第2話「次こそは絶対...」
「犯人はあなたです。」
東宮怜の右手は僕を指刺す。
「な、なんで僕なんですか!?僕はあの時寝てたのに...」
僕は必死に演技するが、彼の目は確信の目をしている。
「君、結構犯行上手いね。指紋も消してるし、ピッキングも手馴れているのかな?」
「だからやってないって...」
陽気に喋っていた東宮怜は急に声のトーンが低くなり、冷静に話し始める。
「...じゃあなんで瓶に全く指紋がついてなかったのかな?捨てたピッキング用の金具も投げるんじゃなくて隠した方がいいよ。」
その言葉を聞いて僕はもう逃げられないとわかった。
「そうだよ...俺が殺したんだ。」
「...正直、四人の顔を見るまで分からなかったんだ。すごいね君。でもね、殺人初めてでしょ?隠してるつもりだけど顔に出てるもん。」
「あぁそうだ。俺は小学校のころにあいつにめちゃくちゃいじめられた。あいつが大嫌いだった。ずっと、あいつを憎んでいた。」
周りにいた三人は僕が殺人犯だとわかり少し離れるが、可哀想という目で僕を見ている。
「でも、殺しはよくないよ。君は普通に逮捕。わかってるよね?」
「あぁ、お前がいなかったらもっと最高だったわ。」
僕は吐き捨てるようにそう言い、警察に連行された。
牢屋に入れられた僕は、あいつを殺せたからすごくスッキリしていた。スッキリしたが、何故か心残りがあるような気がして、この気持ちをなんと表せばいいのか分からない。
夜遅かったので僕は固いベットに寝っ転がる。
少し考えて、すぐわかった。
「...悔しいんだ。」
完璧だと思ったのに、バレないと思ったのに、あいつのせいで、あいつがいたから...
恨みと悔しさが僕の心を染める。
「──絶対に復讐してやる。」
気が付くと僕は寝ていた。
そして目が覚めると、そこは山の中の旅館だった。
朱色の月 のえたそ @noel-afreet
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