生け贄
あなたは向かいに座った人物の襟を掴むと、鬼の前に押し出した。鬼は満足そうな様子で扉を閉めた。
あなたはひとり、観覧車の中に残された。観覧車は再びゆっくりと上昇する。
生け贄にした人物があなたに向かって叫び続けている。
「助けて! 助けてよ!」
あなたは耳を塞いだ。
ジェットコースターでも、メリーゴーランドでも傍観していた人だ。別にいいだろう。
そう自分に言い聞かせてあなたは目をつむった。
悲鳴が聞こえなくなって、あなたが目を開けると、そこはもとの遊園地だった。もうどこにも地獄は見当たらない。
観覧車は降りていく。一番下まで降りるとそこで停止した。あなたは慌てて観覧車から降りた。もう、観覧車が動く気配はない。
遊園地にはあなたひとりしかいなかった。しかし、不気味な空気があなたを襲う。
怖くなったあなたは遊園地の入り口に急いだ。そして門をよじ登り、外にでる。
帰ろう。そう思った時、遊園地の中から、あなたが生け贄にした人物の声が聞こえた。
助けて
あれは悪い夢だった。そうあなたは思い込むと、逃げるようにその場を後にした。
★ END 友達を犠牲にしたあなた ★
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