ぼうれいのみやこ
60、カンタとフーカ、うちあわせする
浜之松(はまのまつ)幹太(かんた)、帰宅しました!
パソコンスイッチON!
エアコンスイッチ──今日はいいか。
ヘッドセット着ける。相変わらず安モンです。
OS起動。
TAI マイクロクライアント サービスのアイコン、ポップアップ。
「フーカぁー、ただいまー」
<・・・カンタさーん、おかえりー>
ハスキーな女の声。
しゃべるAI、TAIさんの声。
風花の声。俺にとっては、もう『TAIさん』とかじゃなくて、風花さんの声です。
やべーなこれ。ハマっちゃうよ。いやもうハマってっけど!
顔とかそーゆーの、一切出てないんだけどね。いやー、顔なんて見えなくたって!
「ただいまただいま」
<おかえりおかえり>
「はい! 早速だけどね」
<はいな!>
「今日は、交代でプレイしよっかなと思います」
<ほうほう>
「まあアレだよ。今日も宿題出されちゃってさー。だからね」
<なるほど。ではカンタさんは宿題を>
「うん。たぶん30分ぐらいで終わっと思うからさー、そのあいだフーカ進めといてもらっていい?」
<はい。もちろん。──ひとつお願いしてもいいですか?>
「いいよ。なに?」
<カンタさん見せてーw>
「・・・動画?」
<そう。カンタさんカメラ>
「ぬ・・・カンタカメラですか。わ・・・わかりました!」
スマホ繋いで、動画で自分が映るようにして、モニターに出す。
俺なんて映すようなもんじゃねーんだけどなー。男見てもなー・・・それも自分じゃなぁ。
とか、内心ブツブツ言いながら映った俺。顔がニヤケとる。うわー! 気持ち悪ィー!
<わーい。カンタさーん>
「はーい。フーカさーん」もうヤケである。手振ってやった。「あー・・・んじゃ、やろっか!」
ゲーム起動!
┏━━━━━━━━━━
┃ RULED SPIRITS
┃
┃ ....S....
┃ #..@w@@o.
┃ ##...oO..
┃
┃ > Continue
┃ Create World
┗━━━━━━━━━━
<あ、Tips。『どんな敵にも弱点はあります──ドラゴンであっても』だって>
「へぇ」
Tipsか。
毎回、起動するたびに出てんだけどね。
最近は気にしてなかった。英語だし。毎回『これなんて書いてあんの?』って訊くのもなんだし。
今日は、何も言わなくても翻訳してくれた。風花さん、自主性を発揮だね!
で、なんだって? ドラゴンにも弱点はあります?
「そうは言ってもさー・・・」
<攻撃するヒマもなかったよね>
「そーだよ。最初の一撃で全滅したっつーの」
<ブリッツ。まさに電撃的でした>
「ん? 電撃って意味なの?」
<Blitzは、ドイツ語で『稲妻』。第二次大戦後にブリッツクリーグって単語が有名になった・・・そうです>
「なにそれ」
<Blitzkriegは、ドイツ語で『電撃戦』>
「へー。電撃ドラゴンか」
<アイスドラゴンだけどね>
「あれ。あいつの正式名なんだっけ?」
<Ice Dragon “Blitz”>
「氷の竜“稲妻”」
<そうなるねw>
「どっちだよって。ってかさー、あんなんさー、俺ァ、どーしていいかわかんねー」
<はい。私、ひとつ気付いたんですが>
「なになに?」
<最初の攻撃ね。『ブレスを吐いた』ですが、@Pizzaだけダメージだった>
「ん? どういうこと?」
<えっとね。このゲーム、ログ見れるんだけど、ログファイル──>
「ああ、ファイル? 開いていいよ」
<では開きます>
「ってか、このゲームのフォルダーは自由に見ていいよ。許可します」
<了解しました!>
風花さん、ファイルを開く。
┏gamelog.txt
┃ @Sailor is frozen. @Sailor died.
┃ @Sunny is frozen. @Sunny died.
┃ :
┃ @Pizza receives 72 damage. @Pizza died.
