第11話 私と新しい友達
猫宮くんのトンデモ発言の後の教室の空気をそのままに
先生はさっさと終わらせて出て行ってしまった。
今日は授業はなくてあとは帰宅するだけ。
案の定何人かの女子に囲まれてる猫宮くんを遠目に
「小春どう言う事だよ?いつのまにあのイケメンと!」
「もー、本当に知らないんだってば。」
颯太から問い詰められ私はげんなりする。
里奈にも颯太にも、会った事もないし、喋ったこともないし、第一あんなイケメンに出会ったら絶対忘れないって説明する。
「人違いなんじゃないかなあ……。」
「でも猫宮くんこはるんの事ちらちら見てるよ?」
女子に囲まれながらも、度々私に送られる視線に頭が痛くなる。
「小春ちゃんには幼い頃助けてもらったんだ。その時にこの子が運命の子だって思ったんだ。同じ学校に通えて嬉しいな。」
本当に覚えのないエピソードも聞こえてくる。
私が猫宮くんを助けた?私そんな事したっけ……?
「とりあえず違う所で話さない?」
「うん、そうしよ!」
「俺も部活は明日からだから。」
帰宅する準備をして席を立つ。
「もう帰るの?」
「うん、ちょっと落ち着く所で話そうかなって。」
隣の席の木村くんが声をかけてくれた。
木村くんの席には2、3人男子が集まっていた。
「僕たちこれから皆に声をかけて、親睦会?的な事やろうかなって思ってるんだけど来ない?」
「えー!なにそれ面白そう!」
「せっかく同じクラスになったんだから、早くお互いを知って仲良くなれたらなって思って。」
思ってもみない提案に、私と里奈と颯太は顔を合わせる。
「まあそう言う事なら、いいんじゃね?」
「うんうん、行こうよこはるん!」
「そうだね。私達も参加していい?」
「もちろん!ちょっと待っててね皆に声をかけるから。」
木村くんは実は委員長タイプなのかな、教壇に立って皆んなに声をかけている様子はとても慣れていた。
猫宮くんも参加するみたいだし、本人にこっそり聞いてみるタイミングがあれば聞こうと思った。
多分誰かと勘違いしてると思うんだけどなあ。
親睦会は駅の近くのカラオケ店で行われることになった
参加するのはクラスの半分ぐらいの人。15人ぐらい?
クラスメイトの身内が働いてるお店らしく、大人数で利用できるパーティルームを案内してもらった。
「すごーい!こんな大きい部屋はじめて!」
「本当、いつも小さい部屋だから。」
初めて入るパーティルームの大きさにびっくりする。
「俺は部活の打ち上げとかで結構くるからなあ」
私、里奈、颯太の並びで席に座る。
この並びで座っちゃうと二人とも他の人と話せないんじゃないかなあ。
私の反対側の隣には、テキパキと皆んなに時間の説明やデンモク、マイクを渡したりと一通りの事を終わらせた木村くんが座る。
「木村くんってすごいね。頼れるリーダーって感じで。」
「そうかな?長男だから面倒見がいいだけかも。」
「長男なの?私長女だよ!同じだね?」
猫が好きだったり、共通点がある木村くんに好感を持った。普通にいい人だし仲良くなれそう。
「紗倉さん達はいつから仲がいいの?」
「私と里奈と颯太?」
木村くんは少し前屈みになって颯太にも視線を送る。
「私は小学校からこはるんと仲良しだよ!」
「俺は保育園から!」
「とても長い付き合いなんだね?」
このクラスには他にも何人か同じ中学だった人がいるけど、顔見知り程度でこの2人ほど話をする関係の人はいない。
里奈も颯太も同じ学校で同じクラスでよかった。
「じゃあ僕も高校からはよろしくね。」
木村くんはなんだかいい意味ですごい人な気がする。
誰とでも分け隔てなく接していて、リーダーシップもあるし。
きっとクラスの委員長とかは木村くんみたいな人がやるんだろうな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます