよう。私は@ゴブ十五郎です」

 オーナー@スキエンティアはあいさつした: 「古本のスクリバへようこそ。どんな知識をお求めかな?」

 ┏

 ┃→魔王に会うにはどうすればよいか?

 ┃ ブルートを知っているか?

 ┃ おまえも裏切り者か?

 ┃ (山賊の合い言葉を言う)

 ┗


「重要イベントっぽいの来た!」


 なにやら選択肢が来ましたよ。ブルートってのは・・・


「・・・誰だっけ?」

<ブルートね。ブルートはねぇ・・・登場人物なのは覚えてるんだけどねw>

「ログ見よっかw」


┏gamelog.txt

┃ @ダークエルフ奴隷兵はしゃべった:

┃ 「ダークエルフの中に、魔王に寝返った者がいる。

┃  そやつは、月の神剣を盗み出して、魔王に捧げた。

┃  “リカージョン”──生命をこの世の循環に戻す、月神の御剣(みつるぎ)を!」

┃ :

┃ 「裏切り者の名は、ブルート。

┃  城を自由に歩くダークエルフがいたら、それが奴だ。

┃  気をつけたまえ! 奴はとっくに、生き血を啜る魔物となっている!」


「あー、リカージョン盗んだヤツか」

<そう言えば、ここのオーナー@スキエンティアもダークエルフですね>

「『おまえも裏切り者か』ってのはそーゆーことね。何のことかと思っちった」

<ブルートは『guy』って言われてたから、たぶん男だね>

「コイツは女?」

<うん女>

「じゃあちがうか」

<たぶんね>

「とりあえずさー、『魔王に会いたい』ってのは、ハズレだよね」

<うかつすぎるよねw>

「そーだよw うかつだよ。あとは・・・さっきの宿で、一発でよそ者ってバレたじゃん」

<うん>

「だから、今回もバレてると考えて」

<うん>

「山賊の合い言葉かな。『いやー、オイラ、山賊なんスけどね』みたいな」


 ┏

 ┃→(山賊の合い言葉を言う)

 ┗

 @ゴブ十五郎はしゃべった: 『W.K.よ、我らを支配したまえ』

 オーナー@スキエンティアはしゃべった:

  「なんだ、おまえは、山賊か?

   なぜうちに来た?

   うちは武器屋じゃないぞ」


「ハズレか・・・」

<この反応からして、魔王陣営ですね、コイツ>

「山賊の合い言葉知ってるってことだもんね」

<幹部だったりするのかな>

「どーかな? 次は・・・ブルート行っちゃおっか」

<はいな>


 ┏

 ┃→ブルートを知っているか?

 ┗

 オーナー@スキエンティアはしゃべった:

  「私が誰だか、知らないようだな?

   愚かなゴブリンめ。

   まあいい。買わないのなら、出ていけ」


<会話、打ち切られました>

「『私はブルートだ』って意味かな?」

<そう取れなくもないけど・・・>

「なんだコイツ。何モンだ? もっかい話せる?」

<・・・うん、会話再開はできる。選択肢も出る>

「じゃ、『裏切り者』で]


 ┏

 ┃→おまえも裏切り者か?

 ┗

 オーナー@スキエンティアは立ち上がった:

 オーナー@スキエンティアはしゃべった:

  「なるほど?

   おまえも、閣下を狙う敵というわけか・・・」


「あ、死んだわコレw」

<またターン無視して動いてるぅー>


 オーナー@スキエンティアはしゃべった:

  「おお、我が主人、ブルート!

   あなたの敵を、血祭りに!」


■■■ 151、ここをあけろ! ■■■@..Z


 〟■且_且_且■

 〟■且_且_且■

 〟■__@__■  Vassal@Scientia

 〟■====⊃■

 〟■_@___■

 S■|■■■■■


「来るか」

<称号変わりましたね>

「ばっさる?」

<うん。Vassal──家臣。『眷属(けんぞく)』のほうがカッコいいかな>

「カッコいいね」

<じゃあ眷属@スキエンティアで>

「ブルートの、だよね。『我が主人』っつってるし」

<でしょうね>


 ブルートの眷属(推定)@スキエンティア。堂々の登場である!


「・・・とりあえず」

<はい>

「逃げっかw」

<はーい>


 @ゴブ十五郎、逃げる。

 外に出て、『閉める』コマンドでドアを閉めた。

 で、建物の影へ。


 S■     ■

 @■+■■■■■

 〟._Å.〟〟〟


「なんで閉めたの? ドア」

<視線切るため>

「なんで視線切ったの?」

<視線通ってると隠れらんないから>

「あ、ドア閉めたら『隠密』できるんだ」

<そうそう>


 地の精霊@十四郎と2人、『隠密」スタート。

 あわよくばこのままやり過ごす。ダメでも、せめて不意討ちを! との思惑である。

 これに対し、ブルートの眷属@スキエンティアは・・・


 眷属@スキエンティアは怒鳴り散らした: 「ここを開けろ!」


「・・・は?」

<出て来ないね>


 眷属@スキエンティアは怒鳴り散らした: 「ええい、いまいましいドアめが!」

 眷属@スキエンティアは怒鳴り散らした: 「ここを開けろ!」

 眷属@スキエンティアは怒鳴り散らした: 「誰か、ドアを開けろ! 私を通せ!」


「なんだコイツ・・・」

<ドア開けれないのかな>

「なんで?」

<わかんない>

「なんだコイツまじで」

<怪物に変身でもしたのかな? 手がなくなったとか・・・>

「ああ、把手が握れなくなったとか?」

<わかんないけど>

「でもそういう怪物なら壊して出て来そうじゃね?」

<そうだね。じゃあ、ドアが開けれないような縛りがあるのかな>

「・・・。」

<・・・。>


 眷属@スキエンティアは怒鳴り散らした: 「ここを開けろ!」


「誰が開けるかバーカwww」

<あーばよーwww>


 スキエンティアちゃん。

 結局、外に出れないで、そのまま放置されたとさ。

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