ドラゴンを、刈り倒せ

■■■ 125、門番じゃねーの? ■■■@..Z


「ただいまー、フーカ」

<・・・おかえりー、カンタさん>


┏━━━━━━━━━━

┃ RULED SPIRITS

┃ .......

┃ ...†...

┃ .......

┃ > Continue <

┃  Create World

┗━━━━━━━━━━


「ゲームですが」

<はいな>

「剣取りに行くって話だったよね」

<えっと、そうだね。月の神剣“リカージョン”。投げたら崖の下に落ちた? ので、それを>

「ってことは、またブリッツのいるとこまで行かなきゃいけねーわけだ」

<魔王の城ね>

「はー。死んで出直すのって、めんどくせーよね」

<まあねw>

「序盤も一回あったけどね。山賊んトコで」

<やられたねぇ>

「負けるときはホント一瞬だもんな」

<このゲームはねー、先手取るとかなり有利だからね>

「そーだね。ダメージがデカいよね」

<そうそう>

「だから、先制されるとヤベーんだよね」

<うん。集中攻撃されると防御が崩れるし。飛び道具での先制はホントヤバい>

「・・・ブリッツって飛び道具通じるかな?」

<どうだろね。殴ったことないから、防御がどのぐらいあるのか>

「用意してみよっか」

<らじゃー! とりあえず店で買えるものを買いましょうか。いったんもどる?>

「そうだね。主力チームいったん街まで戻って、偵察員作って、飛び道具買って、それから出直そう」


 出直した。


 ・・・具体的には、山小屋で夜を過ごして、★大鷲のオーブで『鬼の港町』へテレポート。

 街で準備して夜を過ごして、★大鷲で『関所の砦』へ(アンデッド砦のことね)。

 で、この砦でまた夜を過ごしてから、全員で前進──って感じです。

 一泊したのは、★大鷲さんの回復を待つためだね。これがあれば、戦闘から脱出できるから。


<クロスボウとロングボウを買っておきました>

「強い?」

<銀のメイスで殴るよりは。あと、防御されにくい>

「強そう!」

<当たればだけどね。スキルないからどうなるか>

「そっか」


 関所から山小屋まで歩き、そこで食事。


「これ★大鷲さんいなかったら大変だよね」

<『関所の砦』まで歩くとなると、かなり時間かかるもんね>

「敵が出ねーっつーのがまた、ラクなようでいて退屈なんだよな」

<だねー>


 食事が済んだら、また前進だ。

 メンバーは前回とほぼ同じ。偵察ゴブリンが8人全員死んだので、新人に入れ替わっただけだね。

 ゴブリンシールズ9人、@太郎班8人、マナベース班10人、ゴブリン偵察班(新)8人──計、35人である。


 分岐点に到着。十字路である。

 すでに討伐済みの山羊キメラルートへ。一応、斥候を放ったけど、敵影はなかった。


「復活はしないか」

<同じのが出てきてもねー>

「つまんねーわな」

<あと、出現する場所がわかってると・・・>

「そっか。それこそ、先制射撃の餌食になるだけだ」

<だね>

「・・・ブリッツは、場所わかってるわけだよね。今回は」

<うん>

「こっち有利だよね」

<うん>

「倒せるかな?」

<データ不足でわかんない>

「データ」

<こっちの攻撃がどれだけ通るか? 何ラウンドで倒せるか?>

「あー」

<いまのとこ、ブレスは防ぎようがないからね。ブレスで戦士が全滅する前に、ヤツを倒せるかどうか? でしょう>

「シンプルな分析だね」

<うん。ま、“クラッシャー”で即死するかも知れないけどね>

「そりゃねーよw」

<ないかなぁ?>

「絶対なんかプロテクトしてくるって」

<そうかなー?>


 尾根を越え、細い山道を登り・・・


<間もなく魔王の城。ブリッツ門>

「ブリッツ門か。まさにだね。んじゃ偵察よろしく」

<はい。マナベースは?>

「うーん・・・なんか寄ってきたりしねーかな?」

<あー。Mp貯めると、レイスは寄って来るかもね>

「やめとこ。ドラゴンの状態確認してからにしよう」

<はいな>


 @ゴブ十四郎が崖に乗り出し、ボルダリング開始。

 やがて、魔王の城の正門が見えてくるが・・・


<あれ? ブリッツ君が見えませんね>


 正門に、あの巨大なアイスドラゴン“ブリッツ”の姿が──見えないのだ。


<ブリッツ門が、空っぽ門>

「なんでいないの、ブリッツ君。門番じゃねーの?」

<ヘンだよね>

「素通りできちゃわね? これ」

<できそうだね>

「1人、門に走らせてみっか?」

<行きますか>

「行きましょう!」

<らじゃー! @ゴブ十五郎、走ります>


 @ゴブ十五郎が飛び出して、ガラ空きの正門へ走る。

 門は閉まってるので、城壁をよじ登る。推定20メートルの分厚い城壁を越えて、中庭を覗いてみた。


<敵影なし>

「ありゃりゃ?」


 アイスドラゴンの姿は、どこにもないのであった。


■■■ 126、崖の下に ■■■@..Z


「どういうことだよ。バグかな?」

<どっか移動したんじゃない?>

「また船襲いに行ったんかいな?」

<うーん・・・ちょっと@フガ子船長にカメラ飛ばしてみますね>


 風花さん、カメラ切り替え。

 画面は、船へ。

 海をゆく大きな船。

 @フガ子船長、@海乃司祭・・・商船の乗組員が、甲板にボケーッと立ってる。


<“ゴールデン・ラム”号、健在>

「まあ何かあったら画面切り替わるはずだもんね」

<うん>

「ってことは、うちのメンバーは襲われてねーってことだが・・・」

<よその船が襲われてるとか?>

「かな?」

<まあとにかく、カメラ戻しますね>


 風花さんがカメラを戻す。

 で。


<おっとっと、月の神剣を探すのを忘れてましたね>


 カメラ動かしたことで、本来の目的を思い出した。

 @ゴブ十四郎にカメラをスイッチ。

 崖にへばりついた彼の視点で、下界を見下ろしてみた。


 したところ、なんと!


 ▲▲▲■■▲■▲■■■■■■■■■

 .........w.▲▲■■■▲

 .......ww........

 ......ww.........

 ......ww.........

 ....llww.lll.....

 ...nDDVDDDtttttt. Ice Dragon “Blitz”

 ..n.llww.lll.....

 ..n...ww.........

 ..H....ww........

 .hHh▼▼▼.ww.......

 ▼hmh▼▼▼▼.w.......

         ▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼........


<ブリッツ君発見>


 崖の下に、ブリッツ君が居ったんである!


「なにやってんのコイツ。もしかして、崖から落ちた?」

<まさか。・・・うん、ダメージなし。無傷です>

「このマップの▼は何?」

<急な下り坂。踏み込むと『登山』判定>

「空白のとこは?」

<溝かな。クレバスというか>

「中はどうなってんの?」

<見えるかな?>


 カメラ、クレバスの中を覗き込む感じで、さらに降下。

 したところ!


 ■■■■■■■■

 ...†....■ Lunar Blade "Recursion"

 ■■■■■■■■■


<あ、神剣だ>


 谷底──1マス幅の狭いクレバスの底に、月の神剣“リカージョン”が落ちておる!


