第20話
夜の国、素敵。
綺麗な鱗の蛇の獣人も居るし、モフモフの獣人も。
『宜しくお願いします、ブランシュです』
『この子がセレッサ、私はユラ』
《カインです、宜しくお願いしますね》
「アベルだよ、宜しくね」
ハンナと同じモフモフ。
『すき』
「ユラちゃん早い、俺の時より懐くの早い」
《子供に好かれ易いんですよね、私達の種類》
「何か尻尾が楽しいらしいね」
『すき』
「何か悔しいな、俺も尻尾欲しい」
『あ、獣人化の魔道具を考えてるんですけど』
「まぁまぁ、後でちゃんと案内するから、家に行こう」
「えっ、もう出来てるんですか?」
《家は元からのを少し改装して綺麗にしただけなので、気に入らなければ建てる段取りなんですが》
《ありがとうございます》
長男のカインさんにナチュラルに抱っこされたけど。
耳が気になる、息が掛かるとピロピロするの。
《ふふっ》
『どんな感じ?』
《人の耳より過敏なので、くすぐったいですね》
「ユラ、悪戯しないの」
『はぃ』
でも触りたくなる。
耳と尻尾には多分、魔力が有ると思う。
竜種には多分、魅了の加護が備わってるんだと思う。
『はぁー、超可愛いんですけど、何ですか、凄いですね竜人種』
あ、怒っちゃった、男の子なんでしたっけ。
『男の子に可愛いは良くないと思う』
『ですよねぇ、ごめんなさい、アナタは凄く素敵ですよジューダス』
セレッサと並ぶともう、延々と眺めてられる。
きっと2人の子はもう、全部、超可愛い筈。
楽しみだなぁ。
《良い方ですね、ブランシュさんもキョウさんも》
「そうなんですよ、だから幸せになって欲しいんですけど、運が無いと言うか」
《政略結婚相手に捨てられ、次にデート相手に実は好きな相手が居て踏み台にされました》
「わぁ、コレだから人の世界は嫌なんだ、可哀想に」
本当に、だからこそココでは幸せになって欲しいんだけど。
「だからこそ、誰か良い方を紹介して貰えませんか?」
《獣人でも大丈夫かと、シアン達とも親しくしてますので》
「でも暫く魔道具作りをしてたいって言ってたし、時間が掛かりそうだよね」
《獣人は人より体質や性質を重視しますから、紹介せずとも自然に集まると思いますよ》
「ハンナは、僕の何が良かったの?」
《その、身内の前で惚気けるのは》
「あ、ごめん」
《少し、向こうに混ざってきましょうか》
「だね、ジューダスがモジモジしてるし」
「すみません」
《お願いします》
ちょっと聞くのが怖かったんだよね、それこそ強いとか、主人公以外の特徴が無いし。
「あの、ハンナ、もし」
《優し過ぎない所が好きですよ、少し心配していたんです、もしかすればブランシュを娶ると言い出すんじゃないかと》
「無い無い、それは無い」
《そう優し過ぎない所が好きです、キョウやカインを信じる強さも、ユラだけでは無く周りも大切にする賢さも好きです》
「僕はハンナの全部が好きだよ、居てくれて凄く幸せ」
《私もですよアヤト》
何か、ジューダス君、ブランシュちゃんを気に入ったぽいんだよなぁ。
俺、ちょっと近寄ると凄い睨まれんの。
『はー、楽しみですね、竜人種同士の子』
「そうなるかねぇ」
『だって、生まれ年は違いますけど、同じ種の男女ですよ?』
「別に無理に同じ種でくっ付く必要性って無いんじゃない?」
『繁殖率が上がるんですし、自然の摂理的には大いに有り得ると思いますけどねぇ』
あー、年の差とタイミングが相まって、コレ全く頭に無いな。
自分も対象に入ってる事。
「セレッサが実は16才だって忘れて無い?」
『忘れてませんけど?』
竜人種は身を守る為に成長を止めたり、成長したりと自然に環境に適応するらしい。
となると、ジューダスが、逆に急成長する事も考えられる筈なんだけど。
マジで恋愛を放棄してるんだよなぁ。
しかも片方はジェラシーが凄い幼い竜人種、マジでコレ、ちょっと介入した方が良いかな。
「ユラちゃん」
『ん?』
可愛いなぁ。
「ジューダス好き?」
『ジューダスよりカインが良い』
「ユラちゃん、年上好きかな?」
『落ち着いた大人が良い』
「あぁ、まぁ、俺は確かに沿わないね」
『何で聞いた?』
「ジューダス君がブランシュを好きかもなと思って」
『あー、分かる』
「そこは分かるのね」
『キョウが怪しいから威嚇してるのかと思った』
「あぁ、そこね」
『カインみたいなのが良い』
「はいはい、言っておく、探しておくよ」
『よろしく』
キョウから聞いてはいましたが。
『ハンナさぁん』
《まぁ、どう見てもジューダスですね》
『セレッサ、コレ、ジューダスだよね?』
ユラの問い掛けにセレッサも頷きましたし、アルビノの男の子ですし。
ただセレッサと同様に話さないんですが、まぁ、見れば気持ちが分かりますし。
《分かりました、ブランシュを誰かに紹介するのは控えます》
『え、あ、そこ?』
『ブランシュはジューダスやなの?』
『いや、そんな、こんな急に』
《好きになるのに竜種には時間が必要無いそうですよ》
『セレッサも頷いてるし、嫌な理由がちゃんと言えるまで、一緒が良いと思う』
『ぇえ、ふぇぃ』
まぁ実に甲斐甲斐しい子で。
ユラも羨ましがる程に、良くブランシュを手伝い、お世話をし。
数ヶ月も経たずに見事に陥落、ブランシュは竜人の花嫁に。
『羨ましい、ユラも欲しい』
「ユラの相手はゆっくり見付けようね、ユラは直ぐに大きくはなれないんだし」
《ゴブニュも数年後には良い子になってるかも知れませんよ》
『お兄ちゃんに取られたのは嫌』
《ならトールはどうですか、それかマーリン》
『フィンは、まぁまぁ』
《色んな男の子を良く観察しましょう、そして良くお勉強しましょうね》
『うん』
そうは言っても、身近な存在には抗えない。
長男カインの子に、すっかりメロメロに。
「ユラちゃんエノク好きだねぇ」
『でも我慢する』
「ユラ、何で?」
『ハンナの血族だから』
《ぁあ、多分大丈夫ですよ、そもそもアヤトとユラは異母兄妹ですし。念の為に、一応確認してみましょうか》
『良い、ダメって聞きたく無い』
「あー、分かる、それに大きくなっても好きかどうか判らないしねぇ」
「キョウさん」
『ぅん、分かってる』
「偉い偉い、じゃあ取り敢えずは保留だ」
念の為に確認してみましたが、特に問題も無く。
「はぁ、いざ本当にユラに好きな人が出来ると、寂しいなぁ」
《まだまだ先の事ですよ、最低でも16才を超えなければ、婚姻すら不可能なんですから》
「そこだよ、寧ろセレッサの相手を探さないと」
《彼女が必要性を感じない限りはそのままなんですし、寧ろ安全だと思ってくれている表れでもあるんですから、気長に構えましょう》
「まぁ、学園の事が有るしね」
《はい、楽しみですね》
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