釣り合ってねーぞ、ハーピー!

■■■ 79、じゃまだな ■■■@..Z


 父ちゃんの誕生日プレゼント。四輪ロボット。

 せっかくなんで、ちょっとゲームはお休みにして、中身を見てみることにしました!

 もちろん、風花にも見せながらね。スマホをカメラにして。


  ┏━━━┓

 目>サーボ<目 

  ┃::|::┃

  ┃:電池:┃

 目-モーター-目 

  ┃:基盤:┃

  ┗━[]━┛


「穴だらけだね。ネジ穴か」

 シャーシ(車台)には、穴がいっぱい空いておる。

<軽量化も兼ねてるのかもね>

「だね。スカスカだし、車輪の位置とか、好きに調整できそうな感じ」


 タミヤのラジコンカーとかだと、スペースきっちり使い切ってたりするんだけどね。

 そういうのとは全然ちがう世界って感じだな。


「タイヤ、この2つがハンドル用だな」

<ステアリングホイールだね>

「これさー、後ろに付けたりもできんのかな? フォークリフトみてーに」

<できそうだよね。配線さえ繋げば動く感じだもんね>

「すぐ繋いでみてーけど、もう夜だしなー」

<そろそろ寝る時間だね>

「うん。それもあっけど、夜にこういう作業すっとさ、ぶっ壊しちゃうんだよw」

<経験あるの?>

「うんある。小学生ンときね。眠いのに無理してラジコン作ろうとして、ボディのツメ折ってさーw」

<へえー>

「お、無線行けるんだ」

<無線あるの?>

「うん。オプションの受信機買わなきゃいけねーみたいだけど」

<説明書見せてもらっていい?>

「いいよ」スマホで見せてやる。

<スクリーンショット撮ってもいい?>

「いいよ。ってかむしろお願いします。撮って保存しといて」

<保存先を指定してもらえますか? フォルダー>

「あ、はいはい」


 新しくフォルダー作って『風花用』とする。


「ここ自由に使っていいよ」

<ありがとう! ただ、ディレクトリ構成変更するときはその都度訊くね。面倒だろうけど、お願いします>

「はいはい」

<というわけで早速。『ロボ00』ってフォルダー作ろうと思います。よろしいですか?>

「よろしいです!」


 ぱぱっ、ぱ。風花がフォルダー作って、開いて、『説明書_a.jpg』ってファイルができた。


「あ、もう撮ったんだ。スクショ」

<うん>画像開く。スマホで映した説明書が映ってる。<もうスマホ動かしても大丈夫だよ>

「風花いるとラクでいいわ」

<光栄です!>


 2人でしゃべりながら、仮配置したパーツを眺める。説明書を読む。


<有線のまま動作させることもできます。か>

「けどさ、ケーブル邪魔だよね? これ」


 有線じゃなー。走ったら、引きずったりつっかえたりすんの目に見えてるもんね。


「ケーブル邪魔になって自由に動けねーってんじゃ、話になんねーわ」

<そこは、ケーブル抜いてロボットモードで走ってね、ってことじゃない?>

「ロボット的にはそうなんだろーけどね」

<それじゃダメなの?>

「完全に独立されたら、風花のボディになんねーじゃん」

<私のボディ>

「そう。俺らの目標はさ、『風花が自由に走り回れる』ってことなわけでさ」

<自由に走る・・・>

「やっぱ、無線オプションは買わなきゃダメだね」

<・・・待った待った>

「え?」

<まず、このキットを把握すべきだと思います。追加でお金使う前に>

「あー・・・」


 そういや風花さん、『おねだりはしない主義です』みたいなこと言ってたっけ。


「・・・そだね。まずは組んでみてからだね」

<モーター動かせるってだけで、私はもう・・・感動! だからね>

「そっか」


 その日はさっさと寝て、翌日、月曜の夕方からキットを組み始めた。


 難しくはなかったわ。前輪──ステアリングホイールはちょっと神経使ったけどね。仕組みが細かいから。

 配線は、風花が説明書見ながらアドバイスくれるんで、問題なかった。

 ホント便利だわ。TAIさん。もう人間いらねーんじゃね? この世界w


「できました!」

<わーい!>


 中身剥き出し、配線もネジも丸見えの、ハダカロボットだけど。

 ひとまず、接続完了です!