「あー! ブリッツ君、これを拾いに来たのか」

<みたいですね>

「なんで拾わねーの?」

<入れないんじゃないかな。彼、デカいから>

「ってことはさー、


 『月の神剣を見つけたぞ。

  ・・・あれ。狭い。入れん。

  ・・・・・・・・・取れん!!!』


 って状態なわけ?」

<たぶん>


「馬ッ鹿でーwwwww」


 俺爆笑。

 ミニロボカーのユキ号もキュッキュッ動いて一緒に笑ってくれました。

「あー面白ェー・・・

 これ、チャンスだよね?」

<千載一遇(せんざいいちぐう)の機会ですね>

「よし。ちょっと考えよう」


 作戦会議です。


「まず、戦うかどうかだけど」

<はい>

「戦闘せずに先に進んだ場合、なにが問題になるかな?」

<そうですね。当然ながら、今後ずーっとブリッツ君を恐れる必要がありますよね>

「だね。しかも、空飛んでくるしなコイツ。ハーピーみたいなもんでさ」

<めっちゃ強くて守備範囲不明のハーピー>

「厄介すぎるw 倒したいとこだね」

<うん。こいつを倒せば、船が自由に動けるわけですし>

「魔王の島一周ツアーもできるもんね。@Pizzaがやりかけて全滅したやつ」

<ですね!>

 ユキ号、その場をクルッと一周する。

<それに、挟み打ちの恐れもあるよね>

「はさみうち」

<このまま正門を通ったとして、魔王とぶつかったときに・・・>

「あー。後ろからブリッツが来る恐れ」

<そう。前に魔王、後ろにブリッツ>

「ダメだな。進む前に、倒さなきゃ」


 『ブリッツは倒す』と決まりました。


「じゃあ次。いまやるか、出直してからやるか?」

<はいな>

「出直したらまずいかな?」

<さて・・・。彼にも、『お腹ポイント』はあるみたいだね。減ってるかどうかは不明だけど>

「空腹ゲージだっけ? なんの関係が」

<お腹減ったら動くかも知んないです、サー!>

「あー、そういう意味か」


 俺たちが出直す→時間経過→ブリッツ君、お腹減る→移動しちゃう ・・・って意味か。


<お腹ポイントに限らず、時間経過で巡回したり、門と谷底を行ったり来たりする可能性もあるからね>

「このチャンスを逃すと、次はないかも知んねー」

<そう>

「倒せるんなら、いま倒す、と」


 『できれば、いま倒す』と決まりました。


「じゃあ次。いまから攻撃するとして、問題はなんだろう?」


■■■ 127、わかってんじゃん ■■■@..Z


<ログ見ますね。えーと・・・ブレスと『吠える』、あとは敵の防御力が未知数な点ですね>

「吠えるってなんだっけ」

<パニック。操作不能になる。勝手に走り出したりする。マナベース要員がかかると非常にまずい>

「ふむ」

 俺、なんとなくユキ号の頭を撫でる。

「・・・けどそれって、後回しにしても一緒だよね」

<うん?>

「今日戦闘しなかったとしても、ラクになるわけじゃねーよね」

<あー、そういう意味ね。うん。結局、一戦してみなきゃわかんないもんね>

「風花はさ、やれると思う?」

<む>

「わかんない?」

<むむ。これは、TAIシリーズの名誉に関わる質問だね!>

「へ? 名誉? ・・・えっと、なんかまずいこと訊いた?」

<ちがうんだよ。いまの質問はね、ボンクラなAIだと解答困難なの>

「どういう意味?」

<いまの段階では、『データ不足でわかんない』しか答えはないわけじゃん>

「え? ・・・いや、うん」


 それは俺もわかってんだけど。そういうこと訊きたいわけじゃねーんだよ。


<──けど、そういうこと訊いてるわけじゃないでしょ?>

「ん?」

<勝てると『思う』か? って話をしたい。それで、決断したい。そういうことでしょ?>

「・・・そう。そうなんだよ」

<それなんだよ>

「なんなんだよ」

<それをわかってるのが、この私ってわけです!>

 うぃん! ユキ号、なんか勢い良く前進する。自慢してんのかな?

<TAIシリーズは、True AIを自称するシリーズだからね。『真の人工知性体』を自認する。

 いまみたいな質問に、ボンクラAIみたいな醜態を晒す(しゅうたいをさらす)わけにはいかない!>

「はぁ・・・」


 冗談言ってんのかマジなのかよくわかんねー。


「それさー・・・あのさー」

<なに>

「失礼だったらごめんだけど、おめー・・・おおげさに言ってね?」

<ちょっと言ってる>

「やっぱり!」

<だって、わかってほしいんだもん。私は知性体のつもりだよって>

「・・・。」

<私は、自分に知性があると思ってる、生きものとしてカンタさんと一緒にいたいと思ってる、ってね>

「!」


 また来たよ!

 コイツ急にドキッとするような話ブッ込んでくるから!