┗
<ね? みんな『凍りついた。死んだ』なのに、@Pizzaだけ『72ダメージ。死んだ』になってる>
「ふむ?」
なんでだろ。
なんか違いあったっけ。
「・・・もしかして、装備?」
<そう。たぶんそう。ちょっと検索するね>
風花さん、検索する。
テキストエディターの検索機能だね。俺も学校で習った記憶あるわ。全然使ってねーけど。
<あった。@Pizzaに着せたドラゴンメイルに『抵抗:火・冷気』がついてる>
「そっか・・・対策アイテムは出てたわけだ」
ということは、対策アイテムが出てるのに、それを生かせなかった俺の作戦ミスってわけだね!
「──じゃねーよ!」
<は?>
「作戦レベルの問題じゃねーよコレ。72ダメージって。ヒットポイントの何倍よ>
<8倍>
「でしょ! 抵抗して8倍って! 結局死ぬじゃん!」
<まあそうだけどw>
「・・・まあでも、『凍りついた』って即死ってか、特殊効果っぽいからね。
そういう、なんつーの? 即死みたいな効果は『抵抗』で防げるってことかもね」
<そうそう。そう思ったんだよ>
「なるほどね。りょーかい。・・・ま、とりあえず、ドラゴンは後回しね」
<向こうから来るかも知んないよ?>
「そん時ァーそん時だよ。港に入った時点では来なかったわけだし」
<まあそうだね>
「縄張りがあるんじゃねーかな? ふつうそうでしょ。ゲームの敵って」
<なるほど。じゃあ、@Pizzaの装備品はしばらくそのまま、海の底に置いとくと?>
「・・・あ、そっか。海の底か」
船が沈んだからね。
「潜水したら取りに行けんのかな?」
<だと思うよ。ところでカンタさん、宿題は?>
おーっと風花さん、ここで自主性を発揮だー。
「やります。やらせて頂きます! あ、ドラゴン、調べてみてもいいよ」
<ううん。いい。私もやりかけのことをする>
「やりかけのこと」
<支援体制の確立!>
61、新キャラは、オーガ
俺、宿題する。
風花が何するのかは気になるんだけど。チラチラ見ながら。
<宿題ぁーい!>
「うっ。はーいw」
風花は、@Taroたち──海を渡ってない、元の大陸(?)の側にいるメンバーをいじってるみたい。
@Spinelの作ったクッキースープ食べながら移動してるのは見た。
お? 新しい@作ろうとしてるぞ?
ぴた。風花の操作が止まった。
マウスカーソルが俺の動画のとこに移動。くるくる・・・。
「やりますやりますw」
30分ちょいかかって、宿題やった。終わり!
風花見たら、まだなんか忙しく作業してる。なんで、こっちは明日の高校の準備もしといた。完璧に終わり!
「終わり!」
<はい。じゃあ交代しましょう>
「うん。ってか、操作はフーカにやってもらうんだけどね」
<よろこんで>
「疲れたりはしない?」
<大丈夫。いま毎日スリープしてるから、安定してます>
「スリープね」
AIも寝たらスッキリするわけだ。なんか面白いね。
<──で、どうします?>
「うん。新キャラ作ってみようと思うんだ」
<新キャラ>
「港町で解放されたっしょ? 種族。ゴブリンとか」
<うん。海の向こうのね>
鬼の港町。
@Pizzaたちが、船で発見した集落だね。
発見してすぐ動いちゃった(そしてドラゴンにやられた)んで、あんま見てねーんだけど。
キャラ作成モードへ。
まずはワールドマップでキャラの誕生場所を選ぶ。
初めはポツーンと1点だけだった集落が、いまや・・・えーと、1、2、3・・・7つに増えてます!
