訴え
うちの祖母はいわゆる霊感がある人でした。遠く離れた友人の死期が近いとボヤくと、数日後に訃報の便りが届くことなんてザラでしたし、身内だけは祖母の力は本物の力だと認識していました。
そんな祖母が生前、知人が喪主を務める葬儀に参加したときのことです。否が応でも此の世ならざるものを目にしてしまうため、葬儀には参加したがらなかった祖母でしたが、相手は小学校からの旧友で断るのも偲びなく、渋々参列しました。
ようやく焼香の番が回ってくると、ハンカチを目頭に押し当ててさめざめと泣く友人に一礼して、旦那さんの遺影に目を向けると――晴れやかな笑顔の遺影の前に、憤怒の形相で立っている男性の姿が見えたのです。
その男性は祖母をじっと睨みつけながら、ハッキリとこう言いました。
「俺は妻に殺されたんだ」
それから程なくして知人も後を追うように亡くなったみたいです。
後を追ったのか、それともあちらの世界に引きずり込まれたのか、祖母は最後まで頑なに教えてはくれませんでした。
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