最後は観覧車(ジ)

最後の観覧車へ(ジ)

 そうか、観覧車に行くんだね。じゃあ、行こうか。


 観覧車は遊園地の一番奥にあるよ。


 やっぱり観覧車は最後に行くべきだよね。


 観覧車にも噂があるんだよ。観覧車の頂上を4時44分ピッタリに到着すると、地獄が見えるという噂だよ。


 ある人がその時間に頂上に行ったんだ。そして真っ青な顔をしてこう言ったよ。「地獄を見た」って。


 その噂が広がって、みんな地獄を見たいと4時44分に頂上に行きたがる人が増えたんだ。


 そしてみんな真っ青な顔をして降りてくるんだ。たまに消えてしまった人もいたよ。二人で乗ったはずなのに降りて来たのは一人なんだ。


 そんなことがあって、この遊園地は4時から5時の1時間の間は乗車禁止になったとか。


 もう、観覧車は錆び果てて動かないけど、ちょっと乗ってみない? 


 今度は私も乗るよ。ははは、二人きりで観覧車に乗るのは少し照れるね。どう? なにか感じないかな?


 あれ、なんか変だ。か、観覧車が動いているよ! 


 扉も開かない。閉まっている! 


 しょうがない、最後まで見届けようか。さあ、地獄を見に行こう。


 小さい観覧車だけど、やっぱり景色はいいね。遊園地全体を一望できる。


 錆びてキイキイきしむ観覧車も別の意味でスリルがあっていいね。


 おや、なんだか空が赤くなってきたね。黒い雲も出てきたよ。これは雨になるかな?


 あ! 下を見てよ、地面が、地面が赤い! マグマだ! 人影が見えるよ。おかしいね。ここにいるのは私たちだけなのに。


 あのひと角が生えているよ。手にも巨大な金棒を持っているみたいだ。


 あれは鬼だ。本当に私たちは地獄に来てしまったみたいだ!



 ◇ ◇ ◇



 あなたたちの乗っている観覧車は頂上を過ぎ、ゆっくりと降りていく。


 鬼たちが観覧車を囲むように近づいてきた。そして、あなたたちが降りるのを待っている。


 一番に下まで降りて、鬼が扉を開けた。そしてこう言った。


「地獄へようこそ。入場料をお支払いください」


 鋭い爪の生えた大きな手があなたたちに向けられる。

 どうしようか?



 『生け贄を差し出す』

https://kakuyomu.jp/works/16817330663384580032/episodes/16817330663390266107


 『扉を閉める』

https://kakuyomu.jp/works/16817330663384580032/episodes/16817330663390454826


 『ポケットの飴をあげる』

https://kakuyomu.jp/works/16817330663384580032/episodes/16817330663390673227

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