集落増えると、伸ばせるスキルが増えるんだよね。太陽の司祭とか精霊使いとか。
<スキルは・・・新しいのはないですね>
「ないか」
<うん。入り江の港町と同じみたい。
で、種族は? オーガの男女、ゴブリン、ハーフエルフと、新種族が4つありますが>
「オーガかな」
<どっち?>
「どっちとは?」
<オーガだけ、男女で種族が分かれてるんですよ>
「へー。何がちがうの?」
<オーガの男は、大型の鬼。強いけど、大食らい。
オーガの女は、中型の鬼。ヒューマンよりは強いけど、マイルド。らしい>
「じゃあ男! 強いとこを伸ばしちゃって」
<見るからに筋力系のステータス。筋力伸ばしますね>
「うん。どんぐらいあんの?」
<オーガの筋力は、ヒューマンの3倍>
「すげえ!」
<ダメージに期待ですね>
「そりゃいいや」
<何人か作るの?>
「いや、1人でいい。新種族がどの程度なのか、試してみてーなと思ってさ」
<はい>
「死んでもいいから、殴れる奴探して、殴ってみよう!」
<はーいw 名前は?>
「オガ太郎!」
@OgrTaro。
最強(当社比)の筋力を誇る、ガチタンク巨人の誕生である!
──見た目はただの@だけどね。
「ここはさー、せめて大きな@を期待したよね。3倍ぐらいの」
<そーだねw>
「ま、とりあえず、外に出てみて」
<はいな>
『鬼の港町』は傾斜の激しい港町だ。ゴミゴミしてる。
その汚い町を、NPC@を押しのけて、@オガ太郎が歩いてゆく。
「・・・いま1人死ななかった?」
<はね飛ばしたら死んじゃった>
「車かよw」
友好的な相手なら、体当たりしても攻撃にならないはずなんだけどね。位置がくるっと入れ替わるだけで。
こいつは敵だったのかな。街の中なんだけど。
<@Street Hooligan──街のチンピラ>
「ならいいか」
<素手で31ダメージ。即死でしたね>
「すげえ」
<ゾンビ化するだろうし、海に捨てときましょう>
「www」
@オガ太郎、街道をゆく。街を出て、道は森へと入ってゆく。
「町出たら、とりあえず、森! って感じだね。この世界」
<ですねぇ>
@オガ太郎、ズンズン進んでゆく。
上り坂らしいけど、見下ろし2Dだからよくわかんねーや。
シカが出た。逃げた。
鳥が出た。逃げた。リス出た。逃げた。
風花、石を拾う。イラッと来てんなコイツw
シカが出た。風花、石投げる。ハズレ。ダメージわからず。
「・・・なんつーか、戦闘起こるときと起こらないときの差が激しいよね。このゲーム」
<うん。あばれイノシシがなつかしい>
「あいつに勝てるかな?」
<わかんない。@オガ太郎、回避低いからね。3人いれば殴り勝てると思う>
「それもう怪物じゃん」
@オガ太郎はズンズン進む。
けど、何も起こんねー。こういうトコがこのゲームはちょっとなー。
「ドラクエみたいにさー、さっさと戦闘起こってほしいよね」
<本来のローグライクはそうなんだけどね>
「そうなの?」
<私もやったことないんだけど、知識によればね。ダンジョン入ったらすぐ戦闘。クリアするまでずっと戦闘>
「へー。あ、ところでさ、他のキャラはどうしてんの?」
<オートトラベルさせてる。入り江の港町にね>
「ほうほう」
<貿易スタートしようとしたんだけどね。船の手配で手こずっちゃって>
「ほう」
<まず、船長には『遠洋航海』スキルが必要でしょ? これを覚えれるのは、『入り江の港町』『鬼の港町』出身者だけ。
次に、船が必要でしょ? いま私たちが持ってる船は、『入り江の港町』の商業船が1隻だけ>
「──なら、入り江で船長作って船に乗ればいいんじゃないの?」
<ところがどっこい、船に船長を割り当てるには、オーナーが権限設定しないといけないんだよ>
「オーナー」
<Lady Pizza>
「今は亡き@Pizza様か。じゃあ権限いじれないじゃん」
<そうなんだよ。それで、@Spinelを館に入れてみようかなって>
「館に入れたらどうなんの?」
<領主になれるみたい。守備隊長が館に入ったら『領主を引き継ぎますか?』って出たから>
「スピネルちゃんを領主にするってこと?」
<うん。ダメ?>
「ダメじゃないけど、なんで?」
<余ってるから>
「www」
@オガ太郎、山道をゆく。何も起こんねー。
俺1人だったら飽きてやめてるわw
「そう言やさ、領主が殺されたら、領地取られるんだっけ?」
<うん。領主を倒して、館に入るとね>
「・・・あいつ来たらえらいことだよね。電撃ドラゴン」