「こいつのことは『風花カー』って呼ぼう」

<えー・・・?>

「え、ダメ?」

<カンタさんはさー・・・、名前付けるときはさー、もうちょっと考えたほうがいいと思うな・・・>


 ダメっぽいねw


「じゃあ、風花はどんな名前がいい?」

<そーだね。『ユキ』とかどーかな>

「お、可愛いね」

<風花は雪のことでもあるからね。それに、日本語の『行く(ゆく)』もかけてみました!>

「いいね! それでいこう」


 というわけで、ユキ号。

 初運転開始です!


■■■ 80、ユキ号、初運転 ■■■@..Z


「ケーブル繋ぎました! どう?」

<えっと・・・うん、認識できてる>


 ユキ号。四輪ロボット。

 まあ見た目はスッカスカのラジコンカー(?)なんだけど。

 中身はロボットです。電子基盤ついてて、メモリーも載ってる(らしい。風花が言ってた)。


 有線でパソコンと接続。専用のアプリケーションを起動!

 風花さん、ユキ号を認識できる状態になったようです!


 ・・・で、俺はスマホで撮影する係。プログラムはわかんねw


「見える?」

<うん見える。カンタさん、ちょっとリアタイヤ浮かせてもらえます? 動かしてみたいので>

「はいな」


 シャーシをつまんで、タイヤを浮かせる。

 リアを浮かせてくれって話だったけど、どうせだから4輪全部持ち上げた。


「いーよ」

<じゃあ行きまーす。前進!>


 ウィーン! リアタイヤが回転した。


<・・・・・・・・・回ったぁー!!!!!>

 風花さん、大喜びである。

<ね? 回ってるよね? 私が回してるんですよ、これ!>

「うん。回ってるねw」


 まだ、機能テスト。

 ロボットですらない。『タイヤ回せ』って命令を直接送っただけ。

 言ってみりゃ、モーターのスイッチをONにしただけなんだけど。


 ・・・でも、風花にとってはね。生まれて初めて『ものを動かした』って瞬間なわけだ。


「結構軽いね。スピード出てんのに」

<軽い?>

「うん。軽い感じで回ってる」

<軽いって、どういう意味?>

「ん? 反動が少ないってことだけど」


 ラジコンだと、アクセル入れた瞬間に結構グイッと反動が来るんだよね。

 1/10ぐらいのスケールだとパワーもあるし。タイヤが重いモデルなんか、手の中で暴れる感じなんだけど。


<へえー! ラジコンってそんな感覚なんだ>

「反動は取れないの?」

<うん。タイヤの回転数はモニターできるけど、ボディの振動やねじれはわかんない>

「そっかー」


 『グッと来る』みたいな感覚は、風花にはわかんねーか。

 感じさせてやりてーけど・・・ちょっと高度すぎて、いまの俺じゃどうにもなんねーな。


<でも、スマホの映像とカンタさんの感想があればね。こういう状態が『軽い』である、って、覚えれるよ>

「なるほど! よし。じゃー、感想こまめに言うようにするね」

<お願いします! じゃあ次! バックしまーす! ・・・回ったぁー!!!>


 バックで喜んで、ハンドル右でまた喜んで・・・。

 風花さん、本気で楽しんでます。声が可愛い。耳くすぐってぇーw 父ちゃんありがと。


 で、そんな風花のために、右手でスマホ持って、ずーっと撮影もしてたわけなんだけど・・・


「・・・俺、ひとつ思いついたんだけど」

<ん? なに?>

「これさ、スマホ積んだらどうだろ?」

<積む?>

「うん。ちょっとやってみるね」


 いままで使ってたスマホケース。もう結構傷だらけのやつ。これを、輪ゴムで車体に止めて・・・と。

 新しいのを誕生日プレゼントでもらったからね。本革のやつ。

 古いケースを、ここで実験に使っちゃおうってわけ。──スマホ、固定完了。


「どう?」

<なるほど。車に乗ってるみたいな視点>

「そーそー。そーゆーこと。ケーブルは俺が持っとくからさ、走ってみていーよ」


 ケーブルを軽くつまみ上げる。

 パソコンと車体のケツを繋いでるやつね。


<は・・・走って・・・みても、いい?>

「いいよ」

<じゃ、じゃあ・・・走ってみるね>


 がー! 前進!

 ぴた! 停止!