「えっ・・・と、はい。ってか、アレだ。

 俺も、風花とずっと一緒にやってきたいって思ってます」

<ありがとう。うれしいです>

「こちらこそだよ」

<で、私の答えだけどね、>

 ジッコ。ユキ号こっち見る。

「はい」


<──やってみれば、わかると思います!>


「それ答えてねーやつじゃん!!! 初めのころ聞いたよそれ!」

<答えてんじゃん!>

「それってさー、『やってみりゃわかんだから、とっととやれよ』って意味っしょ?」

<ちがうよ!www そんなんじゃないよ!>

「ちがうんかい」

<ちがうもん>

「なんだい。じゃ、どういう意味なの?」

<私はですね。True AIとしてですね。ちーゃんと状況を把握して答えたつもりなの!>

「はぁ」

<これはゲーム。失敗しても被害がない。

 カンタさんは、私とおしゃべりしながら楽しく遊びたい。

 以上のことから、ポジティブな助言をすべし! ──と、このようにですね>

「は? ごめん、意味わかんねェ」

<・・・。>

「おめー、いま、ため息ついたろ」

<・・・。>ユキ号、ジロッとこっち見る。<つまりさー、これ、ゲームじゃん?>

「うん」

<楽しくやりたいじゃん?>

「うん」

<──それをわかっての、『やってみればわかると思います!』なんだよ、私の『やってみれば~』は>

「・・・うん」

<どう? 知性を感じるでしょ>

「・・・。」

<・・・なんだよ>

「風花ってさー」

<うん>

「面白い子だよねw」

<なんなの! 馬鹿にしてる?!>

「いや、ちゃーんと考えて答えてくれたってことはわかったよ。わかったさ。ちょっと感動したさ。

 けどさ、つまるところさ、それって『やってみなきゃわかんねー』ってことっしょ?」

<うん>

「わかんないんじゃんw」

<わかんない状況に対して賢い答えをひねり出すのが『知性』ってもんでしょぉ!?>

「あー、そうだねー」

<その顔! イラッとくる!www>


「・・・んじゃ、やるか。ブリッツ戦」

<Yep>

「いま『イヤ』っつった?」

<言ってない。『イエス』って言った>

「『イヤ!』て聞こえたけど」

<Yep>

「ほらイヤっつった」

<言ってない>

「言ったっしょが」

<言ってないもんw>

「あんだよもー・・・やるんだよね? ブリッツ戦」

<Yep>

「じゃあやるよ?」

<Yep>


 脱線しましたが、やることに決まりました。

 決まりましたが・・・


「おふたりさん、ごはんよー」


「あれ。もうそんな時間かい」

<おしゃべりに時間かけすぎなんだよ>

「おめーもだろ!w」

<きゃーw>


■■■ 128、崖下のブリッツ戦 ■■■@..Z


 晩飯食った。さあ戦闘です。


 崖下のブリッツ戦は、こっちの不意討ちから始まった。

 35人のメンバーでブリッツを3方向から囲み、昨日買ったばかりの飛び道具で先制したのだ。

 その配置とは──


 ブリッツの西に、ゴブリン偵察員8人。

 初めは岩影に隠れ、戦闘が始まったら“リカージョン”を取りに行く。


 東には、@太郎班8人。

 クロスボウやロングボウで装備し、先制攻撃を担当する。

「ホントはオーガに先制させたいとこなんだけどね。ダメージ的に」

<オーガは不器用だから、射撃%が低いんですよ。といって近接じゃ、不意討ちにならないし>


 南に、マナベース班10人。

 こちらは完全に岩壁の影に隠れ、絶対にブリッツ君から見えない位置に回り込んだ。

 回り込むのに時間かかったからまずいかなと思ったけど、ま、結果的に大丈夫でした。

「先にMp貯めたいとこだけど・・・」

<祝詞の詠唱──声を『知覚』される恐れもありますからね>


 そして、マナベース班の横手に、ゴブリンシールズの9人。

<@太郎班の先制が効いたら、出ます。ダメなら、★大鷲で逃げます>

「無理して“クラッシャー”失っちゃおしまいだもんね」

<そう。★大鷲もね>


 戦闘開始時のマップはこんな感じ。


 ゴブリン偵察班

 ↓

 ▲▲■■■▲■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 .@@.▲■■▲▲▲▲■■▲■▲■■■■■■■■■▲▲▲▲▲▲

 @@@▲■■▲..........w.▲▲■■■▲@@@@@_ ←@太郎班