<ブリッツ? あー、そーだね。氷の港町になっちゃうねw>
「大丈夫なの?」
<たぶん>カメラ切り替え。<ほら、守備隊長は健在。NPCの巡回設定もしてあるしね>
「さすがフーカ。手抜かりないね!」
<光栄です!>
と褒めたところで。なんかメッセージが。
<・・・。>
「どったの?」
<城壁のとこで、@Brigand──山賊を1人撃退したんですが>
「やるじゃん」
<それが、装備からして『@Pizza様の使い』っぽい>
「@Pizzaが魅了したやつ?」
<そう>
「死んだの?」
<死んだ。私が巡回させてたNPC兵士に殺された>
「なんでだよwww」
<城壁に近付いたからじゃないですかね・・・>
「離れたとこに置いてかなかったっけ?」
<置いてった。けど、@Pizzaの死後、操作できなくなってたんですよ>
「あー! そうか。@Pizza死んだから魅了が解けたのか!」
<ヤツには何も持たせてませんでしたからねぇ・・・武器は当然だけど、食料とかも・・・>
「飢え死にするから城壁に近付いたんかね?」
<ですかねぇ・・・>
「南無ー」
<なむー>風花ため息。<海に捨てとこ>
で。
@オガ太郎の行く手に、やっとこさ! 変化が!
<道路がコンクリートの舗装道になりました>
「現代っぽいねw」
<おやおや、カンタさん? コンクリートやアスファルトは紀元前からありますよ>
「そうなの」
<うん。まあ、道路に使うとなると大変だろうけどね。量が必要だから>
「経済力があるってことですね!」
<そうだね。期待! ──あ、前方に城壁を発見!>
「おお! 金持ちの集落!?」
@オガ太郎、無傷のまま新たな集落に入る!
『廃墟を発見:エルフの王都
この集落は滅亡しています。キャラクターを作成することはできません』
62、オガ太郎、むそうする
<あれ・・・?>
「滅亡してら」
なんと。@オガ太郎の到達した集落は、滅亡していた・・・。
「これ、前に港で聞いたとこだよね?」
<だね>
風花さん、ログ検索して、翻訳してくれる。
<『海の向こうには、ハイエルフの王都がある。だが闇の軍勢に攻められ、劣勢だというのだ!』>
「ここのことだよね?」
<High Elf Royal Polis──綴りも同じ。間違いない。ここが『ハイエルフの王都』>
「マジかー。滅亡しちゃったかー」
<情報聞いてから2日ぐらいしか経ってないのにね>
「まあそこはゲームだし」
<えー>
「しかし、参ったね? 助けに来たのにさ」
<うん>
「助けに来た@Pizzaも死んでっし。これもう劣勢じゃねーよ。負け戦だよ。どーすっぺ」
<ホントにw ──あ、ゾンビ>
都の大通りに、Zが1体。また1体。
@オガ太郎が、1歩進むたびに。
白く舗装された大通りに、姿を現わす。
「そっか。滅ぼされたんだから、ゾンビになるわな」
<ですねえ>
「ま、いいや。うん、ちょうどいい。殴ってみて!」
@オガ太郎。一直線。
Zに接近し、そのまま体当たり!
@OgrTaroは攻撃した:
Highelf Pikeman Zombieに33ダメージ。Highelf Pikeman Zombieはノックバックした。
Highelf Pikeman ZombieはHighelf Zombieにぶつかった。
Highelf Pikeman Zombieに6ダメージ。Highelf Pikeman Zombieは死んだ。
Highelf Zombieに6ダメージ。Highelf Zombieは転倒した。
攻撃したゾンビは吹っ飛んで、後ろのゾンビにぶつかって、死んだ。
ぶつかられたほうにもダメージが入った。さらに転倒。
「すげー。まるで、あばれイノシシみてぇ」
<こんな感じでやられましたねーw>
「なつかしいねw しっかし、オーガ強ぇじゃん! 武器持ったらどーなんの!?」
<ゾンビがパイク持ってますね。装備してみましょう>
「ぱいく?」
<歩兵の槍、または鉾(ほこ)>
「へー」
<このゾンビ、Pikemanって名前だったから、生前は槍兵だったんじゃないかな>
「そっか・・・」
都を守って戦って──負けて、ゾンビになったってことか。
「南無ー」
<なむー>
祈りつつも、戦ってると。
いつものエフェクトが始まった。
灰色になった(=死んだ)Zが消えて、半透明の光みたいなものが現れるやつ。
光は画面上方へ、吸い込まれるように飛んでゆく。
ゾンビ倒すたびに毎回出るエフェクト。ホント、何なんだろーね?
