山羊キメラ、討ち取ったり!

■■■ 113、三つの選択肢 ■■■@..Z


「ただいまー、フーカ」

<・・・お帰りー、カンタさん>


┏━━━━━━━━━━

┃ RULED SPIRITS

┃ ‥■@@且@+三

┃ ‥■@@@@■‥

┃ ‥■■■+■■‥

┃ > Continue <

┃  Create World

┗━━━━━━━━━━


 パソコン立ち上げて風花さんとあいさつして。

 スマホ出して、ミニロボカーのユキ号に乗せて。カメラの映像をパソコンへ送って。

 ゲーム画面も立ち上げて。

「今日は宿題出なかったわ」

<そうなんだ>

「けど、今日の授業でちっとわかんねーとこあってさー。訊いていい?」

<もちろん。役に立てるかどうかわかんないけど>

「またまたぁー!」


 訊いてみた。風花さん、一緒に教科書見てくれた。

 答えは言ってくれなかったけど、たぶんわかってたんだろうなー。


「ありがと。んじゃ遊びますか!」

<はいな!>

「山小屋で休憩したんだっけか」

<ゴブリン偵察班がね。『暗い山小屋』を見つけて、麦のスープで食事した>

「ここ飛べるようになったんかな? ★大鷲で」

<どうだろ?>

「使ってみて」


 @サンデーは★大鷲のオーブを使った: 「大鷲よ、我らを運びたまえ!」

 神代の大鷲召喚: あと7ラウンド。

  :

 神代の大鷲は怒った: 「1日に何回も呼ぶんじゃない!」


「だめか」

<行き先の選択肢だけでいいから出してほしかった>

「だね。まあしゃあない。先行こ」

<はーい>


 @ゴブ六郎が小屋を出発。雪の中を前進する。

 他の7人(@ゴブ七郎~十三郎)は小屋で待機である。1人死んだら次が出発する。非情の偵察なのだ。


<この子、ナンバリング間違ったんだよね>

「うん?」

<さっきメンバーリスト見て気付いたんだけどね。@鍛冶ゴブ六郎がすでにいたんだよ>

「・・・ああ、七郎から始めなきゃいけなかったって話?」

<そうそう>

「フーカそここだわってるもんねw」

<うんw>


 雪の中、途切れ途切れの道がつづく。

 右が山側。山小屋一帯は木が生えてて、視界が効かない。木にも雪が積もってるから画面は真っ白な感じ。

 左は下り坂。落ちると転がってっちゃう感じかな。「死」って感じだね。


<十字路に出ました>

「お?」


 森が途切れて、道が三方向に分岐した。

 来た道と合わせるとフォークみたいな形になってる。Ψ←こういう感じだね。


<このまま進む、尾根に向けて登る、谷に向けて下る──の3ルートかな>

「山を登りに来たわけだけど」

<うん。谷に向けて下るは、まあ、ないよね>

「道に沿って行かなきゃダメなの? 道なき道を行くとかは」

<たぶんずーっと『登山』判定入るからね。どっかで落っこちるよ>

「そっか。じゃあ登りだね」

<尾根ルートで>

「うん」


■■■ 114、1人目:尾根に向けて登る ■■■@..Z


 @ゴブ六郎、寒さに震えながら尾根に向けて登ってゆく。

 どんどん高度が上がってゆき、やがて左右ともに切り立った崖になってきた。

 崖っぷちにわずかに岩棚がつづいているだけ。幅1マス! 右は絶壁、左は虚空である!