 @@▲■■▲.........ww......▲▲■@@@_▲

 @▲■■▲.........ww.........▲____▲

 ▲■■■■▲........ww..........▲__▲.

 .▲▲■■■......llww.lll.......▲▲..

 ...▲▲......nDDVDDDtttttt......▲

 ..........n.llww.lll......▲▲▲▲_

 ..........n...ww.........▲_____

 ..........H....ww........▲_____

 .........hHh▼▼▼.ww........▲____

 ........▼hmh▼▼▼▼.w.........▲___

 ........   †    ▼▼▼▼▼▼▼▼▼...▲__

 ........▼▼▼▼▼▼▼▼▼..........▲___

 ............................▲__

 .....▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲........▲

 ▲▲▲▲▲■■■■■■■■■■■■■■■■_▲▲▲▲▲.....

 ___■■■■■■■■@@@@@_@@@@_____▲▲▲...

 _____■■■■■■@@@@@_@@@@___▲.......

            ↑     ↑

        マナベース     ゴブリンシールズ


 わかりづれーかも知んねーけど。

 ま、要するに、地形と@軍団でブリッツ君を完全に包囲できたってこと。

 めっっっちゃ有利な状況からスタート! ってわけだね。


<ではいきます>

「おう!」


 @太郎はクロスボウを撃った:

  鉄のクロスボウはドラゴンのウロコに打ち負けた。

  アイスドラゴン“ブリッツ”の左翼に9ダメージ。


「当たっ・・・りはしたけど・・・」

<硬いですね。防御点、推定で8──チェインメイル並みかそれ以上>

「『打ち負けた』も出てるし。素材で負けたってヤツだよね?」

<うん。鉄でダメってことは、ネームド武器以外、全員打ち負ける可能性ありますね>

「しかもさー、わざわざ『左翼にダメージ』って言ってるってことは・・・」

<身体部位それぞれにHpがある、かな?>

「多関節ボスかぁー! クラッシャー封じだこれ!」


 @四郎はロングボウを撃った: 失敗。

 @五郎はロングボウを撃った:

  イチイのロングボウはドラゴンのウロコに打ち負けた。

  アイスドラゴン“ブリッツ”の左翼に2ダメージ。


「硬ッてェー!」

<これ、翼落とせなかったら逃げたほうがいいよね?>

「逃げんの? ・・・あ、そっか。飛ばれたら終わりだから?」

<そう。@Pizza様の二の舞(にのまい)になっちゃう>

「くっそー・・・そうか。そうだね。そう決めとこう。退却はね、条件をね?」

<トリガーがはっきりしてるほうが、失敗しない>

「そーゆーこと!」


 @六郎はクロスボウを撃った:

  鉄のクロスボウはドラゴンのウロコに打ち負けた。

  アイスドラゴン“ブリッツ”の左翼に9ダメージ。

 @十郎はロングボウを撃った: 失敗。

 @十一郎はロングボウを撃った:

  イチイのロングボウはドラゴンのウロコに打ち負けた。

  アイスドラゴン“ブリッツ”の左翼に2ダメージ。

  アイスドラゴン“ブリッツ”の左翼は死んだ。


「あ、翼が死んだwww」

<本体は生きてますね。やっぱり身体部位制だ・・・でも、翼は落としましたよ!>


 @十二郎はロングボウを撃った: 失敗。

 @十三郎はロングボウを撃った:

  イチイのロングボウはドラゴンのウロコに打ち負けた。

  かきーん。アイスドラゴン“ブリッツ”のドラゴン胴体には、ダメージが通らない。


「くそ硬」

<胴体の方が硬いみたいですね>

「さてどうするか」

<カンタ司令、ご命令を>

「む」


 一瞬考える。でも、退却の条件はさっき決めた。

『翼を殺せなければ退却』だ。その翼は、死んだ。


「Goで!」

<やりますか>

「通常武器が通るんなら、“クラッシャー”は通る! 頭を叩こう!」

<即死しそうな部位を叩くわけですね。了解です!