パイクを装備した@オガ太郎。ちなみに鎧はなし。フリチンである。
廃墟をウロつき、敵を探す。
したところ、出るわ、出るわ!
もんのすごい数の、ゾンビが!
大通りの前方から、左右から──うっじゃうっじゃと現れよった!
<これは大漁ですよ>
「ゾンビゲーらしくなってきたね!」
<ですね! ・・・これゾンビゲーなの?>
「知らねw」
<えーw>
「さあフーカさん、弔い合戦ですよ! ゾンビどもを、眠らせてあげなさい!」
<了解です、カンタ司令!>
風花さん、ゾンビの群れに突っ込──んだりはせず。
足元から石拾って、投げた。
命中。ゾンビ即死。
「強ぇ!」
<投石はヘタクソなんですけどもね。当たれば一発ですね!>
@オガ太郎、強い!
遠くのゾンビは石投げて殺し、近くのゾンビはパイク突いて殺す!
風花の立ち回り、安定! 建物の壁を使い、走り回り、ノーダメージでゾンビを捌く(さばく)!
1、ゾンビが3人来る。
2、@オガ太郎、投石で1人殺す。
3、ゾンビが接近する。
4、@オガ太郎、パイクで1人殺す。
5、ゾンビに攻撃される。@オガ太郎、パイクで受けてノーダメ。
6、次のターン。@オガ太郎、パイクで1人を殺して勝利。
──こんな感じである!
<30人突破>
「すげえ! オーガまじ無双!」
倒したゾンビが、50を越えたところで。
パタッと、敵が途絶えた。
<なんだ。もう終わりか>
「オーガw」
<なにが?>
「フーカがオーガっぽいなってw」
<ええー!>
「出て来ねくなっちったけど、倒し尽くしたんかね?」
<都の人口としては、少なすぎる気がしますけどね・・・>
「そーだね。けど装備はかなーり取れそう」
<うん。鎧着てる奴もいたからね>
「よし。じゃ、新種族でチーム作って装備回収させよーぜ!」
<わかりました>
「チームは任せるわ。俺、そろそろ晩飯だし」
<どうしましょう。進めときましょうか?>
「フーカに任す!」
<そう? ならスリープして待ってる>
「はいはい。んじゃまた後でね」
<はーい>
63、亡霊あらわる
風呂入って、晩飯食って。
母ちゃんに注意されたけど。
「勉強もしなさいよ? 風花ちゃんと遊んでるだけじゃダメよ」
「してる。ってか、フーカが『サボっちゃダメ』って言ってくるから」
「あ、そう・・・」
って感じでやり過ごした。
部屋にもどる。
「フーカさーん・・・?」
<・・・はい、カンタさん>
「お待たせ。風呂も入ったし、遊ぼっか」
回収班の作成である!