「こんなとこでなんか出たら終わりだよね」

<そうだね。あ、なんか出ました>

「えー」


  .■C■■■ Goat Chimera

  .■■■■■

   .■■■■

    .■■■

    .@.■ Gob6ro


<Goat Chimera・・・山羊キメラ?>

「キメラってなんだっけ」

<ギリシア神話のモンスター。ライオン、山羊、蛇かドラゴン、が混ざったやつ。混ざり方は作者によって色々>

「あー、あれか。わかったかも」

<そして火を吐く>

「もともと山羊の頭がついてんだよね?」

<うん>

「なのに山羊キメラってのはどーいうことだい」

<わかんねー>

「www」


 この子、だんだん俺の口調真似してきてんだよな。ホントにもー。


「たぶんアレだ。山羊成分が強いキメラなのかもね」

<頭ついてる時点で十分成分強い気がしますけども>

「ボディとかさ。取っ替えたんじゃね? 山岳用に」

<あー、山岳型キメラ>

「強敵だよね」

<でしょうねぇ>

「これは死んだな」


 山羊キメラ接近。速い。2倍速ぐらいか。

 頭突き。

 @ゴブ六郎ノックバック。道から弾き出される。虚空へ落下。

 めっ・・・ちゃ下の方までフロア切り替わりながら落ち続けた挙句、地面に激突。

 即死でした。


「南無ー」

<なむー>

「尾根はダメだね。次行ってみよー!」


■■■ 115、2人目:このまま進む ■■■@..Z


 2人目。@ゴブ七郎出発である。

 分岐点までスタスタ歩いて来て・・・


<このまま?>

「だね」


 谷に下るのはナシ。尾根は山羊キメラ。っつーことで、このまま進む。

 このルートは尾根ほど険しくない。代わりに、ウネウネ曲がりくねって何回も折り返してる。

 安全な代わりに時間かかる道ってことか。


「・・・なんとなくさー」

<うん>

「どの道進んでも中ボスいんじゃねーか? って気がしてきたわ」

<あー。魔王の城の前の、山場的な>

「そうそう。たぶんなんかいるぜ」

<なんかいました>

「やっぱりか」


 ■WWWWW■ Highelf Magus Wraith

 ■WWWWW■

 ■WWWWW■

 ■WWWWW■

 ■@■■■■■ Gob7ro

 ■■.....


<レイスが20匹>

「詰め込みすぎだろ! ってか、なんでこんな接近しちゃったの?」

<だって、角曲がるまで先が見えないんだもん>

「あー」


 このゲーム、視線処理されてっからね。

 岩壁とかあると、その先のマスは見えねーんだわ。


「・・・絶対わざとだね、この配置」

<ですねぇ>


 レイスが呪文唱える。

 @ゴブ七郎、最初の一発だけは回避したけど、残りを喰らって死亡。

 反撃のチャンスもありませんでした。


<なむー>

「次行ってみよー!」


■■■ 116、3人目:谷に下る ■■■@..Z


 3人目、@ゴブ八郎出発である。

 谷に下るのはナシなんだけど・・・もうそのルートしか残ってねー。なので、下ります。

 道は風花さんの案内どおり、谷に下りてく感じ。どんどん高度が下がってく。

 左右に崖がせり上がって・・・高度差が大きくなって・・・谷というより溝みたいになってきたぞ。


「このルート意味あんのかな・・・? 魔王の城は上にあるんしょ?」

<だよね。ログ見ます?>

「うん」


┏gamelog.txt

┃ @ダークエルフ奴隷兵はしゃべった:

┃  「この山を登ってゆけば、魔王の城にたどり着く・・・

┃   だが、凍てつく破滅が待ち受けている!

┃   城壁に、あの恐ろしいアイスドラゴンが居座っているのだ」


 英語のログを、風花さんが翻訳して読み聞かせてくれました。


 ・・・なんかさー、毎日こうやって彼女の声聞いてるわけだけどさー。

 安定した女の声って、落ち着くんだなーって思うよね。

 うちの女はちょっとなー。母ちゃんとか姉ちゃんとか、ちっとトゲトゲしいかんなー・・・


「やっぱ、頂上に城があんだろーね」

<そうなるよね>

「分岐のことも教えてくれよって感じだよ」

<ホントだよw>

「まあ、それはそれとしてさ」

<はい>

「もうさ、どーせ死ぬんだろ? って感じで見てんだけど。俺」

<奇遇ですね。私もですよ>

「ごめんね@ゴブ七郎」

<八郎。七郎はさっき死んだ>

「八郎ごめんねw」

<あ、出ました>

「やっぱ出たかー」


 ■.■AA Rock Armed Ape

 ■.■AA

 ■.■AA

 ■.■■■

 ■@■■■ Gob8ro


「また群れだー」

<しかも崖の上にいるんだよね。ってことは・・・>


 Rock Armed Ape はrockを投げた: 岩は地面に落ちた。

 Rock Armed Ape はrockを投げた: @ゴブ八郎に35のダメージ。@ゴブ八郎は死んだ。


<あー、やっぱり>

「前にフーカがやったやつだね」

<やりましたねー。『泡の冠』の──>

「労働災害」

<それはもういいよ!w>

「www 南無ー」

<なむー>

「ところでこいつ、なんて訳すの?」

<『手投げ猿』かな>


 @ゴブ八郎、手投げ猿の岩投げ下ろしに屈す! である。


■■■ 117、クラッシャー! ■■■@..Z


「全ルートダメじゃん! どうしろっつーんだよ」

<ホントだよw>

「いやホントさー、敵は崖の上にいるし、段差落ちたら即死だし・・・」


 と、風花相手に愚痴ってたんだけど。


「・・・あ、そうか。方法あるわ」

<どうすんの?>

「クラッシャー!」


 偵察は中断。カメラをハイエルフの王都に切り替え。主力部隊だね。

 ゾンビとレイスをしばいて経験値稼ぎしてたのを終了して、いったん『鬼の港町』に戻る。

 食料と防寒具を手配。

 翌朝、★大鷲のオーブを使用。すると『暗い山小屋』が選択肢に出ました!