<・・・。>

「大丈夫だよ。スマホちゃんと止まってるし」

<・・・。>

「どしたん?」

<いえ・・・その・・・。この情報をどうお伝えしたらいいか、思考中です・・・>

「どういう情報?」

<経験したことがない情報>

「そっか」

 初々しい中にも理屈っぽいやつだねw 風花らしいわ。

「もうちょっと走ってみたら?」

<いいのかな・・・>

「いいに決まってんじゃん。これフーカのだし」

<・・・!>


<バックします>と宣言してから、ちょっとバック。

 ジリッ・・・と右にハンドル切って、ちょっと前進。

 ジリッ・・・と左にハンドル。ちょっとバック。

 右にハンドル。ちょっと前進。


 何してんだろ? と思ったら・・・


<・・・戻ってきたつもりなんですが、位置どうです?>

「いきなり高度なことしてんねwww」


 前進しただけで感動してた子が、次にやるのが切り返しかよ!


「ふつー、ぶっ飛ばして急に曲がろうとしてコケたりしねー?」

<しないよ!>

「俺はやったよ!」

<ラジコンで?>

「うん。いきなりコケて横転してさー、ボディ傷ついた」

<カンタさん結構おっちょこちょいだよねw>

「小学生ンとき!」

<はいはいw で、場所はどう?>

「うん、だいたい戻ってきてんじゃね? ってか、俺のほうが最初の位置覚えてねーよ」

<ふむ! じゃちょっと目印置いてもらえませんか?>

「いいよ」


 消しゴム置いてやった。

 今度はバックでスタート。T字に切り返して、前後反転して戻ってくる。最初の向きに戻った感じだね。

 ガツッ。車のケツが、消しゴムにぶつかって、乗り上げた。


<あれっ?>

「はい事故ーw フーカさんが自損事故起こしましたー」

<な!? ぬーーー! もう一回!>


 ぴたり。消しゴムに触れるギリギリのとこでストップ。


「・・・。」

<どう?>

「ギリギリ触れて・・・触れてるかも知んねーけど、ぴったり止まってるわ」

<でしょう?>

「どうやったの? 見えてねーよね?」


 スマホの映像確認してみても、消しゴムは見えてない。ちょっと上向けて固定したからね。

 上から見下ろしてる俺には全体見えてっけど、風花は、ホントに狭い範囲しか見えてないはずなんだけど。


<ミリ秒計った>

「みり秒」

<千分の1秒単位で時間計算して動かした。あと、アクセル開度を8段階にしました>

「アクセルを? なんで?」

<さっきはアクセルを一気に開け閉めしたんだよ。それで、タイヤが滑ったんじゃないかと思うんだ>

「・・・。」

<どんなもんだい>

「・・・おまえ賢すぎんだろ!」

<あっはっは! カンタさんに褒められると気分いいですねえ!>


「いやー・・・けど、やっぱ、自分の位置わかりにくいよね?」

<うん。足元が見えないまま走るのはまずいよね>

「だよね。となると、上のほうから見下ろすカメラが欲しいか」

<そうですね。──あ、でも、いまの視点はね、臨場感があって、すごくいいですよ!>

「なるほど」


 つまり・・・


「まず、カメラが2つ欲しいよね。1つはドライバー視点。も1つは見下ろしの、ゲームっぽい視点でさ。

 ドライバーカメラのほうはぐるぐる回せるようなやつがいいよね」

<ぜいたくすぎるw まあでも、そうですね。安全な運転用のカメラと、楽しい運転用のカメラ>

「あとはケーブルだよね。これはやっぱ、無線オプション買わないとダメだわ」

<いえ、でもその、お金は>

「大丈夫。ちゃんと相談すっから。父ちゃんと」

<お父さんと?>

「うん」


 俺。ユキ号の前のほうに顔出して──風花に見えるようにね──


「俺さ。これ、2・3年かけてじっくり勉強しよーかなって思うんだ。ロボットのことね。

 ちょっと真面目に父ちゃんと相談してみっから、おかしなことはしねーよ。安心して」


■■■ 81、さて、ゲームだ ■■■@..Z


 ユキ号は、俺の勉強机に鎮座しました。

 ゲームしてねーときにケーブル繋いで、風花に自由に触らせてる。

 スマホ乗せてやると、たまに『ジーッ・・・』とか控えめな動作音がするんで見てみると、こっち向いてんの。

 くそw 可愛いんだよ。勉強に集中できねーだろ!


 父ちゃんには相談して、無線オプション買ってもらう約束した。

 代わりに、現在の日本の無線の規格について、簡単なレポートをまとめろって言われた。


 つーわけで、ざっと調べたんだけど。いやー、無線も利権だらけなんだね。

 帯域を振り分けて規制すんのは当然だと思うよ。

 けど、技適マークはおかしくね?