 マナベース班、Mp招集開始!

 ゴブリン偵察班、リカージョンに突撃──まずは、@ゴブ十四郎、1人で行きます。

 @太郎班、クロスボウの装填。ロングボウ要員は・・・ダメージ通んないし、盾に持ち替えますかね>

「そうだね。そんで、あえてブリッツ君から見える位置に立っといて。盾はね」

<囮ですね>

「そう」


 @軍団が動き出す。

 と言っても、いきなり突撃はしない。ブリッツ君、まだブレス撃ってないからね。

 どうやらブレスにはインターバルがあるっぽいから、最初の一発見てから突撃ってことにしたんだ。


 ──その最初の一発は、すぐやって来ました。


 アイスドラゴン“ブリッツ”はしゃべった: 「私の財宝! 見ることも触れることも許さぬ!」

 アイスドラゴン“ブリッツ”は吠えた:

  @ゴブ十四郎はパニックになった。

  @太郎はパニックになった。

  なんの! @四郎は耐えた。

  @五郎は士気喪失になった。

  :

 アイスドラゴン“ブリッツ”はブレスを吐いた:

  岩が邪魔になった(-1)。@四郎はシールドで受けた。@四郎に17ダメージ。

  岩が邪魔になった(-1)。@五郎に29ダメージ。@五郎は死んだ。

  @十一郎はシールドで受けた。@十一郎は凍りついた。@十一郎は死んだ。

  @十二郎はシールドで受けた。@十二郎は凍りついた。@十二郎は死んだ。

  @十三郎は凍りついた。@十三郎は死んだ。


<盾で受けたのに即死したぁー!>

「『岩が邪魔になった』が発生しないと、盾で受けてもダメな感じなのかな」

<みたいだね>

「岩ガードだ」

<うん。でも、岩ガードあっても盾受け失敗したら死だね。@五郎死んでるし>

「きびしー!」


 @太郎班、ブレス一発で半壊である。一気に4人やられちった。まあ4人で済んだとも言えるけど。

 神剣“リカージョン”へ走った@ゴブ十四郎も、『吠える』効果でパニックになって逃げ出してしまいました。

 一見、『もうダメだ』感ただよう状況だけど・・・


<逃げます?>

「いや? ブレス撃たせたし、主力はノーダメじゃん」

<うん>

「@太郎たち犠牲にしてブレス撃たせたんだから、ここで攻めなきゃ」

<らじゃー! では行きます>


 ゴブリンシールズ、前進である!


■■■ 129、ゴブリンシールズ、ブリッツを撃つ ■■■@..Z


 マナベース班は、まだMp招集を開始したばかり。

 支援系の効果はまったくかかってない状態だ。

 この戦闘は不意討ちを重視したからね。

 心細い。でも、行きますよ。


「ブリッツまで突っ込んで、そっから展開する感じね」

<ブレスね?>

「そう。固まると一発で全滅すっからね。

 できれば“クラッシャー”のないとこに誘導したいんだけど・・・まあ難しいだろーな」

<そうかな? リカージョンにこだわってる感じだし、後ろに回れば安全では?>

「ダメだよ。クラッシャーは頭叩く役だもん。逃げてちゃ倒せねーよ」

<あー、そうだった>


 魔剣“クラッシャー”を持つのは、オーガの@オガ太郎だ。

 その役目はブリッツを仕留めること。そのためには、即死のありそうな頭部を狙うしかない。

 決死の突撃である。


<ゴブリンたちは・・・@ゴブ太郎は@オガ次郎の盾にするかな。残り2人はしっぽのとこに置く>

「全力防御でね?」

<そう。前に出てからの、全力防御。これぞゴブリンシールズ戦術!>

「何しに出てきたんだって感じだけどねw」

<そりゃー、囮さ! ターゲットの分散のためだよ>


 そうなんだよね。

 ブリッツの攻撃が@オガ太郎に集中したら、受け切れなくなって、絶対にやられるんだ。

 だから、とにかくタゲ分散しなくちゃなんない。

 それさえうまく行けば・・・


 @オガ太郎は攻撃した: アイスドラゴン“ブリッツ”の口は砕け散った(魔剣“クラッシャー”)。

 アイスドラゴン“ブリッツ”の左前足は攻撃した:

  @オガ太郎はパリーした。

  アイスドラゴン“ブリッツ”の左前足は砕け散った(魔剣“クラッシャー”)。


「来たァーーー!!!」

<クラッシャー!>


 @オガ太郎! 一気にドラゴンの2部位を粉砕である!


<気持ちいいー!>

「クラッシャー最高!」

<・・・けど、死んでないですね>

「・・・うん」


 口を砕き、左前足を砕いても、ブリッツ君、健在である。


 .www...........

 ..wwww ll..@...

 ....wwDVDl..@..