「あそこ、セーブポイントって感じだったんだね」

<みたいだね>


 ★大鷲で飛んで来たゴブリンシールズたち27人が合流。

 ゴブリン偵察班の生き残り5人と合わせて、32人!

 分岐は『尾根を登る』である!


「@ゴブ九郎、1人先行ね」

<偵察ですね>

「そう。ただし、山羊キメラの手前、視線通んないとこで止まってね」

<ラジャー!>


 @ゴブ九郎を先行させ、距離を空けて主力がついていく。

 山羊キメラが広範囲に動き回るモンスターだった場合、不意の遭遇がありうるからね。念のためです。

 どうやら、それはなかったようで。

 @ゴブ六郎が転落した現場近くまで、遭遇なし。

 

「よし。んじゃ、マナベース班はここで止まって・・・」

<こだまブーストでマナ招集ですね>

「そーゆーこと!」


 太陽の司祭がマナ招集。こだまの精霊がこだま返しでマナ招集。

 蘇生に必要なMpが貯まるまで待つ。

 貯まったら、強化呪文のお時間です。


 ダメージを1回だけ無効にする『水の鏡』。

 剣のダメージをアップする『祝福:剣』。

 筋力をアップ(物理攻撃全般、命中&ダメージアップ)してくれる『シークレット:パワー』。


 ──これらを配っていく。

 なんと、こだまの精霊は、この強化呪文もちゃんとこだましてくれました!

 しかも、タゲがダブったりしない! ちゃんと強化かかってない仲間にかけてくれる!


<なかなか賢いですね>

「できる男だよ、こだま君は」


 で、準備が済んだら・・・


「作戦開始!」


 @オガ太郎は掘った: 花崗岩(かこうがん)の岩は砕け散った(魔剣“クラッシャー”)。


  .■C■■■ Goat Chimera

  .■■■■■

   .■■■■

    .■∴■

    ..@■ OgrTaro


 クラッシャーで壁を掘削である!


■■■ 118、山羊キメラ、討ち取ったり! ■■■@..Z


 @オガ太郎は掘った: 花崗岩の岩は砕け散った(魔剣“クラッシャー”)。

 @オガ太郎は掘った: 玄武岩(げんぶがん)の岩は砕け散った(魔剣“クラッシャー”)。

 @オガ太郎は掘った: 花崗岩の岩は砕け散った(魔剣“クラッシャー”)。


 ここで山羊キメラが動き出す。


「さすがに気付くか」

<岩を砕いてたら、そりゃーね>


  .■■■■■

  .■■C■■

   .■∴∴■

    .∴@■

    ..@■


 山羊キメラはブレスを吐いた:

  @オガ太郎は毒に冒された(おかされた)。

  @オガ次郎は耐えた。

  @オガ三郎は毒に冒された。

  :


「あれ!? 『水の鏡』使ったのに」

<ヘルプ見ていい?>

「いいよ。ってか頼む」

<えーと・・・『回避可能な攻撃に対してのみ有効』とあるね>

「回避できない攻撃には発動しないと」

<ブレスはそのパターンと>

「くそー。無駄撃ちだったか」


 ちなみに、@ゴブ太郎たちはシールドで受けて、毒をブロックした。

 ブロックはできるんかい。ってか有能だね、ゴブリンシールズ。


「まあいいや。最悪死んでも蘇生がある。風花さん、やっておしまい!」

<はいなー!>


 ここからは風花さんの見せ場です。


 @オガ太郎は掘った:

  玄武岩の岩は砕け散った(魔剣“クラッシャー”)。

  @オガ太郎に3のダメージ(キメラの毒)。

  山羊キメラは転落した。山羊キメラに1のダメージ。


 まずは山羊キメラが乗ってる足場をクラッシュ。山羊キメラ転落。高度が同じになったところで・・・


 @ゴブ太郎はシールドで殴った: 山羊キメラは回避した。

 @ゴブ次郎はシールドで殴った: 山羊キメラは角で受けた。

 @ゴブ三郎はシールドで殴った: 山羊キメラに7のダメージ。


<よし。このラウンドの防御は剥がした。真打ちを喰らうがいい!>


 @オガ三郎は攻撃した: 山羊キメラに36のダメージ。

  @オガ三郎に3のダメージ(キメラの毒)。

 @オガ次郎は攻撃した: 山羊キメラに40のダメージ(処刑人の斧)。山羊キメラは死んだ。


<討ち取ったり!>

「お見事! わざとゴブリンで殴ったね?」

<うん。相手の防御を使い切らせたんだー>

「手堅いね。しっかしダメージでけーな、オーガ。40って」

<うん。まあクラッシャーには負けるけどね>

「岩砕いちゃうんだもんなw 重機だよもう」

<いやー、気持ちいい勝利でしたね>

「毒喰らったけどね」

<そうだった!>


「かんたー、フウカちゃーん。ごはんよー」


「はーい」

<はーい>

「行こっか」

<行きましょう!>

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