 実害のないことを『罪』とか言ってさー、『嫌なら金払って許しを乞え』って。免罪符じゃん。


 ・・・って、レポート出す相手が父ちゃんなんで、思ったことそのまま書いてやったw

「免罪符なw」とか笑われたけど、オッケー。こっちは一段落!


 さて、ゲームだ。


┏━━━━━━━━━━

┃ RULED SPIRITS

┃ ..~~∧~~

┃ @..∧~~~

┃ @.@F~∧~

┃ > Continue

┃  Create World

┗━━━━━━━━━━


「えーと、考えてたことがあったんだけど、」

 ジー。<なに?>


 風花さん、ユキ号(のスマホ(のカメラ))をこちらに向けて、会話開始である。

 パソコンには俺の顔が移る。やめろーw


「・・・えっと、なんだっけ。あ、そうだ。『なだめる』ね」

<シャチをなだめたやつだね>

「そうそう。『魚をなだめる』でシャチがなだめれるってことは、結構範囲広いのかなって」

<範囲>

「たとえば『鳥をなだめる』ってあったじゃん?」

<あったね。太陽の神殿だったかな>

「あれもさー、ハーピーとかなだめれんじゃねーかなと思ってさ」

<・・・。>

 ジャッ。ユキ号ちょっと後退。

<それは思いつきませんでした>

「それいいねw」

<リアクションしてみたらどうかなー? って思ってねw>

「いいね。『しゃべってる』って感じがする」

<生き物っぽくなりましたか>

「フーカは、もともと電話でしゃべってるぐらいの感じだよ。けど、さらにってことね」

<えへへー>


 いちゃいちゃしてから、ゲーム開始。

『鳥をなだめる』でハーピーをなだめてみようという話に。


<けど、いま司祭いないんですよね。こっちの大陸に>

「移すのはおおごとだよね」

<うん。それもだし、『鳥をなだめる』持ってる子がいない>

「んじゃ、作るか」


 @Solar。ヒューマン♀。祝詞は『鳥をなだめる』『マナ招集』『治癒』。


「ソラァ」

<うん、ソーラー。『太陽の』ね。@ソラちゃんって呼ぼうかと思います>

「なるほど! ハーフエルフで作るんかと思ったら」

<西の漁村の出身だから。ここはヒューマンしかいないからね>

「あ、そっか。こっちの大陸は異種族いないんだっけ」

<そうそう。で、この子はここで待機して・・・@太郎をこっちに回そうかと思いますが>

「そーだね。あんま次々作っても愛着なくなるし、いいんじゃね?」

<ちょうど航海中だしね>

「そういや、船出したんだっけ」

<うん。入り江の港町の誇る、商船“ゴールデン・ラム”! 航海中でーす!>


 画面が切り替わる。海。船。甲板に突っ立ってる@ども。


 ~~~~~~~~~

 ~~~━━━━━━

 ~~/───@──

 ~く──O@─O─

 ~~\──@─@─

 ~~~━━━━━━

 ~~~~~~~~~


「・・・戦艦とよく似てるね?」

<たぶん一緒だよw>


 船はオートトラベル中。岸辺に『西の漁村』がチラッと見えたので、いま過ぎたとこかな。


「どこで合流すんだっけ」

<西の漁村>

「いま通りすぎなかった?」

<え? ・・・あっ!>


 風花さんおおあわて。

 オートトラベルを切ってマニュアル操作。商船を漁村の浜辺に近付ける。


「珍しーねw」

<カンタさんの顔見てたんだよ>

「光栄です!」

 ジーコジーコ言うと思ったら、やっぱこっち見てたのか。

「けど面白くなくね? 俺の顔見ても」

<一緒に遊んでる人の顔見るのは楽しいよ>

「む。そうか」

<それに、カンタさん男前ですよ。そんなにひどい顔じゃないよ>

「どっちだよw」

<男前ですよw お姉さんも美人だよね>

「まあ姉ちゃんはね。子供んときから。顔はね?」


 船、砂浜へ。

 乗り上げるとかそういう判定はないらしく、ふつうに停止。ドラクエ的だね。

 さっき誕生したばかりの@ソラ司祭が船に乗り込みました。

 船、離岸。大海原へ。


<次の停泊地は、大海(たいかい)の村~、大海の村~。

 川東の村には泊まりませんのでご注意ください~>


■■■ 82、ハーピー退治 ■■■@..Z


 船、大海の村に到着。


 @太郎は、冒険装備で下船。そのまま川沿いに東へ。

 ハーピーとの遭遇地点を目指すんである!