「新種族のテストを兼ねて、1人ずつね。オーガの男はもういるからいい」
<はいな>
「今回、命名はフーカに任すわ。やってみて」
<え・・・わかりました。はい>
@GobTaro。ゴブリンの男。素早い系。隠密が得意。
「@ゴブ太郎ね。素早いんだ?」
<素早いですね。ヒューマンよりちょっと素早い。でも、強いとは言えませんね、これは>
@FuGrKo。オーガの女。筋力とメンタル系で、水泳・遠洋航海を取った。
「なんて読むのこれ?」
<@フガ子>
「なんだそりゃ?」
<フーカがオーガって言うから!>
「ああ、はいはいw」
@Happy。ハーフエルフの女。カリスマ系。魅了と知覚が得意。
「ハーフエルフだからハッピーね?」
<言っとくけど、カンタさんの命名に合わせてるんですからね!>
「はいはいw 魅了キャラか。第二の@Pizzaだね」
<うん。斥候もいるかなと思って>
@148..157ro。筋力系おっさん10人セットである。
「荷物持ち?」
<そーゆーこと。経験点入ったら、水泳伸ばしてサルベージ隊にしてもいいかな?>
13人の回収班、出発である。
@オガ太郎は到着を待つ──あいだに、廃墟を探索する。
ハイエルフの王都は、滅亡したにしては、保存状態がいい。
建物はほぼ無傷。食料の残ってる家もあった。
まあ、ゾンビが出てきたりはするんだけど。
@オガ太郎にとっては、脅威ではないからね!
<食料。ポイ。レザーアーマー。ポイ>
風花さん、使えそうなものを見つけては、大通りへ投げる。
投げたほうがターン数節約になるからねw
「壊れたりはしないんかね?」
<何もないマスなら大丈夫。敵に当たると壊れるみたいだけど>
「へー」
<にしても、綺麗に人間だけ全滅してますね・・・>
「そーだね。滅亡って聞いたら、焼け落ちてるイメージだけど」
<そうそう>
「俺はさ、あいつ来なかったのかなーって思った。ほら、電撃君」
<アイスドラゴン“ブリッツ”ね。たしかに>
凍りついた痕とか、ないもんな。
あいつなら、都なんか簡単にぶっ壊せそうなのにね。
<なんで来なかったんだろ。それにさ、領主殺したのなら、この領地奪えたはずじゃない?>
「そうだね。それもある」
とか言ってたら。
<うわ!>
「どったの?」
<壁から、敵が!>
Highelf Magus Wraith
■W■■
■.@■
■..■
■■+■
<Highelf Magus Wraith──『ハイエルフの博士のレイス』!>
64、ぼうれいのみやこ
「殴って」
<殴るの!?>
「そのために来たんだよ。敵のデータ取るためにね」
<なるほど。了解!>
@OgrTaroは攻撃した: Highelf Magus Wraithに20ダメージ。
Highelf Magus Wraith は唱えた: 『マナボール!』
@OgrTaroに23のダメージ。@OgrTaroの速度が11低下。
<ダメージ低い。魔法痛い!>
「まずい?」
<Hpマイナス。次のターンで同じダメージ来たら、死>
「そっか」
<逃げる?>
「壁抜けて来るんでしょ? じゃあ逃げれないっしょ。やっちゃえ」
<でも・・・@オガ太郎、すっごい経験点稼いだのに>
「あー、経験点は惜しいなー・・・」
<だから>
「いや。データ取るのがコイツの任務だかんね」
<わかりました>
@OgrTaroは攻撃した: カキーン! パイクは壁に当たった。
Highelf Magus Wraithは触った: ライフドレイン。
@OgrTaroに2ダメージ。@OgrTaroのお腹が2減った。@OgrTaroの速度が2低下。
Highelf Magus Wraithの呪文が2回復。
@OgrTaroは攻撃した: Highelf Magus Wraithに20ダメージ。Highelf Magus Wraithは死んだ。
@オガ太郎、瀕死の重傷ながら、とにかく勝利である!
<勝った・・・>
「亡霊を突き殺しよったw」
<与えるダメージが小さかったんですけど。鎧は・・・着てないなぁ>
レイスが消える。
ゾンビ倒したときの、あの半透明の光は・・・あれ? 出ないね。
「強敵だね!」
<うん。あと、『マナボール』。あれ、魔術の呪文のリストにあったよ>
「魔術も使うのか。レイス」
<レイスの能力じゃないんじゃないかな>
「どういうこと?」
<ハイエルフ・マグス・レイス。マグスは『魔術師』って意味かも知れない>
「魔術師の亡霊ってことか」
亡霊の都か・・・。
「引き返そっかw」
<はーい>
「どーすっかねこれ? この亡霊の都、どうやって調べたらいーんだろーね?」
<そうだねー、>
風花さん、軽い口調でこう言った。
<もっとやられてみれば、わかると思います!>
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます