第10話 恨み
そこからはあまりにも一瞬だった。
アナスタシアは捕らえられ、僕は解放された。
アナスタシアは抵抗をしなかった。
僕の問いかけにも応じず、こっちを一瞬見て、寂しそうに微笑んでいた。
「アナスタシア、どうして……!!僕が、代わりに殺されて、君は見逃してもらえるはずだったのに!なんで、どうして戻ってきたんだ……!!!」
僕がどれだけ叫んでも、アナスタシアは耳を貸さない。
不意に、アナスタシアが僕に何かを放って渡した。
「これは……」
アナスタシアは、僕がキャッチできたのを見て、満足そうに頷いて、それからもうこっちを見ることは無かった。
その間にも、魔女狩りの準備は進んで、アナスタシアはエドアルドに連れられ、あっという間に民衆の中に紛れてしまった。
僕は騎士に連れられ、客間に放り込まれた。
窓を開けると、そこには、磔にされるアナスタシアの姿があった。
このまま、アナスタシアの死にざまを見届けろってことか。
酷い奴らだ。
でも、僕にはどうすることも出来なくて、磔にされるアナスタシアに罵声を浴びせ、魔女狩りを楽しむ民衆たちを恨めしそうに睨みつけるしかなかった。
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