第6話 犯人探し

 「困ったな~またか……」


 トイレットペーパーを1ロール丸ごと便器に突っ込でる患者さんがいる。

  

 流せないから引き抜くしかない。

 多分、この行為に意味などないのだろうと思う。ただ勿体ないので犯人探しをするしかないと思った。


「荒木田さん~、ちよっと詰め所に来て」


「え?はい?」


 呼んだのは中谷師長だった。


「すいませんね。作業中に……」


「いえ」


「夜勤の菊池さんがA棟の男子のトイレで見付けたのだけれど……」


「はい?」


「これウイスキーのペットボトル……」


「え?ウイスキー?」


「そうなんですよ!」


「外部から病棟に入った…ですよね」


「そうなんですよ!荒木田さん何かしりませんか?」



「……犯人探しするつもりが犯人と思われている…………………………」


「お酒飲みませんし、ましてやウイスキーなんて美味しいのかどうかもわかりません」


「そうですか。全員に聞いていることなんで気を悪くしないでください」


「いや、大丈夫です。師長、1件だけ宜しいですか?」


「はい、どういたしました?」


 トイレレットペーパーの件を話した。


「それは困りましたね。わかりました」



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トイレレットペーパーの件はある人物が浮上した。この件をだれに聞いても同じ名前か返ってきた。知らないのは私だけだったのかも知れない。

 先に出た大園さんだ。大園さんは資産家で病院に多大な寄付をしており師長も黙殺しているとのことだった。


「こんな犯人が1番頭にくるし、野放しにしている上の連中も同罪だ」


 怒りでトイレレットペーパーが突っ込んであるときはそのままにすることにした。







 もうひとつのウイスキーのペットボトルは「私」が病棟に持ち込んだものだ。この件でも苛立っていた。


「新しいウイスキーのペットボトルは空のペットボトルと引き替えとする」という条項を設けていたのに……トイレで隠れて飲んで酔ってしまったのか?市価の2倍で打っていただけに打撃は大きい。加熱式タバコの販売で市場の拡大を計ろう。とにかくお金が必要だ。患者さんの中にはお金持ちもいればそうでない方もいる。酒、タバコなどの嗜好品を金持ちに打ってその金は使うべきときに貯蓄する。勿論ギャンブル依存症なので10/1はパチンコ、10/1はFXで運用した。

 

 タバコを吸いたい患者さん探しがまたはじまる。禁煙は辞めてもらおう。




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