第2話 大園さん
仕事はハードだ。精神的にも身体的にも。
9:00前に引継を確認。
9:00用をたせない患者さんをトイレに誘導
9:30ポータブルのトイレの衛生
10:00トイレ掃除
11:00トイレ誘導
11:30昼食準備
12:30~13:30休憩
あ~あ~午後は省略
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分刻みの作業。患者さんへの寄り添い。
あっという間に4ヶ月が経っていた。
私が属する2病棟には50名の患者さんがいる。名前と顔が一致するのに1ヶ月を要した。
患者さんの中では大園さんが1番古い患者さんと聞いていた。大園さんは奇声は発することはできるが話すことはできない。腸の部分に袋みたいなものを下げていて多分う⚫こが溜まっているものと思える。
彼女は日中は絶えず造幣している。そして自分が気に入った相手に手作りの紙幣を渡す。まさに仮想通貨だ。違うのは大園さんの紙幣はなんら価値がないと云うところだけだろう。
コミュニケーションを取れない患者さんは多い。それで僕の主治医の話しを思い出した。
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「顔が半分しかない患者様の診察をたのまれてね……」
「半分?」
「何を質問しても答えてくださらない」
「………」
「3ヶ月経ったくらいから話してくださり診察が終わった。これ以上続いていたら私が病気になっていたと思うよ……」
「……はい」
どんな流れでこんな話しになったのか忘れたけどこの話は覚えている。コミュニケーションの手段は口頭だけではないから…
手作り紙幣は大園さんのコミュニケーションスキルなのかもしれない。僕も貰ったことあるけど少しうれしかった。直ぐに捨てる気にはなれなかった。捨てたけど……
この話はただスペース埋めるために書いたんじゃないんだ。コミュニケーションスキルが後々キーワードになるんだ。手段も考えている。後は賛同者を募らなければならない。ただ昨日と今日が別人なくらいに性格が変わる病気だから人選には難儀しているんだ。勿論悪いのは病気なんだけどね……。
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