第1.5話

 「起きて二コラ。もう朝だよ」

「ん……」

目を開けると、一人の少女が僕を覗き込んでいた。

「おはよう、アナスタシア」

んしょ、と言いながら起き上がる。

「おはよう、朝ごはんスコーンでいい?」

「いいよ。わぁ、紅茶のいい匂い」

「今日は昨日買った新しい茶葉で淹れてみたの。気に入るといいけど」

談笑しながら着替えてリビングへ向かう。

「いやぁ、今日は珍しい夢を見たよ」

「夢?」

「うん、君と初めて出会った日の夢」

「ふぅん……」

「でも、夢で良かった」

「どうして?」

「だって、あの頃の君すごく怖かったし。もうあの頃には戻りたくないかなぁ」

「あはは、そうだったっけ」

「だってさ、あの頃の君……」

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