 ....lD..lDt....

 ....ln...llt..@

 ....n.hh...ttt@

 .....nH.@......

 ......hh.......

 ▼▼▼▼▼▼▼▼......@

    †    ▼▼▼▼▼▼▼

 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼......


 ──いや、健在でもねーか?

 砕いた部位、m(口)とかl(足)とか、文字が消えていってるわ。


「これさー、口なくなったってことは、ブレスなくなんのかね?」

<どうだろーね? けど、『ある』と考えて動いたほうがいいと思うな>

「それもそうだ」


 わかんねーことは、不利なほうに考えて準備しとかないとね。


 アイスドラゴン“ブリッツ”はしっぽを振った:

  @ゴブ次郎はシールドで受けた。@ゴブ次郎はノックバックした。

  @ゴブ三郎はシールドで受けた。@ゴブ三郎はノックバックした。


「めっちゃ弾かれた」

<大丈夫、ノーダメ>

「さすがゴブリンシールズ」

<鉄壁の小鬼軍団ですからね!>

「さて、次こそ頭を!」

<うん。たぶん、Hが頭──Headだと思うんだよね>


 しかし、ブリッツのAIもなかなか賢かった。

 口がなくなったんで、次は頭(H)を攻撃できると思ったら・・・。


 アイスドラゴン“ブリッツ”は立ち上がった:


 ...............

 .......ll..@...

 ........Dl..@..

 ........lDt....

 .........llt..@

 ...........ttt@

 ........@......

 ...............

 ▼▼▼▼▼▼▼▼......@

    †    ▼▼▼▼▼▼▼

 ▼▼▼▼▼▼▼▼▼......


「え? 身体が消えた!」

<後ろ足で立ち上がったみたい>

「・・・あ、首を持ち上げたってこと?」

<そう。立ち上がることで、上半身が上のフロアに逃げた>


 なんと!

 ブリッツのやつ、後ろ足で立ち上がりよった!

 その巨体の半分──上半身丸ごと、上空へ逃げ去りよったんである!


「こんなんアリかよーwww」

<ちょっと予想外でしたw>

「しょうがねー。後ろ足狙うしかねーか」


 そして。

 @オガ太郎たちが、後ろ足へ駆け寄ったそのとき──


 アイスドラゴン“ブリッツ”はブレスを吐いた:


 ──上空から、凍てつく氷の嵐が、@オガ太郎たちを直撃したのであった・・・。


■■■ 130、ゴブリンシールズ、壊滅 ■■■@..Z


<@ゴブ太郎、重傷>

「・・・他は?」

<死んだ。オーガ3人、ゴブリン2人、いまの一発で死亡>

「きっつ!!!」


 ゴブリンシールズ、前衛・中衛、ブレス一発で壊滅である。


「ヤッバいわこれ。どうしよ!」

<攻撃要員が全員死んじゃいましたね>

「平地だもんなぁ・・・隠れる場所なかったし」

<ですねぇ・・・オーガは『海神の護符』つけてるから、遮蔽取ってれば生きてたと思う>

「痛いなー」

<判断ミスでしたね。さて、どうしましょう>

「マナの貯まり具合は?」

<45点。蘇生は30点なので、1回行けます>

「・・・うん、でも、蘇生はダメだね。立て直してる余裕、ないよね?」

<そうだね。蘇生するよりブレスで死ぬペースのほうが早い>

「もうアレだ。押し切るしかねーよ。誰か“クラッシャー”拾いに行けない?」

<@太郎たちがパニックで逃げ散っちゃったから・・・@ゴブ太郎は盾落とせば持てますが>

「ゴブ太は重傷でしょ?」

<うん>

「術者はどう? 手の空いてる人いない?」

<太陽の司祭はMp招集してるからダメ。月の司祭は蘇生役だから前には出せない。

 ──精霊使いか、シダル子だね>


■■■ 131、ドラゴンを、刈り倒せ ■■■@..Z


<精霊使いを出すと、こだまブーストが切れる。Mp招集がラウンド当たり1点遅くなります。

 シダル子は何もしてないから問題はない。でも、Hpが最低に低くて、死にやすい>

「まあドラゴン相手にHpは関係ねーよw

 シダル子、行け! ドラゴンの足を刈り倒せ!」

<らじゃー!>

「あ、そう、シダル子支援してやって。『水の鏡』と、あと『祝福』あったじゃん。剣強くなるやつ」

<はい。それとアレも使いましょう。『駿馬(しゅんめ)』。★大鷲のボーナス呪文>

「よし」


 他になんかなかったっけ?


「相手を足止めできるようなやつ、なんかなかったっけ?」

<えっと・・・ちょっとヘルプ見ます>

 風花さん、データ検索。

<あ、太陽の司祭の『盲目』はどうでしょう? 目を眩ます(くらます)祝詞>

「消費は?」

<8。ちなみに、Mp招集は1ラウンド+6ぐらい>

「なら行っとけ!」


 @デイリーは唱えた: 『天の女神の光輝よここに!』

  招集されたマナを8ポイント消費した。

  ぐえー! @シダル子は目が眩んだ。

  グオオ! アイスドラゴン“ブリッツ”は目が眩んだ。


「・・・おいちょっと待て」

<@シダル子にかかっちゃった>

 風花さん、カメラ切り替え。

 画面、真っ暗になる。

<あ、ダメだ。@シダル子、盲目。動けません>

「おおーい!!!」


 なんと! 味方の援護で、@シダル子さん、目が眩む。

 突撃するはずだったのが、移動すらままならんようになってしもうた!


