第11話 魔女アナスタシア

 魔女アナスタシアは、じっと民衆を見ていた。

民衆たちの熱意は止まることなく、間もなくアナスタシアは炎に包まれた。

二コラの泣き叫ぶ声はもう、アナスタシアには届かない。

せめてもう一度、彼女を抱きしめたかった。

せめてもう一度、彼女と話がしたかった。

せめてもう一度―。

二コラが最後に抱いたどの願いも、もう叶うことはない。

 何故なら、魔女アナスタシアは、死んでしまったのだから。

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