 メンバーは8人。

  @太郎。最初の@。生存時間最長だが、成長はしてない。実質新人。

  @ソラ。太陽の司祭。新人。

  @4ro、5ro。ほぼ新人。

  @10ro、11ro、12ro、13ro。まあまあ強い。山賊砦攻略メンバーである。


 いっぽう、@太郎とは別に、10人の@が商船“ゴールデン・ラム”に残る。

 こちらは荷物の積み下ろし担当である。いわば、交易班なのだ。


「川沿いに移動って、オートトラベルできんの?」

<できないね。マニュアル>

「荷物の積み下ろしと同時にやんのめんどくさそうだね」

<あ、荷物はエリア指定で長時間作業させれるから>

「エリア指定」

<エリア1から、エリア2へ、すべての荷物を移動せよ! みたいな形ね>

「賢いな・・・」

<そのへんはRTS風だよね。このゲーム>

「アールティエスってなんだっけ?」


 たしか浦部の友達がなんか言ってたな。


<Real Time Strategy──『リアルタイム戦略』だね。

 一般に、ユニットがたくさん存在して自分の判断で動いてて、そこに指示を出すことで戦略を実現していくゲーム>

「このゲームもそうだね」

<ターン進行だけど、RTSに似てるとこあるよね>

「フーカはRTSやったことあんの?」

<カンタさんがやったことないやつは、私もやったことないよ>

「そっか」

<けど、アメリカでは人気ジャンルだから、データベースに基礎知識が入ってるんだー>

「なるほどね」


 そのRTS風のシステムでもって、荷物の積み下ろしのほうは自動化。

 10人の@たちがワラワラと動き始めた。


<まず、パンや小麦粉をこの村に下ろします。で、魚を積み込みます。

 今回はそれで終わり。@太郎の帰還は待たずに、さっさと出港しようかなと思います>

「了解!」

<・・・で、私は@太郎を操作すると>


 @Taroは、肉とクッキーとライ麦パンとエールのスープを食べた:

  これはうまい。お腹9ポイント回復。


「出た。@スピネルスープ」

<領主さまが愛情こめて作り置きしてくれたスープですよ>

「館の中庭で料理してたやつねw」

<そうそう>


 お腹ポイントの減りに合わせ、随時食事しながらの進行である。

 やがて。


 3羽のHが、前方の森の上から、超高速で飛んで来た。


 #.###..######H

 @@@#.######H#H

 ###@@@@@......

 ~~∧~~∧~~~~~~~~

 ~~~~~~~~~~~~~~

 ~~~~~~~~~~~~~~


<来ましたね。ハーピー>


■■■ 83、とりをなだめる ■■■@..Z


 前回は3対3で圧倒されたハーピー。

 しかし今回、こちらは8人である!


<そう簡単にはやられませんよ──まずは『鳥をなだめる』から!>


 @Solarは唱えた: 『天の女神の御許(みもと)では、我らはみな同胞なり・・・』

  ハーピーは中立になった。

  ハーピーは中立になった。

  ハーピーは友好的になった。


<あれ>

「鳥判定か」

<戦闘終わっちゃった・・・>

「www」


 なんと! ハーピーも鳥判定!

 風花さんが恨みを晴らす間もなく戦闘終了である!


 ・・・で、ハーピーが1羽『友好的』になって、@ソラのとこへ寄ってきた。

 右から2人目の@がソラね。


 #H#HH

 @@@..

 ∧~~~~


<なつかれたけど・・・これどうしたらいいんだろ>

「騎乗できないの?」

<えっと・・・あれ?>


 @ソラがハーピーのほうへ一歩踏み出す。2人が重なる。

 すると! なんと!


<@ソラが消えた>

「Hの字にアンダーバーついてっぞ」

 

 シャチのときとは反対に、ハーピー が @ソラ に 騎乗してしもうたのであった!


<うそーん>

「のっとられとるがなw」

<動けないんですけど!!!>


 しばらくハーピーに乗っかられた@ソラ。

 数ラウンドすると、ハーピーは隣のマスへ。飽きたのか?


<これ、解決ってことでいいのかな?>

「わかんね。他人が通ったときどうなるかわかんねーもんね」

<陣営で処理してるんなら、@軍団は誰が通っても大丈夫でしょうけど。村人とかはわかんないよね>

「あー。山賊みたいに殺されちゃうかもね」

<まあハーピーが殺されても私は別にいーんだけど・・・?>

 ジーコ。ユキ号がこっち見る。

「いや別に俺も怒りはしねーよw けど、もしかしたらなんかボーナスあるかもね?」

<ですねぇ。まあ、これで収めますか・・・>


 @太郎隊。武器を収め、引き返すことにした。

 ・・・のだが。


 ####

 @@@H

 ~~~~


「ところが、くまさんが」

<ついてくるw>


 ハーピーちゃん、ぴったり@ソラの後ろにくっついてくるんである。


<これ村に入ったら殺されますよね>

「わかんねーけど、そうなりそうだね」

<後味悪いですよねぇ・・・さすがに・・・>


■■■ 84、釣り合ってねーぞ、ハーピー! ■■■@..Z


 結局。


 @ソラは、ハーピーと共にこの場に残ることになった。

 他のメンバーは、食料をこの場に置いて『大海の村』へ引き返す。@ソラだけが居残りという判断である。


 川でキャンプする@ソラ。


 ####

 .@H.

 ~~~~


<まあ・・・上流で次の舟造って、下ってみましょうか>

「そだね。あれ? でも造船隊って残してたっけ」

<残してますね。ひたすら伐採してたと思う>


 カメラ切り替え。

 広範囲に木が切り倒されまくった川辺の景色が。


「めっちゃ切り倒しとるw」

<これもう畑造れるレベルですね>


 丸太も当然あるということで、もう一隻丸太舟を造って、川を下ってみることにする。

 今回は1人だけ。@66roが単独で舟に乗って、生命がけの川下りを敢行する!


 ・・・無事、@ソラさんのキャンプまでたどり着きました。


 流れてゆく@66roの丸太舟。川辺でボケーッとしてる@ソラ。


<平和な一日でしたね・・・>

「ホントだねw」


 @Solarは、肉とクッキーとライ麦パンとエールのスープを食べた:

  これはうまい。お腹9ポイント回復。@Solarは胃もたれした。


<魚あったかな。干し魚があるか。これあげたら食べるかな>


 @Solarはプレゼントした:

  Harpyは干し魚を受け取った。

  Harpyはよろこんだ。

 Harpyは、干し魚を食べた: これはうまい。お腹8ポイント回復。Harpyは胃もたれした。


 食事をしたハーピーは・・・


 ###H

 .@..

 ~~~~


「お、飛んでった」

<友好期限が切れましたかね>

「@ソラどうすんの?」

<もうここに住んだらいいんじゃないかな>

「www」


 風花さん、なげやりである!


<釣りでもしてみようか。道具がないか。@66roに持って来させよっと>


 丸太舟で下った@66roに、大海の村で買い物をさせる。

 釣り針、糸、網、籠、三叉槍──漁師セットである!

 これを丸太舟に積んで、川をさかのぼって、@ソラの元へ!


 @ソラは漁師セットを受け取り、@66roにも手伝ってもらってキャンプファイア。

 火の側で夕方の釣りとしゃれ込む。


 と、夕暮れ間近の川べりに(赤い視界制限が迫ってきた)・・・


 ####

 .@fH

 ~w~~


 Hの字が戻ってきた!

 (fは焚き火、wは長時間作業のマークね。)


 ####

 .Hf.

 ~w~~


 立つとこないからか知らんが、また頭の上に乗ってきよった!

 @ソラ見えんようになる! そして!


 Harpyはプレゼントした:

  @Solarは★大鷲のオーブを受け取った。


「なんかくれたぞ」

<★マークついてますね>


 ★大鷲のオーブ

  神代の大鷲を召喚できる宝珠。

  素早さ+4、飛翔+5、抵抗:風、呪文:駿馬(しゅんめ)、駿才(しゅんさい)


「これは当たりなのではないですか!? フーカさん」

<当たりですね! カンタさん!>

「ってか干し魚のお礼がこれ? 釣り合ってねーぞ、ハーピー!」

<気前良すぎですねw もっとお魚あげとこ・・・>


 @Solarはよろこんだ: 「ありがとう、Harpy!」




※このページの修正記録

2023/11/26

「81、さて、ゲームだ」

 @ソラの出身地を『川東の漁村』としてましたが、正しくは『西の漁村』です。

 ちなみに『川東の漁村』という地名も間違っており、正しくは『川東の村』です・・・。

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