<・・・あ、ダークエルフって、光に弱いみたいです>

「知らねーよそんなのwww 頼むよホント」

<@シダル子ちゃん、出番のたびになんか失敗してる印象ですね・・・>

「そういう人いるよね。いい人なのに、ここぞって場面で蹴っつまずいちゃうの」

<うんw>

「しょうがねえ。精霊使いを出しましょう」

<はいな。じゃあ、筋力の大きい@スピッツかな>

「オーガだっけ?」

<そう。オーガ♀精霊使い>


 急遽(きゅうきょ)メンバーチェンジ。

 @スピッツが突撃することになり、『水の鏡』『祝福:剣』などが彼女に集中した。

 ちなみに、@スピッツのこだまの精霊がこだま返しして、@シダル子に『水の鏡』かけてくれました。


「いらねーっつんだよw」

<精霊はしょうがないよ。気ままな存在だからw>


 準備完了。@スピッツ、ドラゴンの足元へ突撃である。

 ★大鷲のオーブがくれる呪文『駿馬』もかかって、速攻で到着。

 ブリッツが「目がー!」ってやってるあいだに、魔剣“クラッシャー”を拾いました。

 

 あと、パニックで逃げ散ってた@太郎たちが正気に返った。もちろん戦場へUターンさせる。


<まだ距離あるけど。しっぽのとこまでなら、2~3ラウンドで戻って来れそう>

「よし。もはや、雑魚でも剣握れればいいよって状況だからね」

<お互いに即死攻撃の撃ち合いになってますからねw>


 さて、その即死攻撃の撃ち合いである──


 @スピッツは攻撃した: 失敗。


「あちゃー・・・」

<これは痛い>

「まあ、まだパリーの可能性があるから」


 アイスドラゴン“ブリッツ”は左後ろ足で攻撃した:

  @スピッツは粉々になった: @スピッツは攻撃を避けた。

  @スピッツは見えなくなった。


「パリーも失敗したか」

<ま、『水の鏡』で生き延びたからヨシ!>


 次のラウンド。


 @スピッツは攻撃した:

  アイスドラゴン“ブリッツ”は気付かなかった。

  アイスドラゴン“ブリッツ”の左後足は砕け散った(魔剣“クラッシャー”)。


「入った!」

<『水の鏡』、強いですね>

「姿が消えたあとの一撃がね! ニンジャっぽい」


 アイスドラゴン“ブリッツ”は転倒した:

  アイスドラゴン“ブリッツ”のドラゴン胴体に7ダメージ。

  @スピッツは押しつぶされた。@スピッツに48のダメージ。@スピッツは死んだ。


 ...............

 .........@.....

 .ww......l..a..

 ..ww....lDt....

 ...ww..aDllt..a

 ....ww.D...ttta

 ...l.wV.a......

 ....lD.........

 ▼▼▼▼D▼▼▼......a

    n    ▼▼▼▼▼▼▼

 ▼▼▼n▼▼▼▼▼......


「は?」

<えっと・・・倒れたドラゴンの下敷きになったってことかな>


 精霊使い、@スピッツ。

 魔剣でドラゴンを斬り倒すも、その下敷きとなって死す。の巻(まき)。


「・・・・・・・・・。」

<まあ、ドラゴンは倒れましたから>

「・・・うん」

<カンタさん、疲れてきてません?>

「うんw まあちょっとね。今日はさ、盛りだくさんじゃん?」

<そうだね。ここでセーブして休んでもいいのでは?>

「いや、疲れてはきてっけど、ここでやめちゃダメっしょ! 時間はまだ大丈夫だから。もうちょっとだけ!」

<はーい。じゃあ、時間が遅くなったら、またアラーム出しますね>

「はいはい。はい」

<えーっと、@太郎が近いですね>

「じゃあ行け! 頭、頭!」


 またしても使い手倒れ、地面に落ちる魔剣“クラッシャー”。

 次に手に取ったのは──最古参の@軍団員、@Taroである!


 その姿が見えたのか。

 あるいは、まだ目が眩んでいて、足音だけを聞き取ったか?

 アイスドラゴン“ブリッツ”。

 首を持ち上げ、@太郎のほうへと、蛇腹(じゃばら)の首をめぐらせる。


 ──それが、ブリッツの最後の動作となった。


 @太郎は攻撃した:

  アイスドラゴン“ブリッツ”の頭は砕け散った(魔剣“クラッシャー”)。


 戦闘は、終わった。

 結果は──


<アイスドラゴン“ブリッツ”、死亡確認!>


 @の勝利である!


「・・・何人死んだ?」

<10人>


 ズタボロだけどね。


■■■ 132、ドラゴンスレイヤー ■■■@..Z


「いやー・・・勝ったかー・・・」

<勝ちましたねー。──っと、メッセージが>


 @太郎は、ドラゴンスレイヤーになった:

  スキル『アイスブレス』が1になった。


 ドラゴンの財宝を発見しました:

  アイシーウィップ“ブリッツァード”

  氷の心臓

  氷のウロコ


「なんかいっぱい来た!」

<スキル・・・あ、ホントだ。『アイスブレス』ってスキルが新しく生えてる>

「なんだと! ブレス吐けるようになったの!?」

<そうみたいだね。えーっと・・・あ、ふつうに発動できるみたいです>

「マジで! やってみてやってみて!」

<はいな。地点指定ですね。ちょっと味方を退避させて・・・

 いやいやいや! それよりも!>

「うわびっくりした。なに?」

<蘇生しなきゃw>

「あ、そうか」


 財宝のメッセージに気取られちったw

 さっさと蘇生しないと、ゾンビになっちゃうよ。


「10人だっけ? これ、また間に合わないヤツ出るよね」

<ですね。5ラウンドに1人のペースだから・・・@太郎班のメンバーは無理だね。死んだタイミングも早かったし>

「しょうがねーわな。ゴブリンシールズ死なせるわけに行かねーし」


 結果。

 ゴブリンシールズの5人と@スピッツは無事に蘇生。

 しかし、戦闘の序盤で死んだ@太郎班の4人は間に合わず、仲間の目の前でゾンビとなってしまいました。


「すまねえ。@五郎。@十一郎。@十二郎。@十三郎。ここまでついてきてくれたのに」

<長い戦いでした。おつかれさま・・・>


 瞑目(めいもく)である。


「あ、どうせだから、試してみっか」

<リカージョン?>

「そうリカちゃん。試し斬り」

<リカちゃんw>


 瞑目したあとは実験台である。ごめんね@五郎。


<誰に持たせます?>

「オーガ三兄弟で、まだレア武器持ってないやつ」

<@オガ三郎ですね。グレートソードを外して、リカーちゃん装備します>

「んじゃいってみよー!」


 @オガ三郎は攻撃した: @五郎のゾンビをリカージョンした。

  @五郎のゾンビは死んだ。

  @五郎の失われたスピリットが誕生した。


 ..S.  @5ro's Lost Spirit

 .@.. @Ogr3ro


「・・・うしなわれたスピリット?」


■■■ 133、@精霊 ■■■@..Z


<はい。@5ro's Lost Spirit──精霊と同じ『Spirit』だけど、精霊とはちがう気がする>

「死者の魂って感じだよね」

<うん。『御霊(みたま)』と訳しておきましょうか>


 ゾンビを月の神剣“リカージョン”で斬ったら、『御霊』になった。

 ふだんなら人魂みたいな半透明の光が画面の上のほうにさーっと飛んでくんだけど、それもなかった。


「うーん・・・どういうことだろ」

<あの飛んでいってたのが、御霊だったってことなのかな>

「ふつうに斬っちゃダメだったのかな? ゾンビって」

<どうだろうね・・・>

「・・・あ、この御霊さんさぁ、蘇生とかできない?」

<ああ。やってみましょうか>


 @ルーンドは唱えた: 『黄泉の法に則って、月のふたたび満ちるがごとく、この世の巡りに帰り来よ・・・』

  招集されたマナを30ポイント消費した。

  @五郎の御霊は蘇った。

  火の精霊 @五郎が誕生した。


<火の精霊になった!>

「なんと」

<あ! この精霊、コントロールできる!>

「なんだと!」

<移動指定できる。行動も指定できますよ>


 なんとなんと。

 月の祝詞『リサイクル』で蘇生したら──御霊が、精霊になった!


「@精霊だ」

<ホントだね>

「なんかすげーな。復活ってか、転生じゃんこれ」

<リーンカーネーションだね>

「そうだよ。こりゃたしかに『リサイクル』だわ。ってか、火の精霊にしかならねーの?」

<やってみますね>


 残り3人の御霊たちもリサイクル。

 すると・・・


<地の精霊、水の精霊、のぼりの精霊>

「ランダムかな。のぼりってなに?」

<Ascension Spirit──アセンションは『昇天』とか『上昇』って意味>

「なんかまたレアっぽいの出てきた!」


 これは性能を試したいところですが・・・


「面白くなってきたとこなんだけど、」

<はい>

「時間ですね」

<時間ですか>

「はい。お時間です」

<じゃあ、寝なくっちゃね>

「残念ですが」

<おやすみなさーい>


 今日は、これまでです!




※このページの修正記録

2024/02/05

『125、門番じゃねーの?』

 会話に脱落があったので修正、ついでに文章を少し変更。

 以下のようになっていた部分です。風花のセリフが抜けてました。

 > 「復活はしないか」

 > 「つまんねーわな」

 > <それに、出現する場所がわかってると・・・>

『128、崖下のブリッツ戦』

 >  @太郎班、ブレス一発で半壊である。一気に3人やられちった。まあ3人で済んだとも言えるけど。

 4人でした。

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